2009-04-02

排出権取引価格暴落~グリーンニューディールへの指摘~

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http://www.joi.or.jp/carbon/h_index.htmlより引用

日経・JBIC排出量取引参考気配は、国際協力銀行(JBIC)と株式会社日本経済新聞デジタルメディアが毎週月曜日に公表している排出量取引の価格気配動向です。これは、バークレイズ・キャピタル証券株式会社、エコセキュリティーズ日本株式会社、フォルティス銀行、JPモルガン証券株式会社、丸紅株式会社、ナットソース・ジャパン株式会社、オルベオ/ローディアジャパン、住友商事株式会社の8社(アルファベット順)の協力の下、国連が発行した排出量を日本市場で一定量売買する場合の気配値(円ベース)を各社から得て算出の上、公表するものです。

上記でも暴落が一目瞭然ですね。しかも、取引が成立せずに気配値としているのが実態です。上記サイトで定期的に公開されていますが、このブログでも、動きがあれば随時お伝えしていきたいと思います。
 さて、今回はこの排出権取引とグリーンニューディール政策との関連を探っていきたいと思います。
その前に、

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 まず、前回の記事をおさらいしておきます。
 地球温暖化が問題視され、「京都議定書」が発効されましたが、その実態は排出権取引で一儲けしようとしている投資家に規定されているのでは?という提起をしました。
■今回の排出権取引の暴落原因は

金融破たん
 ↓
需要激減による生産縮小
 ↓
CO2を排出しなくなるので排出権を買わなくなる
 ↓
価格大暴落

過剰な生産が減っても物不足などはおきていません。むしろ、活力を失うという失業問題が浮き彫りになりました。
 大量生産からの脱却=市場縮小は環境問題を解決していく課題です。
 市場原理からの価値判断では過剰生産とならざるを得ませんが、物がいきわたればそう簡単には売れなくなります。そこで国家による補助事業などの補填で無理やり市場拡大をしてきました。それでも売り上げは伸び悩むので、ほとんどの企業は金融市場で資産運用を図ることとなります。そして、国家による資金管理と金融市場での取引機能を融合させたものが、この排出権取引なのです。
 
■排出権取引の構造は博打そのものだから暴落する!
価格変動要因については、純粋に市場原理によってたっていることを「エコロジーという洗脳」副島氏著で述べられていますので再掲します。

①投資家が今後は景気が低迷するので、相対的に国と企業のCO2排出量も減少すると予想すれば、投資家はCO2排出権を購入しませんし、既にCO2排出権を保有していたとしたら売却するので、CO2排出権の市場価格は下落します。
②CER(Certified Emission Reductions)は、購入者が京都議定書で排出削減義務が課せられている先進諸国に限られるので、現在進行中の金融危機のように先進諸国の国家財政が悪化し、発展途上国向けCDM(グリーン開発プロジェクト)の支援中止を発表すれば、直ちに暴落します。
③京都議定書でCO2排出削減量を割り当てられている国から、二酸化炭素排出量が割当量を下回ったという統計データが発表されただけでも、市場取引価格は直ちに暴落します。また個々の国のCO2排出量統計データは、当然個々の国の政府機関がデータを管理しているので、政府が恣意的に低いCO2排出量データを発表することによって暴落する可能性もあります。
④基本的には、CO2排出権の市場価格とは景気に敏感に連動する債権なのですが、例え自然変動による地球温暖化が進行していようとも、すでにアメリカで行われている地球温暖化CO2悪玉説に対する裁判で、CO2悪玉説反対派側が勝訴すれば、一気に紙くずとなる可能性すらあります。
⑤例えCO2悪玉説が誤りであることが学問的に証明されなくても、世界のCO2排出量の約半分を占めているアメリカ・中国・インドの3カ国が「ポスト京都議定書」を締結しないことが確実な情勢になった時点で、現行の「京都議定書体制」が崩壊するので、「ポスト京都議定書」の準備会合が決裂したという報道があった瞬間に、CO2排出権価格は暴落します。
⑥気候が温暖化するということは、夏場の最高気温に大きな変動は無いが、冬場の最低気温が高めになる傾向が表れるということなので、冬場の暖房用に消費する化石燃・の消費量減少に繋がるので、既に地球は寒冷化サイクルに突入していますが、EU諸国の地域だけは温暖化傾向が続けばEUAとCERの市場価格は下落します。
⑦そして最も肝心な点は、CO2排出権価格とは有効期限が切れたら無価値となる債権なので、期限切れが近づくほど価格は下落する性質の債権だということです。
 上記以外の価格下落要因もあると思いますが、CO2排出権価格の変動要因などは、この債権の売買のメインプレーヤーでもある金融ブローカー達は当然熟知しています。

