生命はどこで生まれたのか?~海底にある熱水噴出孔のエネルギーに迫る
生命はどこで生まれたのか?
生命の起源は未だ明らかにされていないが、地球で生命が誕生した場所の最も有力な候補と考えられている「熱水噴出孔」について追求してみたいと思う。
■光がなくとも水素があれば生命が存在する
熱水噴出孔が立ち並ぶ熱水活動域は、水深2000mより深い海の底にある。ここは、水素はあるものの、まったく光が届かない環境。そんな場所に多種多様な生物が生息しているのである。
実は、深海の中でも、この熱水活動域に生物が存在するよう。それらの生物は、熱水噴出孔から噴き出す熱水に含まれている、地球の内部エネルギーを利用していて生きているという。
そして、その生物の中に熱水に含まれる硫化水素と二酸化炭素からメタンをつくり、エネルギー源としている微生物「超好熱メタン菌(=ハイパースライム)」が発見された。
このハイパースライムこそが地球最古の生態系の生き残りではないかという。
ハイパースライムが存在するための条件は、高濃度の水素。そのため、熱水と反応して高濃度の水素を発生させるかんらん岩(地球内部の上部マントルが固まってできた超マフィック岩)がある熱水噴出孔まわりに存在するよう。
■生命誕生の鍵になる可能性のある深海での
発電
海底から噴き出し続ける熱水と、熱水噴出孔、そして海水がまるで電池のような関係となり、微弱ながらも常に電気を発生させているという研究が発表された。
生命が誕生するためにはエネルギーが必要。そうした点で深海にある熱水活動域の発電現象は、生命誕生の鍵となるかもしれない。
■新たな熱水噴出孔“ロストシティ”
水深750~900mの比較的深くない海底で発見された熱水噴出孔ロストシティ。
ブラックスモークが立ち込め、400℃近くの温度、強力な酸性という一般の熱水噴出孔とは大きく環境が異なる。ロストシティは、水温は40~90℃にすぎず、海水の酸性度も強くない。
というのも、ロストシティではブラックスモークではなく、海水が、マグネシウム、鉄、ケイ酸塩を含有する、緑色を帯びた鉱物であるカンラン石と反応して起こる蛇紋岩化作用により発生するホワイトスモークにより、メタンガスを生み出しています。
また火山活動が活動源のブラックスモーカーは、活動熱源が枯渇したり、火山活動が構造プレートの移動によって終息すると、チムニーは活動を停止してしまうことに対して、ホワイトスモーカーは安定した存在。そのこともあり、ロストシティは他の熱水噴出孔よりもはるかに古い歴史をもつそう。
熱水噴出孔の中でも、最も生命誕生の場に近い存在ではないでしょうか。
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