2020-01-23

オーストラリア大規模火災に見る地球の危機

ご存知のようにオーストラリアでは森林火災と洪水が発生しています。

道路にたまった雨水を、必死に飲むコアラ。振り向いた背中には、痛々しい火傷のあとが…。
大規模な森林火災が続く、オーストラリアに降った、恵みの雨。しかし、その雨はやむことなく、降り続け、今度は、大規模な洪水が発生

現地メディアによると、「消失面積は北海道を超える、約1040万ヘクタールで少なくとも28人が死亡した」とされています。

生態系への影響は、さらに深刻。焼け焦げた大地に座る、1匹のコアラ。
現地では、今回の火災で2万5千匹が死んでいるとの予測が報じられている。
さらにカンガルーやカモノハシなどの野生動物のほか、羊などの家畜など、12億5千万匹が犠牲になったとの指摘もあります。

日本の天候への影響も懸念されており、専門家によると、オーストラリアの雨期の降雨量が減少する可能性があり、日本への寒気の吹き出しを弱めかねず、暖冬を招くおそれもあると言われています。

深刻な「異常気象」対策で後手に回る日本の実態』より引用します。

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異常気象が相次いでいる。今世界中から最も関心を集めているのは、オーストラリアの大規模な森林火災だろう。南半球のオーストラリアでは毎年、夏を迎える12月ごろから森林火災が多く発生するが、今夏は9月ごろから本格化した。主な原因は高温と乾燥だ。

オーストラリアの大規模な森林火災(写真提供:©South Australian Country Fire Service Eden Hills Brigade)

同国の気象庁によれば、昨年の平均気温は観測史上最も高く、平均降水量も過去最少だった。インド洋の海面温度の変化などが原因とみられている。火災は拡大しており、北海道の面積を超す1000万ヘクタールが焼失し、コアラなど犠牲になった野生動物は10億匹とも言われている。そして、その煙は何と1万2000キロ離れた南米にまで達しているという。地球の非常事態と言っていいだろう。

■環境問題への対応は後手に回っている

昨年の12月5日から3日間、日本最大級の環境総合展示会である「エコプロ2019」(主催・産業環境管理協会ほか)が東京ビッグサイトで開催された。SDGs(Sustainable Development Goals、持続可能な開発目標)への取り組みを中心に環境問題への対応についてのさまざまな展示や企画が行われた。

エコプロ2019の風景 小学生も多く訪れていた(筆者撮影)

「エコプロ2019」が開かれていた12月6日、同じ東京ビッグサイトで、『ゼロエミッション都市と気候非常事態宣言―日本で最初のCEDに関するシンポジウム-』(エコイノベーションとエコビジネスに関する研究会(SPEED研究会)主催)も開催された。

日本初の気候非常事態宣言(Climate Emergency Declaration,CED)に関するシンポジウムであり、公明党の山口那津男代表や小池百合子東京都知事も駆けつけ、280名の参加者があった。

シンポジウム「ゼロミッション都市と気候非常事態宣言」風景(筆者撮影)

地球温暖化に起因する気候変動が人間社会や自然界にとって著しい脅威となっているとの認識のもと、気温上昇を1.5℃に抑えるために、2050年までにCO2排出量を実質的にゼロにする必要が指摘されている。

2016年に日本を含む175の国と地域が、気候変動の脅威とそれに対処する緊急の必要性を認識し、温暖化に対して「産業革命前からの気温上昇を2℃より低い状態に保つとともに、1.5℃に抑える努力を追究する」ことを目標とした「パリ協定」に署名した。

すでに、産業革命前に比べて約1℃の気温上昇によって、世界各地で熱波、山火事、洪水、海面上昇、干ばつなどの極端な気候変動が頻繁に引き起こされ、多くの人々や自然が犠牲となっており、地球上で安心して安全な生活を送ることが困難な状況になっている。

しかし、日本人の環境破壊への危機感がなさすぎるという指摘がこのシンポジウム開催の背景にある。SDGsの中でも大きな課題である気候変動対応について、世界ではここ数年、「気候非常事態宣言」を出す自治体が急増しており、その動向が注目されている。

■青少年による「気候ストライキ」の爆発的拡大

危機感を最も訴えているのは、日本エシカル推進協議会名誉会長でSPEED研究会名誉会長でもある東京大学名誉教授の山本良一氏だ。エコプロは大盛況に見えるが、実際の対応は生ぬるいということだ。ここでは、その問題意識について触れたい。