■背後にはグリーンニューディール政策を打ち出した勢力がいる?
 グリーンニューディール政策の概要はウィキぺディアにまとめられています。http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B0%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%83%87%E3%82%A3%E3%83%BC%E3%83%AB

2008年7月21日にグリーン・ニューディール・グループが発表し、新経済財団(NEF、New Economics Foundation)により出版されている報告書、もしくはその内容に沿った政策の名称である。地球温暖化、世界金融危機、石油資源枯渇に対する一連の政策提言の概要が記されている。報告書は、金融と租税の再構築、および再生可能エネルギー資源に対する積極的な財政出動を提言している。 2008年後半からの世界金融危機などへの対応のため、世界各国でこれに沿った政策が検討もしくは推進されている。
 
主な政策は、
・省エネルギー技術とすべてのビルを発電所に変えるマイクロジェネレーション(マイクロ発電)技術への 政府主導の投資
・低炭素社会基盤構築を可能にする数千人規模のグリーンジョブの創出
・石油・ガス業界の利益に対してたなぼた利益税(Windfall profits tax、ノルウェーで導入済)の導入に よる再生可能エネルギーと省エネルギーに対する財政出動の原資確保
・環境投資と省エネルギーのための金融面でのインセンティブの創出
・イングランド銀行の金利低減を含む、環境投資をサポートするための英国金融システムの変更
・巨大な金融機関である「メガバンク」のより小さなユニットへの分割とグリーンバンキング化
 国際金融システムの再構築:金融セクターが経済すべてを支配しないことを保障(資本管理の再導入 を含む)
・デリバティブのような新しい金融商品に関する公的監査の強化
・財務報告書の提出要請と租税回避地の取り締まりによる法人税脱税の防止
 最も特筆すべきは、 国際連合環境計画(UNEP)による採用である。2008年10月22日、UNEP事務局長アキメ・シュタイナーは、ロンドンで「グローバル・グリーン・ニューディール」と呼ばれるグリーン経済イニシアティブを発表した。グリーン・ニューディール・グループと同様に、UNEPイニシアティブはグリーンジョブの創出とグローバル経済システムの再構築による化石燃料への依存低減を提唱している。

 Co2温暖化説や石油の枯渇については事実かどうか決着はついていません。なにより、具体的な環境問題などの生存課題に対しての言及がありません。
 そして、これらの政策を実行していくには、国際規模での管理が必要となります。国連のUNEPがいち早く採用したのもうなづけます。しかし、国連を隠れ蓑にした金融勢力が世界規模での支配構造を作るためのものであるとの疑念は消えません。特に政策の後段の部分ではそれが濃厚に出ています。単に「集金システムをこうしましょう」という仕組みについてのべているに過ぎないからです。
 結局、グリーンニューディールとは、環境対策をネタにした市場原理の延命策に過ぎない代物です。
■排出権取引では環境はよくならない
市場原理とは、すべての価値を価格に転化しその他のことを一切考えなくしてしまうものです。CO2排出権取引やグリーンニューディール政策などは、まさに市場原理によってたっています。これでは環境をはじめとした生存課題は解決しません。安易にこの政策に同調すべきではありません。むしろ、その「集金システム」自体を根こそぎ廃止することが必要です。
(p.s.雑草Zさんに同感です)

