新しい宇宙論を創造するために必要なこと~観測事実をもとに対象に同化するという思考法~
現代宇宙論を語る上で必要な【ブラックホール】【ビッグバン】【暗黒物質】について調べてきました。ここで分かったことは、今や教科書にも載っている現代宇宙論が決して正しい=常識というわけでは無いということです。というのも、現代宇宙論は、観測事実と、それらを統合する仮説論理が合体したものを『事実』としています。そして、特に仮説論理=数式による理論を先行しているということ。
そして、以下の2点より新しい宇宙論が考えられるのです。
1)観測事実は時代とともに精度が上昇=新しい事実が発見される
2)近代科学の仮説論理が偏っていること
この2点について調べてみました。
●まずは、観測事実について。天動説(地球は宇宙の中心で、地球の周りを天体が回っている)が信じられていた時代。天動説と地動説が闘っていたのは16~17世紀です。惑星の運動で有名なケプラーの師匠のティコ・ブラーエ(写真参照)は、天動説を主張していました。彼は、地球が太陽の周りを公転しているとすると、例えば地球は、夏と冬とでは正反対の位置にいます。地球にいる人がある同じ星を観測したとすれば、夏と冬で、その星の見える角度が違うはずです。この角度の差を『年周視差』と言いますが、地動説が正しいならこの年周視差が観測できるはずだと考えたのです。この着眼点は素晴らしいのです(今現在、地球が公転しているという事実も年周視差によって証明されている)。
ティコ・ブラーエ(1546~1601;引用させて頂きました。有難う御座います)
では、何故、ティコ・ブラーエは、全く逆の結論を出してしまったのか?ティコ・ブラーエは装置の精度が足りなかったために年周視差を観測出来なかったのです。夏と冬で星が観測される角度の差を計ることが出来なかった(当時最高の精度で観測したのですが)。差が無いために、星は同じ位置にある。だから地球は動いているわけがない。という結論を出したのです。
年周視差が測れなかった時代には、天動説は明らかに証拠があって正しい理論だったのです。でも、その後、科学技術が発達して、この角度が測れるようになって、まったく正反対の理論が正しいことになってしまった。年周視差が初めて観測されたのは、その300年後の1838年なのです。
●次に、仮説論理です。現代宇宙論では、観測事実と、それらを統合する仮説論理が合体したものを『事実』としています。このように、事実とは観測事実のみではなく、現象事実と整合した仮説論理(観念)も含んでいます。つまり、目に見えないものでも、その周辺の断片的な観測事実をもとに観念を使って仮説を組み立て、その論理が現象と整合し、多くの人に共認されたたものを『事実』と呼んでいるのです。
宇宙や原子核の中などの場合は、日常の経験が通用しない部分が多いため、実感できる部分がすくなくなります。その結果、観測事実より仮説論理の比重は高くなります。事実に含まれる仮説(観念)部分に注目が集まるからです。それゆえ、観測事実と仮説論理を峻別して考えることが重要になってきます。そして、観測事実と異なり、仮説論理には、固定観念が入り込む余地があります。とりわけ近代科学は、キリスト教やデカルトの主観主義(自分の感覚が絶対という意味)や近代個人主義などの思想に大きく影響されているからです。
では、そこから抜け出すにはどうすればいいのでしょうか?
まずは、観測事実はどこまでで、仮説はどこまでなのかを鮮明に峻別することです。そして、神格化や絶対視の起こりやすい仮説論理については、それが生まれた時代背景や思想的背景をもとに違和感を鮮明にすることが重要です。
以上より【観測事実のみを題材】にして、【対象に同化するという思考法】を用い、新しい可能性を追求していくことが、今後の宇宙論を解明する上で、最も重要になると思われます。
(参考文献)
・すごい宇宙講義:多田将さん
・『科学的認識はすべて仮説、その神格化が創造の壁』
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