「活断層がずれて地震が起きる」は誤り
引き続き、熱移送説の角田史雄先生の新書「次の震度7はどこか?」から要約して紹介します。前回は、「群発地震は前例がないというのはウソ」という視点をお届けしましたが、今回は「活断層がずれて地震が起きる」は誤りという視点です。
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「14日の熊本地震は日奈久断層帯の北端部の活動、16日の熊本地震は布田川断層帯の活動によるもので、隣接する2つの断層帯が連動することで発生した連動型地震である」というのが地震学者の統一見解のようです。
しかし、「活」という字がついていても活断層は過去に発生した大地や地層の切れ目跡に過ぎず、それらの多くは死んだ断層です。「活断層」と呼ばれているもののほとんどは地下数十メートルくらいで消えてなくなっています。
これに対して地震を発生させる「震源断層」のほとんどは地下数キロメートルより深いのが通常です。地下5~30キロメートルの極浅発地震の震源断層につながっている活断層は、利根川直下や糸魚川~静岡構造線、中央構造線くらいしかないのですが、これらの直下で極浅発地震が起こった例は極めてまれです。
このような事実から「果たして浅い活断層が深い震源断層といっしょになって地震を起こすことができるのだろうか」と疑問に思っています。
ちなみに「活断層」の定義は100万年前より後にできた大地の古傷のことで、そのうち地表に現れているものを「地震断層」といいます。断層には裂け目がくっついて動かない断層と、裂け目がくっつかずに水がしみ出すような新しい断層とがあります。後者のうち、100万前より後にできたものを「活断層」といいます。地震の巣になっている生傷のような裂け目は、実は地下深部にあるのです。
一般的にはプレートの動きを受けて古傷である活断層部分が動くといわれています。「日本列島が乗っている陸側のプレートの下方に海側のプレートが沈み込んでいるため、プレート境界が常に力がかかっていて、その力が溜め込まれ、耐えられなくなると大規模な地震が発生する」というプレート説です。しかしプレートの横からの押しでは、長い歴史で固められた岩盤中の古傷跡の断層を再生してズレ動かすことは無理です。
これは人間の骨折と同じで、骨折が治って固まると、次ぎの骨折は、最初の骨折の隣にできるといわれています。
一方、岩盤が熱せられれば、断層を固めていた接着剤的役割を果たしている物質は溶け出します。熱で膨張した岩盤は、四方八方に広がる引っ張り力が働くので、断層面も開きます。これにより、断層は熱で生き返ってズレ動くと考えるのです。
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確かに、地盤は一様ではありませんから、割れやすいところから割れていくとして、割れたことで変形しやすくなってしまえば、次に応力が集中するのは、まだ割れていないところということになるでしょう。実際に断層の多さは、そのようにして無限にひび割れが増えてきた結果ではなでしょうか。
またマグマに熱によって断層ができれば、マグマはそこに自ずと貫入していくことで、断層は再溶接されてしまうというのも納得がいきます。
「地表の活断層」よりも「実際に地震が起きている地下の地震断層」に注目せよとの視点には非常に納得しました。
(続く)
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