List    投稿者 y.suzuki | 2009-04-02 | Posted in G.市場に絡めとられる環境問題12 Comments » 

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コメント12件

 のん | 2009.11.24 19:42

私たちが口にしている食べ物のほとんどは、もはや「食品」とはいえず、人工物質化してしまっているのですね(T0T)
ショック・・・。
これからの生産・消費システムの構築には、生産者側も当然ですが、消費者側の「価値観」の転換も必要ですね。
そのためには、まずはこういった事実を知ること、そしてその構造を知ること、その大前提となる自然の摂理を学ぶことがとっても重要なんですね!

 kana | 2009.11.24 19:46

くんじょう処理というのはすごい工程ですね。。。ゾッとします。
類農園の野菜を時々頂いていますが、産地直送の新鮮な野菜は土や野菜本来の風味があります。
輸入ものの商品は収穫から時間が経過しているから風味が無いのかな?と思っていたのですが、
これだけ殺菌処理されていたら、そりゃ土のにおいも消えるだろうなと思いました。
このような事実が広まれば、地産地消の重要性も再認識されるように思います。

 かやねずみ | 2009.11.25 18:18

コーヒー豆の燻蒸というのは知りませんでした。ちょっと高めだけど、安全だし生産者にも安全、味もいいとオーガニックコーヒーマメを買っていたのに・・・
現地で豆をローストして真空パックにしているのなら大丈夫かもしれませんが、日本に輸入してからローストするのであれば、「燻蒸」の洗礼を受けている可能性大と思えます。この辺りの事情をご存知の方、教えていただけませんか?

 リンゴヨーグルト | 2009.11.25 22:58

まさに、問題の幹は流通経路の拡大が幹だったなんて。。。
市場で商品価値を高めようとすればするほど、自然の摂理から離れていく事実に気付かなければなりませんね。
近代農業の発展は、人工物質の再生産であることを自覚し、kasaharaさんの仰る、
>だからこそ、食品の安全を考えていく上で、誰の為につくっているのか?どのような食品をみんなは望んでいるのか?その為の生産・消費のシステムはどうすればよいのか?私たちは自然の摂理を理解し、市場の構造を理解し、新たな価値観を作り現実を塗り替えていく必要があるのですね
に向かっていく必要がありますね!。

 kasahara | 2009.11.26 21:22

のんさん、コメントありがとうございます!
食品が人工物化しているというのは、本当にショッキングな事実ですね。
必要とされている価値観の転換とは、市場原理の中で分断された生産者と消費者が、=(イコール)で結ばれる(社会の)事なのではないかと思います。
その為にはやはり、社会の一人一人が、事実を知り、自然の摂理を学んでいくことが大切ですね。

 kasahara | 2009.11.26 21:37

kanaさん、コメントありがとうございます!
国の行なうくんじょう処理の意図は分かりますが、国内の作物を守る為に日本人の健康を害することがあってはそれは本末転倒ですよね。
やはり、輸入をしなければならないという前提にたった防衛策であって、日本国民の健康の為にどうする?という国策ではないように思います。
事実認識が広まれば、そもそも「食材を輸入する必要」の根拠が、今後あらためて社会的にも問われる事になるのではないでしょうか?

