2017-03-15

プラスチックが海を終焉へと導く日 ~植物由来のプラスチック「リグノフェノール」の再考の日が近い~

「プラスチックが海を汚している」というのは今までも頻繁に取り立たされていますが、既に海の生物達が”好んでプラスチックを食している”という事態にまで来ているのだそうです。

これは何を意味するのかというと、もはや、プラスチックが生物の食物連鎖の中に組み込まれてしまっている。つまり、海洋生物の本能的な自己防衛機能が果たせなくなってしまっているのではないかという警鐘を意味しています。

既に海の終焉へのエピローグ段階なのかもしれません。

以下、「マイクロファイバーがプランクトンを殺しながら食物循環に入る様子」が初めて撮影される。そして、魚、微生物、クジラ、海鳥などあらゆる海の生物たちがプラスチック大好きな状況から想像する「海の終焉の日」/In deep より引用・抜粋

 

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BBC の記事の衝撃は、同じ海洋のプラスチックの問題でも、クジラなどの報道から受けたものとは違う衝撃で、つまり、

「微生物がマイクロファイバーを食べることにより大量に死んでいる可能性」

「その循環から、プラスチックが食物連鎖に入っている可能性」

のふたつを示唆する、かなり衝撃的なものでした。

 

※マイクロファイバーを摂取して体内で詰まった状態(白い円)のプランクトン

写真①

以前よく書いていたことがありますが、食物連鎖の問題だけではなく、植物などとの絡みでも「この世の根幹は微生物」という考えが私にはあります。

その微生物はいろいろな理由で大量死もしますし、消えたりもしますが、「プラスチックで殺されている」という理由にふれたのはおそらく初めで、「プランクトンがマイクロファイバーを摂取している」ということ自体も初めて知りました。

まず先に、冒頭の BBC の報道をお読みいただこうかと思います。

 

* * * * * * BBS * * * * * *

◇プラスチックが食物連鎖に入り込む瞬間を撮影された

プラスチックのマイクロファイバーが、プランクトンによって摂取され、その材料が海洋での微生物の生態にどのように影響しているかをあらわした瞬間をひとりの科学者が撮影した。

この映像は、廃プラスチックが海洋および世界の食物連鎖に入り込んでいる可能性を示している。

毎年、世界の廃棄物の流出量からは約 1億 5,000万トンのプラスチックが「消えている」。

 

世界の海に漂う廃プラスチックは、国連にとって主要な環境問題として認識されている。

~中略~

この映像では、プランクトンのような小さな生命の内部で、プラスチックの小さな繊維が内部の何かに詰まり、食物の進行が止まっている様子が実際に見ることができる。

「ヤムシの腸は、体の全長にわたって伸びているのですが、マイクロファイバーで詰まったことで、腸の頭のすぐ下から、その下に移動する食物はすべて停止していることがわかります」

カービー博士は、以前から、プランクトンにマイクロプラスチックが及ぼす影響を目の当たりにしていたが、撮影したのはこれが初めてだ。

~中略~

国連は、世界の海洋には、51兆個のプラスチックが存在すると推定している。

今回撮影された海洋生物ヤムシ類は、世界中に 120種類以上がおり、海洋食物網では生態学的に非常に重要な役割を果たしているとされている。

ヤムシ類は他のプランクトン動物の貪欲な捕食者であり、また魚、イカなどプランクトンを食べる生物の重要な食料源でもある。

そして、この問題は、たとえば、「仮に今、プラスチックの生産がなくなったとしても消えることはない問題」でもある。

ブラスチックは、それが生産されなくなったとしても、長い間、食物連鎖の基本に入り、食物連鎖全体に影響を与える可能性があり続ける。

* * * * * *

 

~中略~

ちなみに、このプラスチック、特にマイクロファイバーについては、以前、

「魚の稚魚が好んで食べてしまうことがわかった」

という研究が報じられていたことがありました。

写真②

これは、スウェーデンのウプサラ大学の専門家たちが、魚の稚魚たちが、生きているプランクトンよりも、むしろ微細なプラスチックを「好んで」食べることに気づいたということが紹介されている記事でした。知らずにそうなっているのではなく、「むしろプラスチックのほうを選んで食べる」らしいのです

当然、プラスチックはいくら食べても栄養にならないですので、成長が阻害されているということについての記事でしたが、しかし、先ほどのプランクトンの、「プランクトンの消化器官が詰まっている」という状態を見ますと、魚の稚魚でもその問題も起きているかもしれないです。

~中略~

どうやら、海でも、そして、当然、川や湖などの淡水でも、現在は、「プラスチックが、プランクトンも魚の稚魚も殺している可能性大」という時代になっているようです。

~中略~

そして、今回の問題に関していえば、これは環境問題ではあるのかもしれないですが、冷静に考えてみて、私たちに根付いている生活スタイル自体の問題であることにも気づきます。

今の私たちの文明はプラスチック一色といっていいほど、プラスチックがあふれているわけで、いつくらいからこんなにプラスチックだらけの世の中になったのかはわかりませんが、それでもたった数十年くらいの間のこととはいえそうです

プラスチックそのものは 100年以上の歴史を持つようですが、たとえば、今から 100年前の日本にはプラスチックはさほど生活の中にはなかったでしょうし。

たった 100年でこんなに世界も地球も変わってしまうのですね。

 

以上引用終わり

いかがでしょうか。我々人類にとって、今や必須となったプラスチック。これらが海を汚し、ついには海洋生物が好んで食べてしまうという食物連鎖の中に組み込まれてしまっていると。。。ほんの数百年の内にここまで生態系に影響を及ぼすということを我々は自覚せねばありません。

こうなると、以前当ブログで取り扱ったこともある、植物由来のプラスティック「リグノフェノール」の実用化は、我々人類だけの問題では無く、生態系の維持の為にも必要不可欠な技術なのかもしれません。

リグノフェノールとは、簡単に言うと、植物の構造部となる「セルロース」を構造体のまま抽出することで、プラスチックに利用する技術ですが、なかなか実用化にまで進んでいないのが実態のようです。

しかし、もはや人類だけの問題では無くなったこの問題。解決に向けて、再度奮起してもらいたい。

 

 

 

 

 

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