世界のエネルギー価格変動は何故おきるのか?世界の価格決定権構造と今後の動向。
前回の記事では、化石燃料の根源について紹介しました。
(前投稿:「石油は限りある資源から、生成できる時代へ変化してきている』)
前回の投稿にもあるように、資源を生成できる時代に突入しつつある現代ですが、資源なくして世界は成立しないのも事実です。
今回は、世界が何故、化石燃料といった資源に頼っているのか、そしてエネルギー価格が何をもって変動しているのかをエネルギーの歴史と昨今の世界情勢から紹介していきたいと思います。。
●エネルギー市場の歴史
18世紀に入り産業革命が起こると、蒸気機関が工場生産や輸送機に転用され「石炭」の需要が上昇しました。そして、技術発展によりエネルギーの汎用性も高まり、一般家庭でも電力など身近なエネルギーを使用する世界が誕生します。これにより、生活水準も豊かになり世界的に人口増加が実現しました。
人類は以降、エネルギーに依存する生活を送り続け、その大半を「石炭」や「石油」に頼ってきたのです。
画像は(こちら)より引用
●エネルギー価格の変動
各国では再生可能エネルギー技術が発展しているとはいえ、大半を化石燃料に頼らざる得ない状況です。だからこそ、化石燃料の国際需給及び価格は、産油国や需要国の情勢に大きく左右されるのです。
ウクライナへのロシア軍事侵攻による世界的な原油価格の高騰も、その一つです。そして、日本内で電気料金が大幅に値上がりしたように、エネルギー価格の変動は我々の生活にも直結する身近な存在であり他人事ではないのは明らかでしょう。
この日本の電気料金が高騰しているのは「脱コロナからの経済回復」、「気候変動による影響」加えて上記の「ロシア軍事侵攻」による影響で、原油と天然ガスの価格が高騰しているのが要因だと言われています。
2021年から22年にかけてコロナ禍から経済は回復しエネルギー需要が高まり、その間で世界的な間伐や気候変動が生じ再生可能エネルギーが著しく低下しました。そして、ロシアのウクライナ侵攻にて高騰に拍車が掛かり一気に高騰したとデータが残っています。→(リンク)
しかし、上段にも記載したようにエネルギーの取引や価格設定は人為的な国家間での政治的影響で大きく左右される事象です。特にロシアのウクライナ侵攻の背後には中国の存在もあり、これら国際情勢の影響でエネルギーの価格も変動しているように見受けられます。
●米国によるロシアへの経済的制裁
この間、紛争が続いているロシアのウクライナ侵攻の理由は、NATOからの攻撃と侵略から防衛するためだと主張しています。
ウクライナは旧ソ連の構成国でしたがソ連崩壊後に独立し、ゼレンスキー政権は親欧米でNATOへの加盟を目指しています。対して、ロシアはウクライナを影響下に置くことでNATO加盟国から自国への侵攻を防ごうと計画しているのです。
このウクライナへの侵攻を続けるロシアに対して、米国と欧州はロシアの財源でもある原油や天然ガスといった化石燃料の輸入を減らしプーチン政権の財源を断つための経済制裁を科しました。
資源大国であるロシアの各国への供給が著しく制限されることで、世界的なエネルギー価格の上昇にも繋がり日本にも影響が来ているのです。
そして、経済制裁を科した米国はシュエールガスを主に、欧州では再生可能エネルギーを活用することで自国にてエネルギーを確保する方向に転換しているようです。この欧米諸国による経済制裁の影響でロシアは完全に孤立状況になりました。
開戦の理由はあれど、結果的に、現状では米国がロシアの経済力(=国力)を削っていることになっているのです。
●世界情勢の変化
2023年に入り、ウクライナ紛争も含め世界は変化しています。中東和平が大きく前進し、中露、BRICS、アフリカ諸国の協力体制が構築されつつあり、中東諸国は続々と協力関係を構築し対米の傾向が強くなっている状況下にあります。→リンク
これまでは米国の勢力が強く原油関係含めたエネルギー価格のコントロール権は米国中心にありましたが、中東諸国が一気に団結すれば資源量の均衡は乱れ世界のバランスは崩れるでしょう。最近では、「OPECプラス(石油輸出国機構+その他の産油国)」が追加減産を発表した情報もあります。→リンク
OPECプラスは追加減産することで価格をコントロールしているのは明らかです。そして、OPECプラスはロシアに対して製剤制裁を科していない国々であり、対米の動きを取っていると見えてきます。
画像はこちらより引用
昨今のエネルギー価格高騰はウクライナ侵攻によるものだと思いますが、今後はそれ以上に世界のバランスが崩れエネルギーの価値感が一変するのも時間の問題かもしれません。
世界のエネルギーは、未だ化石燃料を中心として成り立っています。
しかし、その資源が採掘できる国は限られておりエネルギーの主導権を持っている国は限られます。だからこそ、世界のエネルギー価格変動は気候や災害などの影響だけでなく、世界情勢に大きく左右されるのです。
日本は島国であり資源国でもないためエネルギー資源は他国に依存するしかありません。
だからこそ、世界情勢に目を向け動向を抑える必要があると感じます。
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