2022-07-17

より自然だからこそ、力の吸収・拡散において圧倒的な効率を生み出す螺旋~より忠実に自然を活かすバイオテンプレート技術

螺旋とは、あらゆる自然現象・生命を生み出す情報・力の軌跡。古来から現代にかけて、自然と一体化するための形状として、創造性を生み出す思考サイクルとして用いられている。
ということを、前回の記事で紹介しました。
生命原理に基づいた形状だからこそ、大きな可能性を秘めている螺旋。この認識を活用するためにも、もっと「螺旋のもつチカラ」とはなにかを深堀りしていきたいと思います。
■螺旋の形状がエネルギー効率を高める
螺旋という形状は、意外と身近なところでも利用されている。代表的なのはファンやポンプ、ミキサー、タービン、ダクト、プロペラなどの回転装置。
螺旋状の形状とすることで、エネルギー消費量と二酸化炭素の排出量をおさえながら、より効率よく気体や液体を流すことができます。
キッチンやお風呂で排水しようとすると、排水口に竜巻のような螺旋の渦巻ができるのは、みなさんご存知かと思います。自然の力に逆らわず、より自然に流れようとすると、螺旋を描く。より自然な形状であり、軌跡だからこそ、最も効率よく・最大限の力を発揮することができるということなのです。
■生物そのものがもつ構造を力にかけるバイオテンプレート技術
とはいえ、人工的に渦巻を創ろうとも、生命・生物がもつ螺旋という形状を忠実に再現するのは難しい。昨今、生物そのものがもつ構造を利用する「バイオテンプレート技術」が注目を浴びています。
これまでも、蓮の葉の撥水性を活かしたヨーグルト蓋、ヤモリの足がもつ粘着性を活かしたテープ、蝶の羽の発色性を活かした採光ガラスなど、生命・生物がもつ構造を人工材料で模倣して高機能材料を開発するバイオミメティクス技術が注目はされてきました。
それを超えて、生命・生物がもつ形状・構造をより再現し、これまで実現しえなかった効果を得ようとするのがバイオテンプレート技術なのだそうです。

バイオテンプレート技術
ー生物らせん構造から電波を操る材料を創る1)

■藻類のもつ螺旋を用いた、超高周波を吸収するマイクロコイル
バイオテンプレート技術を用いた技術開発の代表例であり、スピルリナという藻類のもつ螺旋構造に着目して、藻類メッキ電磁波吸収シートを開発したというものだそう。スピルリナを銅、ニッケルの無電解メッキするというものだが…
これまで実現の難しかった広域のテラヘルツ帯のノイズを、このスピルリナメッキマイクロコイルだけで吸収できるという機能を有するとのこと。次々世代の6G通信への応用が期待されるなど、世界的に注目される素材とされています。
生命原理に沿った形状だからこその高い吸収性能をもつマイクルコイル。
蓮の地下茎のもつ螺旋紋を用いた強靭な糸を考えてみても、螺旋という形状は、より自然だからこそ、力の吸収・拡散において圧倒的な効率を生み出すといえるでしょう。
List    投稿者 sibata-h | 2022-07-17 | Posted in G.市場に絡めとられる環境問題No Comments » 

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