2022-09-25

気候変動対策:脱炭素は、根本から市場に絡めとられている!?

気候変動対策として、昨年のCOP26で化石燃料(石炭、石油、天然ガス)への圧力が増し、日本では国も民間企業も様々な対策へと動いています(ZEB(リンク)ZEH(リンク )他)。

そしてCOP26終了後の年明け早々、天然ガスと原子力は再生可能エネルギーの補助として認める動きへ、急遽欧州は転換しました(EUの脱炭素タクソノミー)。

その後のロシアのウクライナ侵攻を契機に、欧州へのパイプラインによる天然ガス供給停止。そして天然ガス料金が高騰。欧州は今年の冬は寒くて越せないのでは・・との意見も多くなりました。そして、遂に安い天然ガスで発電していた欧州の電力会社が経営破綻へ。更に(「エンロン破綻」を上回る“ヤバい危機”になる…! プーチンが招く「経済ショック」で、間もなく「追い証地獄」がやってくる…!  現代ビジネス)【リーマン・ショックの再来】か?という状況まできています。

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トップのグラフの出典:リンク 

気候変動対策だったはずが、いつのまにか、経済破綻へ。

この点について、実は、エネルギーへの投機の金融市場が原因だいう意見もあります。

以下、「モスクワでなく、ベルリンとブリュッセル発のヨーロッパのエネルギー・アルマゲドン」リンクより。

8月22日、ドイツのTHE(トレーディング・ハブ・ヨーロッパ)ガス・ハブ取引所で売買された天然ガスの市場価格は、一年前より1000%以上高かった。大半の国民が、原因は、ウクライナでのプーチンとロシアによる戦争だとショルツ政権から聞かされている。真実は全く違う。EU政治家連中と主要金融筋が、ドイツとブリュッセルが起こしたエネルギー危機を隠蔽するためにロシアを口実にしているのだ。この結果は偶然ではない。

ショルツや、緑の党経済大臣ロバート・ハーベックや、EU委員会フランス・ティンメルマンス上級副委員長などの政治家連中が愚かだったり、才覚がなかったりするためではない。不正で、不正直だというなら、おそらく、そうだ。連中は自分が何をしているか正確に知っている。連中は台本を読んでいるのだ。それは全て、世界で最もエネルギー効率が良い産業集積地の一つの産業を空洞化するEU計画の一部だ。これはクラウス・シュワブのグレート・リセットとしても知られている国連 アジェンダ2030の取り組みだ。

●規制緩和されたEUガス市場

EU委員会やドイツやEU中の政府閣僚が慎重に隠しているのは、現在天然ガス価格がどのように決定されるかに関して、連中が作り出した転換だ。ほぼ20年間、JP Morgan Chaseのようなメガバンクや、大手の投機的ヘッジファンドに支援されるEU委員会は、現在の天然ガス市場の完全規制緩和のための基盤を作り始めたのだ。それは欧州連合の天然ガス市場「自由化」として推進された。それが今可能にしているのは、長期契約ではなく、価格を決めるための、規制されないリアルタイム自由市場取り引きだ。

2010年頃、EUは天然ガス価格設定のための規則の急進的変更を推進し始めた。その時点までは、たいていのガス価格は、パイプライン送付の固定長期契約で決められていた。最大の供給元ロシアのガスプロムは、石油価格に固定された長期契約で、EU、特にドイツにガスを提供していた。最近数年まで、ほとんどガスはLNG船で輸入されなかった。莫大なシェール・ガス生産からのLNG輸出を許すアメリカ法の変化で、2016年に、アメリカのガス生産者たちが、LNG輸出ターミナルの大規模拡張を始めた。ターミナル建設には、平均3年から5年かかる。同時にポーランド、オランダや他のEU加盟国は、外国からLNGを受け取るためLNG輸入ターミナルの建設を始めた。

第二次世界大戦から世界の主導的石油供給者として出現し、当時セブン・シスターズと呼ばれた英米石油大手が、世界的石油価格独占権を作りだした。1970年代のオイル・ショックの際ヘンリー・キッシンジャーが「石油を支配しろ、そうすれば国全体を支配できる。」と指摘した。1980年代以来、ゴールドマン・サックス率いるウォール街の銀行は「ペーパー石油」、つまり石油先物とデリバティブ取り引きで新しい市場を作った。それはニューヨークとロンドンシティーに、ひと握りの巨大銀行に支配された投機的利益の巨大カジノを作った。

同じ強力な金融筋は、彼らが支配できる同様なグローバル化された先物「ペーパーガス」市場を作るため長年働いてきた。EU委員会と、連中の2050年までに経済を「脱炭素化」するグリーン・ディールという思惑は、石油やガスや石炭燃料を排除し、2021年以来、EUのガス価格の爆発的急上昇をもたらした理想的な罠になった。「単一」市場支配を作りだすため、グローバリストの権益のためのロビー活動を受けているEUは、EUでの様々なガス配送パイプライン・ネットワーク所有者ロシアに、競合するガスにも、それを開放するよう強いるため、ガスプロムに過酷な、事実上違法な規則変更を強制する圧力をかけた。

