2008-09-19

『水資源』の危機!!どうする?-⑩:2.水資源の危機とは 4)このままだと、今後どうなる?:水ストレス→国際的水資源の争奪

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MYLOHASより
『水資源』の危機!!どうする?-⑦:2.水資源の危機とは 4)このままだと、今後どうなる?:食料危機に直結している
『水資源』の危機!!どうする?-⑧:2.水資源の危機とは 4)このままだと、今後どうなる?:産業全般がストップ→世界経済の破綻を招く
『水資源』の危機!!どうする?-⑨:2.水資源の危機とは 4)このままだと、今後どうなる?:肉体破壊を引き起こす
で述べてきた通り、水資源の危機は、私達の生活に深刻な影響を与えている。
しかし、それ以上に大きな視点でみる必要があるのが、水が国際政治の舞台での重要な交渉材料となる可能性である。
つまり、『水を制するものは世界を制する』と成りうるか?という点である。
水資源の危機の成れの果てとは
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水ストレス→国際的水資源の争奪
水資源は、自然環境の視点で見れば、偏在性を有するものである。
しかしながら、市場原理の視点でみれば、前述の通り、農作物や工業製品の輸出入を通して、地域を超えてやり取りがなされているのである。
従来ならば、どこの国家も、自国内で、農業も工業も賄えていたが、地球全体が、市場原理にのってしまっている今、地域によって、細分化されており、自然の循環からは外れた偏在性が生じることになる。
 このことが、国際政治の舞台でも、主導権を握るために寄与しているともいえよう(食糧や工業製品の輸出国に優位に働く可能性がある)
 また、ブログ②でも述べられている通り、世界の水資源は、国際河川という形で複数の国家間で共有している場合が多く、島国である日本のように、完全に国内だけで完結してしまう方がむしろ珍しい。

-『水の世界地図』ロビン・クラーク 著(丸善株式会社、2006年)-より
水をめぐっての紛争は、1948年~98年の50年間で、37件の軍事行動、56件の敵対行動が引き起こされている。
河川は『上流→下流に流れる』という、原理は覆すことは出来ず、これが必ず国家間に偏りをもたらすことになる。つまり、極端な話、上流にある国家が、河川をせき止めてしまえば、下流の国家は、どうあがいても、水を確保することが出来なくなる。逆に、上流の国家が河川を汚せば、下流の国家はどんなに嫌がっても、汚染された水が流れてくることになるのだ。
つまり、国家間で、トラブルが発生した場合、上流の国家にとっては、いかようにも出来てしまう。また、下流の国家については、この問題が発生した時、上流の国家との協議が成立しなければ、武力行使の形にでるだろう。

-『水の世界地図』ロビン・クラーク 著(丸善株式会社、2006年)-より
既に水が、国際的に戦争の武器に使われているのだ。
このことは、島国である日本も決して例外ではない。
食糧編で述べたように、日本は、作物の輸入を通して、多くの水を海外に依存している。
河川の流れが急な日本は、淡水が表流水となっている時間が実は少なく、使える淡水量が限られている。実は日本も、水ストレスに晒されている国の1つなのだ。

これまで述べてきた、今後起こりうる危機を図解をすると、以下のようになる。

我々人間は、60~70%が水で出来ている。どんなに我慢しても、淡水を摂取せずに生きることは出来ない。水は人間にとっては、生命の源である。
その水の危機とは、つまり、人類存亡の危機なのだ
参照
るいネット
自然の摂理から環境問題を考える
■『水戦争-水資源争奪の最終戦争が始まった』柴田明夫 著(角川SSC新書,2007年)
■『「水」戦争の世紀』モード・バーロウ、トニー・クラーク 著(集英社新書0218A)
■『ウォーター・ビジネス』中村靖彦 著(岩波新書878)
■『水の未来』フレッド・ピアス 著(日経BP社、2008年)
■『水の世界地図』ロビン・クラーク 著(丸善株式会社、2006年)

List    投稿者 kasi1106 | 2008-09-19 | Posted in G.市場に絡めとられる環境問題, I04.水資源の危機9 Comments » 

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コメント9件

 にほん民族解放戦線^o^ | 2009.04.04 1:39

G20は現実的には何の解決策も出せない。ドルの終焉は時間の問題。

現在、G20が行われている。
一回目は、“ブレトン・ウッズ?”などと称されて、新たなる経済秩序の在り方が提示されるのか!!と大いに話題になったものだが、…

 雑草Z | 2009.04.05 0:57

  
 新経済財団(NEF、New Economics Foundation)の実態はどのようなもので背後にはどのような団体がいるのでしょうね? ・・まあその理念は幾つかの部分で評価に値します。
 でも、環境と言う名の景気対策であって、かなりの企業、資本家達が利権に群がっていますね。・・彼らにとっては体のいい金儲けの手段に過ぎないかも・・・
 排出権取引もご指摘のように、完全にマネーゲームに繰り込まれてしまいましたね。 ・・・環境と言う意味では効果無し・・・どころか逆効果
多くのCO2温暖化対策がそうであるように、グリーンニューディール政策も資源、エネルギーの浪費と廃棄物の増加が予想され、さらなる環境悪化を招きそうです。
>さすがに現在の金融勢力にはかなり厳しい内容
これも結構評価出来ますが、程度が問題ですね。
>・デリバティブのような新しい金融商品に関する公的監査の強化
と言っても、どの程度かは国家やその機関の対応次第ですね。強硬に規制して、禁止&廃止措置まで取って欲しいものですが・・。
>グリーンニューディールとは、市場原理の延命策に過ぎない代物
その可能性がかなり大ですね。言葉自体の意味が持つしっかりした政策であって欲しいものですが、利権構造の温床になるでしょうね。
>具体的な環境問題などの生存課題に対しての言及
そう、これですね。環境問題に対して、多くの物資と科学技術を投入して行うという方法は大局的には、大抵失敗しているか、問題の先送りですからね。
 残された自然はしっかり残し、自然の循環をサポートする・・・と言う一見消極的な方向のほうが、遥かに効果的な真のグリーンニューディールでしょう。

