2020-05-13

ほとんどのマスコミが消滅する日

コロナ禍による外出自粛要請を受け、日本経済は’08年のリーマンショック以上の影響が出ています。
特に企業活動の縮小、停止を受けて広告収入が大きく減少しています。広告主は出稿を大幅に減らしており、収入減が1年以上続く可能性があります。

米紙USAトゥディを発行するガネット社はこの3ヵ月で資産の94%を失ったと報告

このロックダウンの影響による記録的な広告収入の減少の中で「アメリカの新聞が次々と消滅」。その数は数百にのぼっていると言われています。

『新型コロナウイルスは「マスコミを消滅させる」』より引用します。

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日本の場合はまだそれほどでもないのかもしれないですが、アメリカでは、最もひどい影響を受けているのが、

・新聞社

・ラジオ局

となっていて、次にテレビ局が続きます。

それらのマスコミのほとんどは、政府によるロックダウン後にも、それに反対の立場を表明せずに、むしろ、ロックダウン政策を後押ししていましたが、それは結局「自らの首を絞める」という形で巡ってきています。

英ガーディアンは、「アメリカで倒産、発行停止になる新聞社の数は数百になる見通し」と伝えています。状況は、ガーディアンのあるイギリスでも同じです。

ロックダウンは、結局、「数百以上のマスメディア媒体を消滅させて完結する」ということになるようです。世界全体では、さらに多くマスコミは消えていくと思われます。

時間的には欧米に少し遅れるでしょうけれど、日本のマスメディアも、基本的には同じことになると思われます。

英ガーディアンの記事をご紹介して締めさせていただきます。


新型コロナウイルスに大打撃を与えられているアメリカの新聞社は「絶滅レベル」の危機に直面している

US newspapers face ‘extinction-level’ crisis as Covid-19 hits hard
Guardian 2020/04/09

アメリカ中のジャーナリストたちが新型コロナウイルスの影響を報じようと努力している中で、彼らジャーナリストたちは同時に苦々しい皮肉と直面している。彼らメディアの報道への需要が急増するにつれて、そのメディアたちに資金を供給するビジネスモデルの衰退が破滅的に加速しているのだ。

新型コロナウイルスの壊滅的な感染拡大は、現在、読者たちにとって最大のストーリーであり、ほとんどの新聞やニュースサイトにとって、新型コロナウイルスに関しての記事は、記録的な数の読者を引き付けてきた。

ところが、この新型ウイルスは、新聞の売り上げを記録的に上げると同時に、多くのジャーナリストたちが解雇されるという事態を引き起こしてもいるのだ。今後、アメリカの報道媒体のうちの「数百」が終わりを告げる可能性がある。

ロックダウンにより、多くの企業や店舗が多数の従業員たちを解雇することによる経済的閉鎖を行ったことをきっかけに、アメリカ中の報道メディアは、広告の大幅な減少に見舞われている。一部のアメリカの新聞は、需要が最も高いのにも関わらず、紙媒体の新聞の印刷を停止し、脆弱なデジタルのみの報道に戻っている。

新型コロナウイルスの経済的影響により、企業が支出を厳しく削減しているため、新聞での広告の減少は急速だ。ジャーナリズム業界にとって、その影響は、ほとんど瞬間的に起きたことだった。

コロナウイルスに最も苦しんでいる州の 1つである米ルイジアナ州のタイムズ・ピカユーン紙とアドボケート紙は、400名のスタッフの 10%を一時帰休とし、残りの社員を週 4日間の勤務体制に切り替えた。オハイオ州の日刊紙プレイン・ディーラー紙は、報道編集室の 22人のスタッフを解雇した。

ワシントン州シアトルでは、週間のストレンジャー紙が発行を一時停止し、18人の従業員を解雇した。フロリダ州最大の新聞であるタンパ・ベイ・タイムズ紙は、新型コロナウイルスのために、100万ドル(1億円)相当の広告を失った。その後、タンパ・ベイ・タイムズ紙は、日刊から週 2回発行に切り替えることを余儀なくされた。タンパ・ベイ・タイムズ紙の CEO は、将来的に通常業務を再開することを望んでいると語っている。

