2020-06-11

新型コロナの次はイナゴ~・7000万人以上が食糧に影響か!?・~

世界に新型コロナが席巻する以前に問題視していたのがイナゴの大量発生でした。
現在、そのイナゴが大量に発生し、アフリカでなどの炭水化物を徹底的に食い尽くしています。

いま大発生しているのは、サバクトビバッタです。サバクトビバッタは、通常は単体で活動する「孤独相」ですが、1日に90マイル(約145km)移動できる大群、すなわち「群生相」に変わる20種のバッタのうちの1種です。

孤独相のバッタが「群生相」に変異し、群れをなして移動するようになるきっかけは雨です。サバクトビバッタは湿った砂地にのみ産卵します。乾いた砂地では卵が暑さにやられてしまうからです。大雨のあと、バッタは狂ったように繁殖し、砂地は卵だらけとなり、その数はわずか1平方メートルに1,000個ともいわれています。

卵からかえった幼虫は、生え始めたばかりの草に溢れ、食べ物が豊富にある環境で育ちます。バッタは草を食べ尽くすと、さらに食べ尽くすための植物を求めて、群れをなして移動します。

その際、サバクトビバッタの体は移動に適した状態へと変化します。筋肉が増え、体色はくすんだ茶色がかった緑色から非常に目立つ黄色と黒に変わります。体色の変化は、群生相になったバッタが孤独相だったときには避けていた、有毒の植物を食べるようになったことと関係があるらしく、食べ物のせいで有毒の昆虫になっていることを、鮮やかな色合いによって捕食者に警告しているのだそうです。

孤独相のときにこんな色だったら、捕食者に見つけられてしまうのでしょうが、数十億匹も群れをなすようになれば、もはや目立たないようにしている必要はありません。

アフリカでは今後6月後半から7月前半にかけて収穫期が始まりますが、この収穫期とまったく同じ時期に次の世代のバッタの大群が発生するといわれており、ネルギー源となる食糧、すなわちアフリカ中の自給自足で暮らす農民の生存を左右する穀物を食べ尽くしてしまう可能性が高くなっています。

『国連が「聖書にあるような災害」という表現を使うほどのイナゴの大群。その数は以前の「8000倍」に。地球の7000万人以上が食糧への影響を受けるとの警告も』より引用します。

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打つ手なしの状況に突入しつつあるイナゴの大発生

イナゴ(サバクトビバッタ)の大群の発生の状況が 2020年は特別激しいものとなっていることを最初に記事にさせていただきましたのは、 2月の以下のものでした。

疫病と蝗害…聖書的な災いが現実に:狂気的な数千億のイナゴの大発生による被害範囲がアフリカ、中東から中国までの20カ国以上に拡大。国連は6月までにイナゴの数が「現在の500倍に膨れあがる可能性」を警告
In Deep 2020/02/22

この記事のタイトルに 500倍というような数字が出てきますが、これは、2月に、国連食糧農業機関(FAO)が、「 6月までに 500倍になる」と述べたことに由来していますが、このたび、国際的な人道支援団体「国際救済委員会」が、

「イナゴの登場時と比較して、8000倍の数になると予測される」

と発表していました。これがどのくらいの数になるものなのかよくわからないのですが、イナゴの大群は、1.6平方キロメートルに 8000万匹含まれるということですので、100億や 1000億ではきかない数となっていく可能性があります。

この国際救済委員会の推定は、東アフリカに関してのもので、同じように過去最悪のイナゴの発生が続いているインドやパキスタン、イランなどは含まれていないと思われます。

まず最初に、国際救済委員会の発表について報じた英インディペンデントの記事をご紹介します。


イナゴの大群の攻撃で、東アフリカのほぼ500万人以上が飢餓と飢饉の危険にさらされている

Almost five million people at risk of hunger and famine as swarms of locusts ravage East Africa
Independent 2020/06/05

