2007-07-22

京都議定書に向けた主張3(先進国の場合~その2~)

「京都議定書に向けた主張2」のEU、日本の主張に引き続き、アメリカの主張を見てみたいと思います。



■アメリカの主張

アメリカ、EU、日本という三極の中で最も低い削減案を最も遅く(京都会議の約1月前に)出してきました。その内容は、1990年を基準年にして、2008年から2012年の間に0%削減、つまり、温室効果ガスを1990年レベルに抑えるというものでした。



そして、一貫して主張していたのが二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの排出権取引制度や、先進国と開発途上国での温室効果ガスに対する共同実施などの創設でした。



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アメリカが温室効果ガスの削減案を最も低く設定した背景には、従来、環境政策には積極的な民主党がクリントン政権に至って、産業界の圧力とその意を体した議会、特に共和党勢力が強い上院に屈したからであると言われています。



しかし、事はそう単純ではなく、市場主義経済であるかぎり、産業界にも「勝ち組」「負け組」が存在します。そして、温室効果ガス排出削減の実施についても同様のことが言えます。

前者はエネルギー依存度が低い産業であり、後者はエネルギー多消費型産業となります。



つまり、究極のところ、株式市場においては、エネルギー多消費型産業はふるいにかけられることになり、このような温室効果ガス排出規制の影響を強くうける産業においては、規制に表向きは反対していても、逆に温室効果ガスの削減がビジネスチャンスにならないか、あらゆる検討を行っているのです。



アメリカは国内に石油、石炭といったエネルギー産業や鉄鋼、自動車などのエネルギー多消費型産業を多く抱えている。一方、サービス産業などは一般的にはエネルギー依存度が低い産業であり、その意味において温室効果ガスの削減に対して声高に反対はしていませんでした。また、全産業に関わっている金融・保険業界は削減に対してむしろ積極的であったと言えます。



そして、特にアメリカにおいて多く見受けられる主張は、温暖化で何らかの対策が必要であるとしても、科学は確実に発達しており、削減に要する費用よりも、将来の科学の発展に充てる費用の方が低廉であるという考え方である。



結局、アメリカの提案は、国内の産業・経済の問題に加え、国際的な動向を最後まで見極めようとしたこと、更には科学的な不確かさを拭いきれないとする主張の前に遅くなったと思われます。



温室効果ガスの具体的な削減目標値には消極的であったが、排出権取引などの創設を強く主張するという、「削減目標」よりは「削減方法」に力点を置いたものでした。つまりは、国際的立場を踏まえて、かつ、国内のエネルギー多消費型産業にも可能性を開くという市場の維持にあったと思われます。



京都会議が終了した後のアメリカ政府の公式発言は、排出権取引などの柔軟性措置が京都議定書に盛り込まれたことを強調し、こられの方法を採用すれば、実際には削減目標値よりも大幅に削減することができるというものでした。






各国の主張を見てきましたが、先進国になればなるほど市場原理に則した提案になっているような気がします。

温暖化という地球規模の問題に対してもなお、自国の市場経済を優先するような主張ばかりで、結局は、温暖化対策というよりは、市場経済対策としか言いようがないように思います。




お付き合い頂きありがとうございました m(_ _)m

<参考文献>

 ・「京都議定書」再考!/江澤誠/(株)新評論

by 村田頼哉


List    投稿者 yoriya | 2007-07-22 | Posted in G.市場に絡めとられる環境問題No Comments » 

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