石油は限りある資源から、生成できる時代へ変化してきている
これまでエネルギーの中心は化石燃料(石油、石炭、天然ガス)が主流でした。
本ブログでも過去に化石燃料に関する記事は以下の通り、紹介してきました。
・化石燃料について
・化石エネルギーは人類にとって何だったのか?
・石油・天然ガスの『有機起源説か無機起源説か?』は、市場原理の問題か!?
・石油の不思議 ~無機成因説からのアプローチ~
石油の起源について、これまでは『有機起源説』か『無機起源説』かの2項対立に関する記事、ネット情報が多数を占めているように思います。
今回は、近年の様々な研究から『石油の起源の捉え方の変化』と『石油が限りある資源から作り出せる時代』へ変化してきている内容を紹介していきます。
・石油の起源について
石油は藻類、動物プランクトンなどの古代の死骸が圧力と熱によって作られる『有機起源説』と教えられてきましたが、近年石油の生成は『無機起源説』(マントルに含まれるC-H-O成分が高圧で変性、重合化して生成されている)が各種の研究結果から支持されて来ているのが現状です。
(国立研究開発法人科学技術振興機構が運営する電子ジャーナル『J-STAGE』記載の石油の無機起源説に関する最近の進展 より)
無機起源説の根拠としては
「石油の分布が生物の分布と明らかに異なる」
「化石燃料では考えられないほどの超深度から原油がみつかる」
「石油の組成が多くの地域でおおむね同一である」
「ヘリウム、ウラン、水銀、ガリウム、ゲルマニウムなど、生物起源では説明できない成分が含まれている」などが挙げられます。
ロシアやスウェーデンでは『無機起源説』が信じられており、 学校でもそのように教えているそうです。
また、無機起源説によって推測された場所から多数の油田を発見しており、その場所は古代より一度も海底になったことが無いことも確認されています。
論文やネット情報では様々な因果関係、有機起源説は政治力学が働いているといった内容から『無機起源説』が有力のように見えます。
しかし、現在の新たなエネルギー資源の生成から見ると石油は有機物からも、無機物からも生成可能であるということが分かってきました。
・石油は限りある資源から生成できる時代へ
最近では、化石燃料ではない『炭化水素燃料』の生成技術が進んでいる。
炭化水素燃料の生成は『水素』と『CO2』の無機物が元となっていて、ガソリンや軽油、灯油、重油等を作り出す合成燃料技術が注目を浴びています。
(前々回ブログ記事『不安定な国際情勢にも災害にも強い「合成燃料」、脱炭素の石油を増やす・つくる。』より)
また、『藻が下水中の有機物を食べてその藻がバイオ原油になる』といった有機物を元にした原油生成の研究開発が進めれています。
(前々回ブログ記事『不安定な国際情勢にも災害にも強い「合成燃料」、脱炭素の石油を増やす・つくる。』より)
・まとめ
昨今の脱炭素社会に向けた取り組みの中で、新エネルギー関係(前回のブログ記事の地熱発電やバイオマス発電等)の研究や開発が現在進んでいる状況です。
自然エネルギーに限らず、化学物質を用いた水素発電や炭化水素燃料を用いた『合成燃料技術』が注目を浴び始めています。
また、日本の各石油会社の動向について、以下に紹介します。
●ENEOS
https://www.eneos.co.jp/newsrelease/upload_pdf/20220419_01_02_1170836.pdf
●東芝/出光興産/日本CCS調査/全日空
https://www.global.toshiba/jp/news/energy/2021/08/news-20210824-01.html
これまでの限りある資源として認知されてきた石油は今日では、無機物からも有機物からもどちらからも生成できる時代へ変化してきています。
今後は『限りある資源』というイメージから半永久的に生成可能な代替エネルギーの一つとして当たり前になってくる時代もそう遠くはないでしょう。
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