2007-07-22

京都議定書に向けた主張2(先進国の場合~その1~)

前回は開発途上国の主張を見てきましたが、では、先進国ではどうだったのでしょうか?



■先進国の範疇(後述の「先進国の定義」参照のこと)

「気候変動に関する国際連合枠組条約」における先進国とは、同条約の採択された1992年当時の日本やアメリカなどを含むOECD諸国24カ国と、ロシア・東ヨーロッパなどの市場経済移行諸国11カ国の計35カ国を指しています。(但し、国家だけでなく欧州連合(EU)も含まれます)



また、枠組条約の採択後、ロシアなどでは国家の分裂や連合国家化の動きがあったことから、京都議定書(1997年)においては、39カ国が先進国の扱いとなり、温室効果ガスの削減目標値を設定され、排出削減義務を負っています。



では、主要先進国の主張をみてみたいと思います。



その前に ポチっとお願いします

 にほんブログ村 環境ブログへ



■EUの主張

OECD24カ国のうち15カ国はEU加盟国であり、1992年の「欧州連合条約」によって将来の統合を目指していたEUは、国ごとの独自の環境政策を持っていると同時に、EUとしての統一的な環境政策を有しています。従って、京都会議に際し、温室効果ガスの削減方策などについて事前の調整が行われ、その結果、「排出権取引」制度導入に慎重な姿勢をとることで一致し、EU全体で2010年には1990年比で15%の削減目標を決定しました。



そして、EUが1997年3月2日、主要国の中で真っ先に京都議定書に向けての削減案を発表した背景には、環境税として炭素税を既に導入していたフィンランドやスウェーデン等を地域内に抱え、自然・再生エネルギーの導入等に積極的で、環境保全に対して先進的な地域であるという側面や、世界自然保護基金やグリーンピースなど会員が多く、環境施策が政治の大きな争点になっていることがありました。

また、アメリカや日本が低い削減案を提示することを見越し、会議の事前折衝をリードする思惑も見え隠れしています。



このことで、EUは「環境派」であるというイメージを持つ方も多いと思いますが、内実は微妙に異なっています。具体的には、EUの削減対象の温室効果ガスを、フロン類を除いた二酸化炭素、メタン、一酸化二窒素の3種類に限定したのは、代替フロン推進を掲げる地域内化学産業から圧力があったためであるとされています。



また、ヨーロッパは自然に恵まれ、森林の多いところという印象を持ちがちであるが、例えば、イギリスの森林面積は国土の8%程度でしかありません。これは、古くから農業・牧畜のために森林を切り拓き、建築資材として使用していたことや、産業革命が以降は森林(樹木)が燃料として使われていたためであり、いまや使い切ってしまう直前にまできていたと言うことになります。



■日本の主張

COP3を招致した日本であるが、EUが数値を伴った温室効果ガスの削減案を発表してもなお、具体的な提案をださないまま、各国、特にアメリカの出方を窺っていました。



日本のそういった姿勢はEUなどから批判されるだけでなく、小島諸島国連合(小島嶼国連合)の主張を支持してきた国内のNGOからも不信感を持たれていました(※具体案を出せなった要因としては、省庁対立などが考えられています)。



日本案は1997年10月6日に公表されましたが、その1週間前にはアメリカに対して事前説明を行っており、アメリカ追従の外交姿勢が窺えます。



EUとアメリカの中間的立場をとった日本の主張の具体内容については割愛しますが(興味のある方は「通商産業省-地球温暖化とCOP3に関する疑問(Q&A)-」を参照してください)、その内容には明確性がなく、NGOやEUの批判の的となりました。更に悪いことに、アメリカがより一層後退した案を出した際の地ならし的役割を買って出たとまで言われています。





「京都議定書に向けた主張3」に続きます。











 



《参考》先進国の定義
■1992年当時
OECD諸国(24カ国)
 オーストラリア、オーストリア、ベルギー、カナダ、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、アイスランド、アイルランド、イタリア、日本、ルクセンブルク、オランダ、ニュージーランド、ノルウェー、ポルトガル、スペイン、スウェーデン、スイス、トルコ、イギリス、アメリカ
市場経済移行諸国(11カ国)
ベラルーシ、ブルガリア、チェコスロバキア、エストニア、ハンガリー、ラトビア、リトアニア、ポーランド、ルーマニア、ロシア、ウクライナ
■京都議定書時
・追加国;クロアチア、リヒテンシュタイン、モナコ、スロベニア、チェコ、スロバキア
・削除国;トルコ、ベラルーシ、チェコスロバキア(チェコとスロバキアに分裂)




お付き合い頂きありがとうございました m(_ _)m

<参考文献>

 ・「京都議定書」再考!/江澤誠/(株)新評論

by 村田頼哉


List    投稿者 yoriya | 2007-07-22 | Posted in G.市場に絡めとられる環境問題5 Comments » 

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://blog.sizen-kankyo.com/blog/2007/07/165.html/trackback


コメント5件

 名無し | 2007.09.15 23:32

長い間関西は地震が無いないと言われていたけど、突然阪神大震災がきたり、最近では、新潟で地震がおきた時、近畿地方が同じ地震帯にのっていると知らされたりと、まだまだ、分かっていないメカニズムがたくさんありそうです。 楽しみにしています。

 通りすがり人 | 2007.09.15 23:43

新潟県中越沖地震が、どの様に首都圏に伝わり、長周期の振動になったのか、詳細な解析が行なわれていますね。
「2007年新潟県中越沖地震 -強震動と長周期地震動-」(東京大学地震研究所・強震動グループ)
http://taro.eri.u-tokyo.ac.jp/saigai/chuetsuoki/wave/index.html
この解析によると、関東平野の厚い堆積層で、地震波が長周期振動に変わり、振動幅も拡大しているようです。
<揺れは地震後20秒で新潟県全域に揺れが広がり、60秒後には、中部、東北、関東の広い範囲に揺れが広がります。関東平野ではその後、3分以上にわたって長く揺れ続けています。平野を厚く覆う柔らかい堆積層において、揺れが何倍にも強く増幅され、そして表面波とよばれる周期の長い地震動(長周期地震動)を生成したためです。>
<固有周期がちょうど7秒の長大構造物(およそ70階建て以上の超高層ビルや、大型の石油備蓄タンクなど)では、この長周期地震動に共振を起こすと最大10cm以上(片振幅)の大きさで揺れた可能性があります。>
ヒルズは54階だから、6秒前後の固有周期をもっていそうですね。

 柏木 のブログ | 2007.09.19 10:16

<中越沖地震>

これ以上被害が広がらなければいいけど。
壊れかけの家がさらに壊れる可能性有りますね。
現地の皆さん気をつけてください

 河内 の日記 | 2007.09.19 19:50

「ボランティア、少し待って」

物資パンク寸前 ってところですか。
ボランティア、やればいいってもんでもないのですね。
とにかく、早く人が安全に暮らせるようにして欲しいと思います。

 HOP | 2007.09.20 2:33

 神戸の地震以降、日本各地で地震が起きてますね。
私がよく見る、地震関係のサイトです。よければ参考にして下さい。
http://www.jishin.go.jp/main/index.html

Comment



Comment


*