2008-09-14

『水資源』の危機!!どうする?-⑧:2.水資源の危機とは 4)このままだと、今後どうなる?:産業全般がストップ→世界経済の破綻を招く

水資源の危機がもたらす影響は、農業だけではない。私たちの生活全般に影響を及ぼす事となる。
産業全般に影響している
農業用水の次に多い使用量が多い工業用水(全体の2割)についてはどうだろうか?

国土交通省土地・水資源局水資源部より-日本の工業用水使用量の推移-
実は、日本に置いては、工業用水は1980年以降ほぼ横ばいの状態が現在まで続いている。
これは日本の利用箇所が主に、製品処理・洗浄用、ボイラー用、冷却用などであり、使い捨てではなく、リサイクルが進んでいるからである。新たに河川から補給する量は、1973年をピークに緩やかに下降し、その代わり回収率が実に8割近くに達している。
この状態ならば、水資源が減少しても、農業ほどに大きなダメージはないようにも見える。
しかし、どうだろう。世界の水使用量(『水資源』の危機!!どうする?-③:2.水資源の危機とは 1)世界の水消費量の急増参照) を見れば、工業用水も右肩上がりに増えていっている。これはなぜだろうか?
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現在、発展途上国の多くは農業国家である。しかし、農業と工業で得られる利益の差は、50~70倍の差があると言われており、近年、中国・インドを始めとした、急速な工業国家への転換が図られている。(水資源』の危機!!どうする?-③:2.水資源の危機とは 1)世界の水消費量の急増参照)

鶴岡市議会議員佐藤さとしHPより
となれば、当然、高度経済成長期の日本のように、工業用水は急速に増えることとなる。
また、アジア諸国の工業化は、自国内向けの製品だけではない。むしろ主には、国外へ輸出し、外貨を得ることによって、工業国家としての利益を得ることが目的だ。
 輸出がメインになるということは、それだけ、工業製品の製造過程で用いられた水も、農業同様、国外に輸出することとなる。
たとえば、自動車生産を例に見てみよう。

本田技研HPより-水の使用量と水使用量原単位指数-
日本の本田技研を例にとると、2007年度では、生産台数が1,296,682台、それに用いられた水使用量は、47,050,000立米。
つまり、1台あたり、3.63立米の水が使われたことになる。

社団法人 日本自動車協会-中国にある国外メーカーの製造工場で作られたものの輸出が急増している-
この、3.63立米/台を基準に考えると、中国では、2006年度には約35万台を輸出しているため、1,277,500立米の水を輸出しているとも言える。
また、中国の場合、日本より、工業用水のリサイクルが進んでいないと思われるので、実際中国国内で使用されている量はこれよりも増えると考えられる。
国内の工業化と工業製品輸出国家化が、一気に推し進められば、リサイクル技術が追いつく以前に、水に使用量の増大がくることは必須だ。
今後、アジア全体が、このように変化してくれば、自動車等工業製品の増加は目に見えている。ということは、それに合わせて淡水の使用量も急激に増加していくと考えられる。

季報 エネルギー総合工学Vol28より-アジア車保有台数のは、今後も右肩上がりの推移が予測される-
淡水が枯渇すれば、工業生産が出来なくなる。つまり、これは市場経済がストップすることを意味する。
ひいては、世界経済の大暴落と、農業→工業に流入した人々の大量失業者増という、世界市場の大混乱を招くだろう。
参照
るいネット
自然の摂理から環境問題を考える
食神
■『水戦争-水資源争奪の最終戦争が始まった』柴田明夫 著(角川SSC新書,2007年)
■『「水」戦争の世紀』モード・バーロウ、トニー・クラーク 著(集英社新書0218A)
■『ウォーター・ビジネス』中村靖彦 著(岩波新書878)
■『水の未来』フレッド・ピアス 著(日経BP社、2008年)
■『水の世界地図』ロビン・クラーク 著(丸善株式会社、2006年)

List    投稿者 kasi1106 | 2008-09-14 | Posted in G.市場に絡めとられる環境問題, I04.水資源の危機No Comments » 

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