しかし、専門家たちの中には、多くの新聞メディアが通常の状態に戻ることを確信していない人たちもいる。

「閉鎖は数十ではなく数百になると思われます」

ノースカロライナ大学のジャーナリズムおよびデジタルメディアの専門家ペニーア・バナシー氏は、新聞および報道ウェブサイトの大量の閉鎖を予測している。

「それは数十規模ではなく、数百規模になると思われます」と述べた。

「今回の新聞社とウェブサイトの絶滅事象は、小さな媒体だけでなく、巨大な報道媒体の一部であるものにも影響を与える可能性があります」

実際には、コロナウイルスが登場する前から、新聞業界は不安定な立場にあり、中でも、市や州の小規模な報道機関は特に脆弱だった。

印刷版の新聞を購入する人の数が減少したために、2004年から 2018年の間に、約 1,800の新聞が閉鎖された。ジャーナリズム業界が、ニュースをオンラインで提供する方法を適応しようと試みた際、Google と Facebook はニュース組織の報道にデジタル広告を乱用した。

メディアアナリストであるケン・ドクター氏は、地方の新聞は現在、新型コロナウイルスのために広告の 30〜 60%を失っているという、もとも地方の新聞は「回復力がほとんどない」業界だったために、厳しい状況だ。

しかし、スタッフが減り、宣伝費が不足している中、全国の報道機関が、新型コロナウイルスに関しての報道を得るための読者の急増を報告している。ケン・ドクター氏は、「地方新聞は、読者層が倍増しているが、その理由はほぼすべてが、新型コロナウイルスの情報を得るためなのです」と言う。

新型コロナウイルスそのものは世界的なものだが、人々は、自分の住む地域の報道を知りたがる。近所で報告された症例数、最新の健康上のアドバイス、閉鎖されている公園や開放されている公園など、すべての地域のニュースを知りたいと思っている。

しかし、それでも、地方新聞の状況は厳しい。

ローカル報道を200年支えてきたモデルが崩壊した

アメリカの多くの町や都市で、すでにローカル報道が失われつつある。2018年、ノースカロライナ大学の研究により、1,300のアメリカの自治体がニュース報道を完全に失ったことがわかった。

全国二大新聞 USAトゥディを持ち、アメリカで最大の地方紙の所有者であるガネット社は、2019年8月以降、その資産価値の 94%を失っているが、その損失のほとんどが今年 2月中旬の新型コロナウイルスの感染拡大以降に起きている。

同社によると、新聞社のある組合では、25%の給与削減と説明された。

50を超えるアメリカの新聞を所有するアルドン・グローバル・キャピタル社は、長年にわたってニュース機関を買収してきたが、現在、スタッフを持続可能なレベルにまで削減している。

キャピタル社は、新型コロナウイルスの発生中に、デンバー・ポスト紙のニュースルームを 70%縮小した他、レイオフを行った。

アメリカ 25州で新聞を発行しているリー・エンタープライズ社は、全面的な賃金カットを発表した。

なお、今回の新聞社の破綻の連鎖の中で、アメリカの人々はついにアメリカのジャーナリズム業界の悲惨な状態に気づくことができたともいえる。

2019年に行われた調査によると、アメリカ人の 71%は、自分の住む地元の報道機関は財政的に好調であると信じていた。


ここまでです。

なお、これはアメリカの話題ですが、問題の中心にあるのは、広告の減少による「収益の低下」ですので、基本的には「ロックダウンをしたすべての国で起きること」だと言えます。

アメリカでは、他にもラジオ局が壊滅的になっているそうで、理由としては、ラジオは「基本的に車の中で聞くもの」だそうで、ロックダウンにより、車で外出する人が減り、「聞く人が極端に減少してしまった」ためです。

日本でも、景況感がさらにひどくなった場合は、新聞、ラジオ、さらにテレビ局も淘汰されていくと思われます。日本のテレビ局は、リーマンショック程度の不況でも非常に収益を悪化させていましたので、ロックダウン・パニックには耐えられない局が多くなりそうにも思います。

そして、次は「あらゆるインターネット・サービス」に影響は及ぶと見られ、そこに至るのに何年かかるかはわからないですが、結局、「差別なくすべてを破壊したところで止まる」ということになりそうで、これはパンデミックと一緒です。

パンデミックというのは、「免疫を持たない人に差別なくすべてが感染したところで終わる」ものであり、それまではパンデミックは終わらないということでもありますが、破綻の連鎖も似たものとなる可能性が高そうです。

そのような激しい影響を残したロックダウンは、そろそろ各国で開始2ヶ月に近づきますが、ロックダウンをおこなっている国はいまだに以下のような状態で、泥沼です。

2020年5月7日の感染者数上位の状況

coronavirus

アメリカやイギリスは「感染者と死者数の加速化」がさらに進行しています。

その理由は、今回の記事の最初のほうに書きました通りで、隔離と孤立は必ず状況を悪化させます。

人間に関係する真の科学を無視したからこのようになっているとしか思えません。

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