国際救済委員会によると、世界の人口の推定10分の1が、過去70年で最も深刻なイナゴの大群による被害の影響を受ける可能性がある。

国際的な人道支援団体である国際救済委員会(IRC)は、現在、東アフリカなどで起きているイナゴの大発生は、「一つの世代で最悪の規模」となっており、農作物の破壊と、イナゴによる水源の汚染により、東アフリカだけで 500万人近くの人々が飢饉と飢餓の危険にさらされる可能性があると新しい報告で警告している。

イナゴの大群は、昨年6月に東アフリカで最初に出現し、すでにイナゴは何世代かを経ている状態となっており、それらのイナゴは、少なくとも 8か国で数十万ヘクタールの作物を食べている。新型コロナウイルスと東アフリカで繰り返される洪水による混乱によって高まっている悲惨な食料状況をさらに悪化させている。

国際救済委員会は、このイナゴの発生は、「過去 70年間で最も深刻」だと述べており、この大発生は、推定で世界の人口の 10分の 1ほどが影響を受ける可能性があると警告している。そして、その中でも 490万人は深刻な食糧危機、あるいは、飢餓に陥る可能性があると述べた。

このイナゴの大発生はソマリアに最も大きな打撃を与えているが、ケニア、エチオピア、ウガンダ、南スーダンも大きな影響を受けている。

国際救済委員会は、今後のイナゴの孵化は、最初の発生時の最大 8000倍の大群を生み出す可能性があることを警告し、その後、イナゴが東アフリカから西アフリカ全体に拡大することを阻止するためと、そして、インド・パキスタン国境に広がるのを防ぐための予防策の増加を要求している。

国際救済委員会の経済回復担当者は次のように述べる。

「サバクトビバッタは、世界で最も危険な移動性生物のひとつです。今回の発生は、過去 70年で最悪の規模となっており、もともと干ばつと洪水が繰り返し起きていた東アフリカの大地に深刻な影響を与える可能性があり、これは、食糧安全保障において、過去に前例のないリスクをもたらしています」

イナゴの群れは、1平方マイル(1.6平方キロメートル) の 3分の 1ほどの面積でも、1日で、 3万5000人分の食糧と同じ量の食物を食べる。そのようなサバクトビバッタは1日約 90マイル (約 150キロメートル)移動する能力を持つ。

干ばつと大規模な洪水からまだ回復していないソマリでは、全土の半分以上が最近のイナゴの大群の襲来の影響を受けている。即時の予防策の介入がなければ、穀物収穫の 50〜 70%が失われる可能性があり、国の 350万人がすぐに食糧危機に直面すると予想されている。

また、イナゴの大群は、農作物を食べるだけではなく、水源も汚染する。そして、さらには牧畜用の牧草地も破壊するため、家禽類も生きていくことができなくなってしまうのだ。

担当者は、「最悪なのは、それを制御する能力が東アフリカの国々にないことであり、これまでのところ、外部からのサポートを受けていないのです」と述べる。


ここまでです。

なお、先ほどふれましたインド、パキスタン、イランなどの状況についてですが、報道では「さらに増加している」ことが報じられています。

以下は、6月3日の報道からで、それぞれの国がイナゴの侵入に直面しているという内容です。イランやインドでは、すでに「過去最悪級」となっていますが、それよりも激しいものとなる可能性が指摘されています。


テヘラン、デリー、イスラマバードがイナゴの侵入に直面

Tehran, Delhi and Islamabad face locust invasion
AsiaNews 2020/06/06

イラン、インド、パキスタンの各都市は、すでにコロナウイルスにより地域全体の生活基盤が危機に晒されている中、イナゴの大群の侵入による農作物の被害が懸念されており、イナゴの侵入に対処するための共同戦略計画を策定している。

サバクトビバッタは、世界で最も「破壊的な」回遊性害虫と考えられており、1平方キロメートルの 1つの群れに、最大 8000万匹の個体が含まれている。

FAO(国連食糧農業機関)は、インドとパキスタンの国境における「イナゴのリスクの増大」について述べているが、その間にも、インドでは、サイクロン(アンファン)による壊滅的な影響を受けており、インド政府は、イランとパキスタン政府とイナゴ対策で共同の行動を計画している。

