2008-05-15

現状の気温データでは、温暖化を証明するには極めて不十分!

IPCCの4次報告書には、古気候的な観点から、地球の気温の変化について以下のような文面がある。
「古気候に関する情報によって、過去半世紀の温暖な状態が、少なくとも最近1,300年間において普通ではないとの考察が裏付けられている。 (途中省略) 20世紀後半の北半球の平均気温は、過去500年間の内のどの50年間よりも高かった可能性が非常に高く、少なくとも過去1,300年間の内で最も高温であった可能性が高い。  (途中省略) 20世紀半ば以降に観測された世界平均気温の上昇のほどんどは、人為起源の温室効果ガスの観測された増加によってもたらされた可能性が非常に高い。
この裏付けとなっているデータで有名なのは「温暖化ってホント?~長期的視点で検証~」でkumazawaさんが投稿されている気温変化のグラフにある古気候学者マイケル・マンたちにより報告されたデータである。
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では、これらのデータがどのような根拠で人為的温暖化説の裏づけとなっているのでしょうか?
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これら(上図)を見ると、確かに、最近の気温変化は過去1,000年間のどの時期の気温変化よりも大きくなっている。また、1,900年以前の数世紀は他の学者が調査したデータからも、20世紀よりははるかに寒かった事が分かっている。この現象は「小氷河期」として有名でkumazawaさんが「温暖化ってホント?~長期的視点で検証~」でも投稿されているとおり、だいたい1,400~1,900年まで続いている。各種の幅広い情報源からも、ヨーロッパ大陸がグリーンランド、アイスランド、スカンジナビア、アルプスでの氷河の急速な成長からも寒かったことが分かっている。
むしろ、上図のマンたちのデータよりも、ジョーンズらが調査した北半球と南半球の気温変化データ(図2-16)や、ヘンディらが珊瑚礁の酸素同位体から分析した気温データ(図2-20)の方が気温低下の様子がよく現れている。
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さらに、ヘンディらのデータや、スイスのエスパーという年輪研究者のグループが出した論文のデータ(図2-17)では、中世の方が現在よりも温度が高い という結果になっている。下の図2-21がそれらを重ねた図です。
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従って、IPCCの「過去半世紀の温暖な状態が、少なくとも最近1,300年間において普通ではない」という見解は、マンたちのデータを見ているとそうかな、とも思えるが、ヘンディ(図2-20)やエスパー(図2-17)のデータを見ていると、ここ最近50年間で起こっている気温上昇と同じように、中世、近世にも50年間で0.4~0.5℃くらいの温度変化はデータ上ざらにあることが分かり、必ずしも近年の気温変化は異常だと言い切れないのが分かる。
さらにマンの長期気温データには問題がある。先ず、データは全て北アメリカの木の年輪データだけに基づいている。二番目に、木の年輪データは陸地のデータに限られる。つまり地表の70%以上にあたる海洋についてはわからないということだ。三番目に、木々の発育は気温以外にもいろんな要因に左右される。これは、るいネットというサイトの「過去の気温はどうやって測定するの?」で土屋さんが紹介されていますよ!つまり、木々は世界の平均気温を記録する方法としては適切ではない、ということだ。
これら現在報告されている気温のデータ間では大幅な不一致が見られ、地球全体の温度変化を示すデータとしては不十分であると言わざるを得ないのだ。
また、過去14万年間では小氷河期や中世温暖期みたいな気候サイクルがざっと1,500年周期で起きているというデータもあるそうだ。そうするとこの2,000年のデータを基に気温変化を明確にするには短すぎることになる。
まとめると、20世紀末の気温は前世紀より高い事は間違いないようだが、過去1,300年間のどの時代よりも普通でないという主張は、データが海上の温度を含まず、ほとんどが北半球のデータに基づいていることを考えると、かなり信頼性に欠ける。
ここまで来ると、マンらのデータが人為的温暖化説によく採用されているのも、過去の気温は比較的安定していて、それが過去一世紀で極度に乱れてきたという印象を意図的に仕組む為、と疑われてもしょうがないのではないだろうか!
気温データは「地球温暖化 埋まってきたジグソーパズル」日本評論社 伊藤公紀著 より引用させていただきました。

List    投稿者 simasan | 2008-05-15 | Posted in G.市場に絡めとられる環境問題2 Comments » 

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コメント2件

 y.suzuki | 2008.09.17 17:44

 何でも溶かし込んで、地球を循環する水に対して、あまりにも酷いことをしてきなと感じます。そのしっぺ返しをくらったのは当然の帰結かも知れません。
 目先では解決できない重い課題ですね。つい100年余り前までは、人工物質がほとんどなかったことを思うと、驚異的な拡散です。物質的な元凶は石油文明でしょうが、それに依存している社会構造そのものの問題に突き当たります。
 身近な水を通して、いろんな問題、課題を考えさせられました。
 
 

 Honda | 2008.09.18 0:37

途上国は先進国の豊かさを羨み、その後を追いかけていきます。
いくら環境対策技術を使おうとも、『物的豊かさ第一』とう観念に染まっている以上、途上国は工業化され、汚染地域≒工業化地域は広がるばかりです。
観念の塗り替えなしには、解決しない問題でしょう。そのためにも、この市場経済がいかに人類の道を踏み外したものなのかの共認形成が必要です。
差し迫る金融崩壊は、人類の構造認識による価値転換のための追い風なのかもしれません。

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