 雑草Z | 2009.04.05 0:57

  
 新経済財団(NEF、New Economics Foundation)の実態はどのようなもので背後にはどのような団体がいるのでしょうね? ・・まあその理念は幾つかの部分で評価に値します。
 でも、環境と言う名の景気対策であって、かなりの企業、資本家達が利権に群がっていますね。・・彼らにとっては体のいい金儲けの手段に過ぎないかも・・・
 排出権取引もご指摘のように、完全にマネーゲームに繰り込まれてしまいましたね。 ・・・環境と言う意味では効果無し・・・どころか逆効果
多くのCO2温暖化対策がそうであるように、グリーンニューディール政策も資源、エネルギーの浪費と廃棄物の増加が予想され、さらなる環境悪化を招きそうです。
>さすがに現在の金融勢力にはかなり厳しい内容
これも結構評価出来ますが、程度が問題ですね。
>・デリバティブのような新しい金融商品に関する公的監査の強化
と言っても、どの程度かは国家やその機関の対応次第ですね。強硬に規制して、禁止&廃止措置まで取って欲しいものですが・・。
>グリーンニューディールとは、市場原理の延命策に過ぎない代物
その可能性がかなり大ですね。言葉自体の意味が持つしっかりした政策であって欲しいものですが、利権構造の温床になるでしょうね。
>具体的な環境問題などの生存課題に対しての言及
そう、これですね。環境問題に対して、多くの物資と科学技術を投入して行うという方法は大局的には、大抵失敗しているか、問題の先送りですからね。
 残された自然はしっかり残し、自然の循環をサポートする・・・と言う一見消極的な方向のほうが、遥かに効果的な真のグリーンニューディールでしょう。

 y.suzuki | 2009.04.05 2:06

雑草Zさま、コメントありがとうございます。
 微妙なタイミングで、本文の読みにくさを修正させてもらったところでした。引用文の齟齬については、ご了承ください。
 NEFをはじめとして、国連の背後には、常にこういう団体が見え隠れしています。そのメンバーは環境NGOの理事であったりとか、出版社の編集長であったりとかですが、得たいが知れません。
引き続き、調べてみたいと思います。

 雑草Z | 2009.04.05 20:47

NEFのメンバーやその背後が胡散臭いのか、そのグリーン・ニューディール策を利用しようとしている連中の画策か?
・・・興味深いところです。またの報告楽しみにしています。
ここにコメントした後、丁度一時間後に当方の
【グリーン・ニュー・ディール政策】にもコメント戴きましたね。
CO2温暖化対策もそうですが、
このように環境問題対策としての政策が環境問題をより深刻にするのは酷いものです。許せませんね。

 y.suzuki | 2009.04.06 23:58

雑草Zさま、重ねてありがとうございます。
 NEFをはじめとして、国連関係にくっついているシンクタンクやNGO、NPOは、かなり発言権を持っていますが、その実態がなかなか見えてきません。どうしても陰謀論めいた話になりがちです。
しかし、過去からも国際世論を形成してきた影響は無視できないぐらい強いものですから、ぜひとも解明していきたいと思います。
 今後ともよろしくお願いします。

 ホイホイ | 2009.04.16 22:05

> 結局、グリーンニューディールとは、環境対策をネタにした市場原理の延命策に過ぎない代物です。
昨日丁度ニュースで、世界の景気の長期予想をやっていたのですが、『5~7年後には、今行なっているグリーンニューディールの足固めが出来て、軌道にのる。そうすれば、景気は回復する。今後の景気回復の鍵はそこにしかない」って言っていました。
景気回復のネタにされていること自体、完全に市場原理に乗ってるな~って感じがします。

 y.suzuki | 2009.04.19 2:14

ホイホイさん コメントありがとうございます。
>景気回復のネタにされていること自体、完全に市場原理に乗ってるな~って感じがします。>
 ほとんどの政府は、まだ市場第一としか捉えられないようですが、ベネズエラのチャベス大統領は食糧、水を確保する権利を最優先で考え始めましたね。日本も何とかしていきたいですね。

 雑草Z | 2009.04.25 20:03

主題と逸れたコメント失礼します。
>ベネズエラのチャベス大統領は食糧、水を確保する権利を最優先で考え始めましたね。
そうなんですかあ!!・・・やっぱり彼はいいですね。
彼は反米で気骨があっていいですね。ブッシュの事を気持ちのいいほどメチャクチャ言ってましたしね。・・・オバマには少し友好的なようですが・・・
キューバをはじめとして、中南米諸国は、反米反グローバリズムの方向に動いて来て、真の環境問題解決にも積極的な感じです。このラテンアメリカ諸国の指導者達は、気骨もあり、真の政治家って感じがする方が沢山出てきましたね。日本の指導者のような企業と金持ちべったりの悪徳政治家ではないようです。
 中南米諸国に大いに注目しています。キューバについては、最近記事にしました。宜しければご覧ください。
【アメリカとキューバの関係改善に思う事】
http://zassou322006.blog74.fc2.com/blog-entry-393.html

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