中国がもたらすかもしれない食糧危機
ブローバリズムの世界では市場や私益を優先させることで、些細なことでも全てが機能不全を起こす可能性があります。
現在、貨物船のコンテナ不足が深刻化し、食料品の輸出入を大混乱させているそうです。
新型コロナウイルス禍からいち早く回復した中国が輸出を急増させ、コンテナに莫大な追加料金を支払い始めた影響で荷動きが停滞。各国の港湾に輸出待ちの食料品が山積されているそうです。
各国で貨物船コンテナの争奪戦が激化しています。
コンテナ不足のためタイはコメを出荷できず、カナダはエンドウ豆の在庫が積み上がり、インドも砂糖の滞貨の山を持て余しています。
その理由は、中国がコンテナに追加料金を支払い始めた結果、中国からの輸出が完了したコンテナに貨物を積まず空のまま中国に返した方が、はるかにもうかるといういびつな状況が生まれているのです。
『気象と災害と国家対策と「中国」により消えていく世界の食糧。そしてアメリカでは慈善家ビル・ゲイツ氏が最大の農地所有者に 投稿日:2021年3月4日』より引用します。
~・前略・~
今すぐに何がどうということではないですが、新型コロナによる社会情勢も今後どうなるのか不透明ですし(ワクチン後の数カ月で ADE などでさらに混乱する可能性も)、気象も自然災害も激しくこそなれ、作物に理想的な状況はなかなか訪れない感じの年が続いていますし、それは世界中同じです。
私は地元で無農薬栽培をしている農家の方から野菜を定期購入させていただいているのですが、今回そこに入っていたプリントには「天候の影響で、今年は土の状況が良くないです」と書かれてありました。
天候と土の状況というのは関係するのですね。
というわけで、最近の世界の食糧価格などを少し見てみます。これらを見ていますと、ほんの少しでも準備というのか、してもいい段階に少しずつ近くなっているかもしれません。
中国がもたらすかもしれない食糧危機
食糧の基本的な部分である穀物の世界価格の指標のひとつに「先物相場」というものがあります。主に、小麦、トウモロコシ、大豆などが主流の取り引き商品となっているのですが、2021年になってから、なかなかすごいのです。
小麦やトウモロコシの価格も 2020年以来上昇していますけれど、特に大豆がすごい。以下はシカゴ商品取引所の大豆の先物価格の推移です。
シカゴ商品取引所・大豆先物相場の推移 (2017年8月-2021年3月1日)
Weekly Chicago Soybeans Futures 03/01/2021
具体的な数字はともかく、なんかすごいことになってきている。
それより以前のリーマンショック前後の 2008年頃とか、2012年頃だとかはもっと高い時期もあったのですけれど、少なくとも過去 8年では最高値となっていることをフィナンシャルタイムズなどは伝えています。
トウモロコシの国際価格も急激に上昇し続けていて、この最大の理由は、最近の報道によれば「中国が記録的な量の大豆やトウモロコシを海外から買い占めている」ことにより、価格が下がることがなくなっているようです。以下は、フィナンシャルタイムズの記事からです。
中国の記録的なトウモロコシ購入の継続により価格の異常な上昇が続くと専門家たちは見ている
中国による記録的な購入により、昨年(2020年)末以来、トウモロコシの価格が高騰しており、農家やアナリストは急騰がどれだけ続くかを考えている。
世界第2位の経済大国である中国からの旺盛な需要が、ここ数カ月の穀物価格の激しい上昇を後押ししている。
中国は、大豆に関しては、もともと畜産動物の飼料のために常に海外市場に依存してきたが、しかし、中国はこれまでトウモロコシは自給自足できていた。その中での、トウモロコシの輸入の増加は、アナリストやトレーダーたちを驚かせている。
中国が、今年、世界最大のトウモロコシ購入国となり、そして大豆に関しても最大の輸入国になる予定であるため、このセクターの大きな問題は、日本や韓国などの他の主要なトウモロコシ購入者よりも先を行くかどうかだ。
数年前にアフリカ豚熱(アフリカ豚コレラ)の壊滅的な感染流行が、中国の豚の個体数に打撃を与えた後、中国が養豚産業を再建するにつれて、中国のトウモロコシの大量購入が起きている。
それに加えて、環境の問題も重なっている。2020年の中国のトウモロコシの収穫量は、台風と干ばつが、作物の主要な栽培地域である中国北東部の広い範囲を襲ったため、中国政府の公式数値目標の 2億6100万トンよりも 4分の1も少なくなる可能性があると農家やアナリストは考えている。
