火山活動の活発化~マグマの発生について~
宮城、山形両県にまたがる蔵王山(蔵王連峰)など全国で火山活動が活発化する中、5月29日に口永良部島・新岳(鹿児島県屋久島町)で爆発的噴火が発生しました。
2013年の桜島や今年の箱根など、日本各地で火山活動が活性化しています。
日本列島あるいは地球規模で一体、何が起きているのでしょうか?
地球の内部構造は、我々が生活をしている地上地殻は、火山から噴出されたマグマが堆積した花崗岩質のものです。その下には、海底地殻と言って火山から噴出されたマグマが海水で冷やされた玄武岩質のものがあります。
さらにその下には、リソスフェアというかんらん岩等の固い岩盤層があり、第二次マグマオーシャンが冷えて固まった層であると推定されます。
さらに地球内部に向かって、アセノスフェア、メソスフェア、外核、内核となります。
これらの地層は地震波のS波を通すことことからもわかるように固体です。たしかに地球内部、深くなるほど地層の温度は上昇しますが、岩石を融かすほどの高温にはなっていないということです。深くなるほど圧力も高くなり、圧力が高くなると岩石は融けにくくなるのです。
では、一体どこでマグマが発生しているのでしょうか?
融けるといっても岩石は、水などとは違います。
水は0℃より温度が高ければ液体、0℃より温度が低ければ固体であり、0℃のときだけ液体(水)と固体(氷)が同時に存在します。つまり、きちんとした融点(凝固点)を持っています。
しかし、岩石はいろいろな鉱物の集合体であり、その鉱物によって融点が違います。また、鉱物の中には特定の融点を持たずに、ある温度になると一部が融け始めるが、全部を融かすためにはもっと温度を上げないといけないものもあります。こうして、岩石は一部が融け始める温度と、全部が融け終わる温度との間に数百℃程度の幅があり、その幅の間の温度では固体と液体が同時に存在してい ます。もちろん、融け始めの温度付近では固体の割合が多く、融け終わる温度付近では液体の割合が多くなっています。
ここで、地球内部の温度分布と、岩石が融け始める・融け終わる温度のグラフを見てみます(下図:参照)。
地層の温度(青線)と、岩石が融け始める温度が接近している深さがあります。この付近で、何らかの原因で部分的に温度が上がったり、あるいは圧力が下がったりすると、地層の温度は岩石が融け始める温度を超え、岩石が融け始めることになります。
地下で圧力が下がるということはイメージしずらいかもしれませんが、海嶺の中軸部で下からマントル物質が上昇するとき、温度は急に下がらないが圧力だけが下がることになり、マグマが発生すると考えられています。
こうして、海嶺部での大規模なマグマの生成・流出が起こると考えられています。
岩石が融け始める温度と融け終わる温度にはかなりの幅があります。つまり、地層を構成しているかんらん岩がすべて融ければもちろんかんらん岩質のマグマになるのだが、そうではなく、かんらん岩が一部融けて(部分溶融という)マグマになるのです。かんらん岩を部分的に融かしてできるマグマは玄武岩質であることが実験的に確かめられています。そして、この玄武岩質マグマからさまざまな性質のマグマ(さらにそれが冷えてできるさまざまな火成岩)ができることもわかっています。
参考サイト:山賀 進のWeb site「7. マグマの発生(1)」
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