 kasahara | 2009.11.26 22:21

かやねずみさん、コメントありがとうございます!
ご安心ください。
現在は、有機JAS認定を受けた「有機栽培コーヒー豆」であれば、輸入時の消毒処理は施されていないようです。
以前は、有機栽培(オーガニック)のコーヒー豆であることと、くんじょう処理をされているか否かは関係なかったようです。有機栽培であっても、虫が発見されると無条件に(否応なしに)くんじょう処理されてしまうことになっているからです。
でも、それでは当然、有機栽培の意味が全くなくなってしまいますよね。そこで現在は有機JAS認定が行なわれているとのことです。
**********************
日本に生息しない害虫が見つかった場合に、消毒するかどうかは「有機栽培」とは関係ありません。 日本の食物検疫所が「この害虫が入国すると、国産農作物が危ない!」と判断すれば、どんな豆だろうと消毒されます。
もちろん、その処理自体が人体に有害かどうかも問題外。あくまで虫を入れないための処理です。
つまり、いくら現地の生産者が頑張って「有機栽培」豆を作っても、輸入時に消毒されたり、日本で保管・販売時に消毒されたりすると「有機栽培」では無くなってしまうのです。
☆4段階の有機JAS認定
そういう訳で、有機JAS法が定められてから本当に「有機栽培」かどうかをしっかりと区別するようになりました。
コーヒー豆輸入では、有機JAS認定が次の4段階で必要になります。
1.生産者が認定    :現地の農園
    ↓
2.輸入業者が認定   :輸入商社など
    ↓
3.小分け業者が認定  :コーヒー豆問屋など
    ↓
4.製造業者が認定   :自家焙煎の小売店
    ↓
   消費者へ
この4段階を全てクリアした豆だけが「有機栽培コーヒー豆」として日本で販売できます。 もし、この過程で「消毒」された場合は「有機栽培」として販売することはできません。
でも「無農薬栽培」としては販売可能です。
ここが「有機栽培」との大きな違いで、何の認定が無くても販売できるのが「無農薬栽培」コーヒー豆です。
※「有機栽培コーヒー」であれば、「有機栽培(無農薬)コーヒー」の表示も可能です。しかし、「無農薬コーヒー」は「有機栽培コーヒー」を名乗ることができません。
*抜粋引用*は
無農薬・有機栽培コーヒー豆の専門店
生豆屋(きまめや)さんよりお借りしました。
http://www.kimameya.co.jp/mame/mamechisiki.html
**********************
どの分野でも、食の安全を真摯に追及している生産者や販売者の方々は、どうすれば本当に安全で健康的なものを確保・提供できるのか?日々事実追究と努力をされていることがとても頼もしいですね。

 kasahara | 2009.11.26 22:31

リンゴヨーグルトさん、コメントありがとうございます!
人工物質の必要は誰の為?
すくなくとも、みんなの健康や安全の為ではありませんよね。
私たちは市場の幻想を払拭して、本当にみんなにとって必要な価値観を共有し、子や孫の世代に手渡していかなければなりません。

 通行人 | 2009.11.27 15:10

「くんじょう処理」というのは初めて知りました。生産の現場でどんな危険な薬物が使われていうるかは徐々に知られているようですが、まだまだ知られていない「危険なこと」が隠されているようですね。それをこのようにネット上に明らかにしていけば、市場をいくらか真っ当な物に近づけていく事が出来るかもしれませんね。

 kasahara | 2009.11.27 15:39

通行人さん、コメントありがとうございます!
くんじょう処理に関わらず、結果のみを重視し、評価してきた社会であった事の問題なのだと感じています。
それは、掲げられてきた自由とは裏腹に本質的には閉じられた社会だったということです。
プロセス(過程)が、完全にブラックボックス化し、隠蔽されてきたことによる問題性は、食品問題に関わらず、政治や経済や環境の世界でも同様です。
「すべてのプロセスを皆の前に明らかにせよ!」
おそらくあらゆる局面で、そういった事実収束の意識潮流はますます加速してくと思われます。
市場原理と違って、共認原理とは共に認め合う社会のことなのですから、それは当然のことなのかも知れませんね。

 BENQ | 2009.11.28 17:52

市場が食品を商品として人工物化していくって恐ろしいです。
そう考えると、るいネットでは市場の原点は性市場。性も人工物化して市場の中で商品化されているって考えていいのでしょうか?

 Allessjex | 2013.08.18 6:03

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