海外での大きな動きの要因に、青少年による世界的な「気候ストライキ」の爆発的拡大がある。これは2018年8月にスウェーデンのグレタさんが国会前で始めたものだ。この行動が広がりを見せ、若者が中心となって気候非常事態宣言などを要求し、昨年3月15日には世界で約150万人、9月23日の国連気候行動サミット開催前には400万人以上が学校を休んで気候ストライキに参加した。

山本良一氏の新著『気候危機』(岩波書店)では「気候非常事態宣言」を発し始めた世界各地の自治体・国についての現状がまとめられている

こうした運動は、新たな化石燃料プロジェクトを禁止し、自治体に気候非常事態の宣言とそれに基づく政策等を求め、市民にはそのための請願やキャンペーンを要請するものだ。2016年4月からオーストラリアで始まり、同年12月に同国のデアビン市が世界で初めて宣言を行った。

その後、この気候非常事態宣言を行った自治体は2020年1月現在、世界25カ国、1315自治体にも上っている。この中には経済大国の首都も多く含まれている。

イギリスのロンドン、フランスのパリ、オランダのアムステルダム、スペインのマドリード、イタリアのローマ、ニュージーランドのウェリントン、カナダのオタワなどだ。2018年の12月にはまだ20程度にすぎなかったが、この1年ほどで急増している。

山本名誉教授は、気候非常事態宣言のポイントを以下のように述べる。

「宣言の内容はエマージェンシーとモビライゼーションの2つに分けられる。エマージェンシーとは非常事態、緊急事態という意味で、現在の気候変動がそういう状況にあり、気候の崩壊のみならず、文明の崩壊まで懸念される。日本ではこの意識が足りない。もう1つのモビライゼーションとは動員、社会の総力を挙げての取り組みという意味だ。例えばレスター・ブラウンは2003年の著書『プランB』で、第2次世界大戦におけるアメリカの総動員並みの行動に言及している」

そうしたスケールで短期・集中的に対応しなければ、この問題を解決できないというのが欧米の認識だという。

日本では、いくつかの自治体が2050年までに正味でゼロカーボンの削減目標を公表したが、気候非常事態は宣言しておらず、市民からの盛り上がりに欠けていた。昨年の9月25日に長崎県壱岐市が初めて、また、10月4日に鎌倉市議会が2番目に宣言を出した。12月になって長野県北安曇郡白馬村、長野県、福岡県三潴郡大木町、鳥取県東伯郡北栄町、大阪府堺市など、相次いでいるが、その数はまだまだ少ない。

■若者たちの環境や人権等への関心は高い

昨年末の12月27日には徳島で「エシカル甲子園2019~私たちが創る持続可能な社会~」(主催:徳島県教育委員会、徳島県、消費者庁)が開催された。エシカルとはエシカル消費(倫理的消費)の略であり、環境、人権、社会、動物等に配慮した消費を促す概念だ。高校生がエシカルな活動を競い、全国のブロックから勝ち抜いた高校生が競うということで、「エシカル甲子園」のネーミングとなった。

「エシカル甲子園2019」風景(筆者撮影)

全国から70校の参加申し込みがあり、ブロック代表に選ばれた12校が徳島に集まった。優勝したのは徳島商業高校だ。

同校は、カンボジアのヤシ砂糖農家の生産現場に屋根を設けるなどして衛生面を改善、増産に成功した事例や、適正価格で買い取った砂糖を使ったどら焼きなどを東京オリンピックの関連施設で販売する計画も明らかにした。

前出のエコプロ2019では多くの小学生や中高生を見かけた。また、エシカル甲子園での高校生の活動を見ても次世代を担う若者たちの環境や人権等への関心は高い。彼らがやがて学校を卒業し、社会に出るとき、企業の環境対応等の姿勢が就職先を選ぶ大きな要因になるだろう。消費者としても環境などに対する意識も高いだろう。とすれば、企業は雇用の確保においても、製品の販売においても持続可能性やエシカルを意識した経営が求められる。

問題は、危機が差し迫っており、中長期的な姿勢だけでなく、目の前の危機にどう立ち向かうかという短期的な対応も求められていることだ。にもかかわらず、環境破壊・気候変動に対する危機意識は薄い。山本名誉教授は早急な「気候動員」の必要性を訴えている。この地球を次世代に残すための時間的余裕はないのだ。

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