EUの政策を支配する大銀行とブリュッセルのエネルギー既得権益は、彼らが支配しないロシア・パイプラインガスの長期的な安定した価格と並行する新たな独立価格体系を作り出した。

(中略)

●EUパイプライン・ガス閉鎖

新ガス卸売市場に対するEUの完全支持で、ブリュッセル、ドイツとNATOは、組織的に、EUへの安定した、長期パイプライン・ガスを閉め始めた。

2021年8月に、係争地域を巡って、モロッコとの外交関係を切った後、アルジェリアは1996年に始動したマグレブ-ヨーロッパ(MGE)ガスパイプラインが関連する協定の期限が切れて、2021年10月31日に、操業を終わらせると発表した。

2021年9月、ロシアからバルト海を渡り、北ドイツまで数十億ドルの海底ノルドストリーム2ガスパイプラインをガスプロムは完成した。それは、ノルド・ストリーム1の能力年間1100億立方メートルと、二倍にし、ウクライナを通過するソユーズパイプラインを経由してガス送付することに対する干渉からガスプロムが独立することを可能にする。バイデン政権に支援されるEU委員会は、官僚的妨害行為でパイプラインの稼働を阻止し、最終的にドネツク人民共和国と、ルガンスク人民共和国をロシアが認めたことに対し、2月22日にドイツのショルツ首相がパイプラインに制裁を課した。それ以来ガス危機が増大しているのに、それが完成しているにもかかわらず、ドイツ政府はノルドストリーム2を稼働するのを拒否した。

(中略)

最終的に、シーメンス製ガスタービンの修理が必要となりノルド・ストリーム1海底パイプライン経由のガス配送は中断された。このタービンはドイツ政府の要請で最終的にそれを自由にするまで、反ロシアのトルドー政権が何カ月もそれを確保したカナダのシーメンスの特別施設に送られた。それでも、ドイツとカナダ政府が、ロシアへの転送のため法的拘束力がある制裁免除を与えるのを拒否したため、彼らは意図的にロシア所有者への送付を拒否し、代わりにシーメンス・ドイツに出荷した。これによってノルド・ストリーム1を通したガスプロム・ガスは、劇的に通常の20%に減少した。

(中略)

長期の、低コストのパイプラインによるEUへのガス配送を組織的に制裁したり、閉鎖したりすることにより、中国での記録的干ばつや、ウクライナでの紛争かにかかわらず、ガス投機家は、オランダのTTPによって世界中の、あらゆる一時的中断やエネルギー・ショックにつけ込んで使って、アメリカの輸出制約や、あらゆる限度を超えて、EUの卸ガソリン価格に値付けするのが可能だった。8月中旬時点で、TTPの先物価格は一年前より1,000%高く、毎日上昇している。

●ドイツの高価格狂気

エネルギーと電気価格の意図的な破壊工作は益々ばかばかしくなっている。8月28日、唯一の自由党(FDP)閣僚であるドイツ財務大臣クリスティアン・リントナーは、複雑なEU電力市場改革の不透明な条件のもとで、太陽光、あるいは風力による発電業者は、自動的に、電力会社の電力網に売る彼らの「再生可能」電気を、最もコストが高いもの、すなわち天然ガスと同一価格にする!と明らかにした。

異なる市場を切り離すためドイツのエネルギー法に対する「緊急」変更をリンドナーは主張した。狂信的グリーンのロベルト・ハーベック経済大臣は、即座に、「我々は新しい市場モデルを見いだすため一生懸命働いている」と答えたが、政府は余り介入しないよう配慮しなくてはならないと注意した。「我々には機能する市場が必要だが、同時に市場における立場が乱用されないよう、我々は正しい規則を設定する必要がある。」

ハーベックは、実際、グリーン・アジェンダを構築し、ガスと石油と原子力という、現在唯一信頼できるエネルギー源を排除するため出来る限りあらゆることをしている。彼は一年前に閉鎖した三つの原発再開を考えたり、12月に残る三つの閉鎖再考したりするのを拒否している。ブルームバーグインタビューで「この問題に私はイデオロギーで対処しない」と宣言しながら、間髪を入れずに「原子力は解決策ではない、それは問題だ。」と宣言した。EU委員会委員長ウルスラフォン・デア・ライエン同様、ハーベックは、当てにならない、太陽光と風力に対するより多くの投資が、彼らの政策が意図的に引き起こしたガス価格危機への答えだと繰り返し宣言した。ヨーロッパで進行中の自殺的エネルギー危機は、あらゆる点で「ドイツ発」で、ロシア発ではない。

(後略)

●まとめ

・脱炭素→化石燃料(石炭、石油)の削減も、天然ガスの停止も、投機と米国のため。

・ロシアからのパイプラインを止めて、米国シェールガスを高く売る。

・脱炭素のために導入してきた再生可能エネルギーも高く売る。

 

List    投稿者 yooten | 2022-09-25 | Posted in G.市場に絡めとられる環境問題No Comments » 

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