イラン政府は、イラン南東部に侵入したイナゴの大群に対しての空中農薬散布と、殺虫剤マラチオンの供給を含む計画にすでに同意している。

イランでは、これまでのところ、31の州のうち 7つの州で 20万ヘクタール以上の果樹園と農地がイナゴの攻撃を受けたと指摘されている。

イナゴの大発生は、東アフリカと西アジアでは珍しいことではないが、しかし、今年のイナゴの発生は、アフリカでは、過去 70年間で最悪となっており、アフリカ大陸の 23か国が被害を受けている。

世界銀行によると、現時点でのイナゴによる被害額は、合計で 2020年だけで最大 85億ドル(9000億円)に達する可能性がある。


ここまでです。

このイランとインドとパキスタンは人口も多いですし(イラン 8200万人、インド 13億5000万人、パキスタン 2億1000万人)、これ以上、影響が広がると、多少厄介なことになるのかもしれません。

このイナゴの影響による最も大きな問題は「食糧」なのですけれど、国連等は、アフリカや南アジアなどへの影響を述べているのですが、では、

「他の国や地域への影響はないのか」

というと、それはどうでしょう。

今や新型コロナウイルスのロックダウンなどの影響で、もともと農業大国だった国も、農家そのものが疲弊しています。

そして、ホテルやレストランが閉鎖されている中で、流通されずに廃棄され続けている野菜や動物類が大量に発生しているということも起きています。アメリカの食糧廃棄の状況については、以下の記事の後半で取り上げています。

世界中が国家運営を停止させている中、アフリカと中東ではイナゴ被害による食糧危機で「数百万人が死亡する恐れ」を国連が発表。同時に、世界中の生産者たちの食糧の廃棄が拡大している
In Deep 2020/04/29

実際、アメリカでもすでに食糧不安は大きくなっていまして、アメリカの医療政策関連の非営利団体「カイザー財団」の 5月27日のレポートには以下のようにありました。

アメリカ人の 4人に1人(26%)は、2月から現在までに、自分または家族が食事を抜かざるを得なくなったか、あるいは、慈善団体や政府の食糧プログラムに依存したと述べ、そのうちの 14%は食糧がなかったために食事量を減らしたり完全に食事を抜いたと述べている。KFF

今後の食糧不安について、国連さえもウェブサイトのニュースリリースで、「聖書的な危機が近づいている」という表現を使っています。

以下は国連のウェブサイトです。

4月27日の国連ニュースより

UN News

国連世界食糧計画の責任者は、このページで、

「このままでは、毎日 30万人以上が餓死することになる可能性がある」

というようなことを述べています。

国連というのは、ある程度大げさな表現を使うことがよくある団体ですが、それでも、このような死者数についての明言は珍しいです。

しかも、このニュースは 4月のものであり、時期として、「まだ新型コロナウイルスの影響も、イナゴの影響も完全には入れられていない状態」でありまして、どうやら、イナゴの被害がここまで大きくなくても、あるいは新型コロナウイルスの被害がこれほど大きくなくても、

「どのみち飢餓はやってきていた」

というのが、国連などの認識だったようです。

国連は、主にアジアやアフリカなどの国の危機を述べていますが、先ほど取り上げましたように、大農業国であり、最も食糧流通が豊富(だった)アメリカでも、すでに 4人に 1人が食糧不安に苦しんでいます。

こうなりますと、日本を含めた自給率が極めて低い東アジアのいくつかの国が安泰であり続けると考えることには、むしろ違和感を感じます。

日本でも、ホテルやレストランあるいは高級料理店などの本格的な営業再開ができていない現状で、農業や漁業などの生産者の方々もさらに疲弊が続いているような気がします。

それに加えて、日本の当局というのは、「本格的な食糧危機を経験したことのない組織」であるわけで、ここまで生産者を痛めつける政策を続けているということは、本当に国家運営に対しての危機意識がないのだと認識します。

~・後略・~

List    投稿者 asaoka-g | 2020-06-11 | Posted in G.市場に絡めとられる環境問題, H02.都市化による環境問題No Comments » 

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