黒竜江省のトウモロコシ農場の所有者のひとりは、昨年の農場のトウモロコシ生産量は 2019年から 5分の1に減少したと述べた。 (FT 2021/02/21)
ここまでです。
この大豆やトウモロコシというのは、もちろん人間の重要な食糧ではありますけれど、
「畜産動物の飼料として最重要なもの」
でもあるのです。つまり、容易に手に入らなくなってしまうと、畜産動物の飼育が難しくなる。
今年 1月には、日本農業新聞に、「配合飼料高騰 長期化に農家恐々」という記事が掲載されており、動物たちに食べさせる飼料に使われるこれらの穀物価格の急激な上昇が、畜産業には非常に重い問題となっているようです。
それでなくとも、豚熱(かつての豚コレラ)や鳥インフルエンザなどの問題も今では毎年発生しており、さらに、パンデミックの下で、さまざまな飲食店の疲弊による流通の問題も起きていたりと、生産者には大変な状況の方々も多く、今は「農業の根幹の危機」が見えなくもないという感じもしないでもないです。
おそらく、食べることに関しては、今後の私たちは状況に応じてライフスタイルを変えていくしかなくなるのかもしれないですけれど、食糧に関して状況が改善する兆しが見えない上に、これは他の記事で具体的に書かせていただこうと思いますが、気象もさらに荒くなりそうなのです。
以前以下の記事で書かせていただいたことがあります「大きな海流(AMOC と呼ばれる大西洋の海流)の崩壊」が、いよいよ顕著になっていることをドイツ政府の研究機関であるポツダム気候影響研究所が報じていました。
かつて地球に「250年間の寒冷化」をもたらした原因となった「大西洋の海流の崩壊」が正式に確認され、少なくとも欧州と北米は、いつミニ氷河期に突入しても不思議ではない状態に
投稿日:2018年12月1日
上の記事のタイトルには「寒冷化」とありますけれど、この海流が本格的に崩壊、減衰した場合は、そういう単純な話ではなくなりそうで、極端な暖かさと極端な寒さが繰り返されたり、その影響で気象も大変に激しいものとなり続ける可能性が高そうです。
なお、ポツダム気候影響研究所や他によれば、このような海流の状態が確認されたのは、「少なくとも 1600年ぶり」だそうです。
そういうスパンでしか起き得ないような海流の状態による異常気象、あるいはそれと類するものがこれから繰り返される可能性が高くなっています。
今までこのブログで述べることもあった「地球は寒冷化となっていく」というだけのような単純なものでは済まなそうで、死ぬほど暑い夏と、生きられないほど寒くて雪が多い冬をどちらも経験して生きていかなければならないような環境になっていく可能性もあります。
日本に関してはコメあまりの状態も続いていますし、すぐに危機的になることはないでしょうが、今のような状態が今後も続いていくと、先になればなるほど、厳しい状態が出現するかもしれません。
日月神示にありますような「日本の国に食物なくなってしまふぞ。世界中に食べ物なくなってしまふぞ。」というのはまだ先の話でしょうけれど、わりと近いうちに、これまでのように「何でも食べられる」という生活は少しずつ変化していくことは避けられないとは思います。
存在しないものはどれだけお金を積んでも手に入らないですからね。
これも今度書かせていただこうと思っていますが、「人為的な食糧供給の変化」も進行しているようです。たとえば、慈善家のビル・ゲイツさんは「食糧の独占」を狙っている可能性があります。
1月に米フォーブスが
「アメリカ最大の農地所有者がビル・ゲイツ氏になった」
と報じていました。
それと共に、慈善家ゲイツ氏は、遺伝子組み換え作物企業、種子特許、 合成食品企業、化学農薬企業、石油化学肥料企業などへの莫大な投資を進めていることも報じられていて、食糧の慈善事業に対してもやる気満々のようです。
これらの人工食糧的な資産が有効に活用されるためには、「自然から生まれる作物や食糧はできるだけ消えたほうがいい」でしょうし。
アメリカの元国務長官のヘンリー・キッシンジャー氏の以下の言葉が今でも伝えられています。
「食糧供給をコントロールできる者が人類をコントロールする」
気象や自然の状況と共に、人為的なさまざまな行動によっても今後の世界の食糧危機は迅速に進行していくと思われます。
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