2億7000万人が飢餓!?
年末年始の冷え込みは厳しかったですね。これも「ミニ氷河期」を迎えているからでしょうか。
また、寒さが増すにつれてコロナ感染者も増えています。例年のインフルエンザがそうであるように2月に向けて増え続けていく可能性が高そうですね。
では、食料についてはどうなるのでしょうか?
気候の影響もあるようですが、コロナ禍によるロックダウンや国境閉鎖など、人の流れ、モノの流れがストップしています。
『世界食糧計画が「2億7000万人が飢餓に向かっている」と声明。同時に、2021年は国連発足以来最悪の人道的危機の年となると警告』より引用します。
ロックダウンと移動の制限による「人為的な大量死」の予兆
パンデミックのようなことが起こらなかったとしても、世界ではもともと「食糧問題への懸念」が拡大し続けていました。気象の異常や、一部の国や地域などでの内戦などにより、すでに世界では非常に多くの人が食糧にアクセスすることが困難になりつつあります。
その中で今年、「感染症対策」として突如として世界中で行われたロックダウンや、国境の閉鎖、移動の制限などの中長期的な影響が明らかになってきていまして、いよいよ食糧の問題は来年あたりから、多くの国や地域で深刻化しそうです。
国連世界食糧計画 (WFP)は、12月5月の国連総会において、今後数カ月間の食糧に関しての見通しを発表し、
「このままだと 2021年の人道的危機は壊滅的なものとなる」
として、過去 1世紀の中で最悪の飢餓や食糧不安がおとずれることを警告しました。
それを報じていたロシア・トゥディの報道をまずはご紹介します。
「2021年は壊滅的になるだろう」と国連は歴史上最悪の危機に直面していると警告した
‘2021 going to be catastrophic,’ UN warned it faces worst crises in its history
RT 2020/12/05
国連世界食糧計画の責任者は、これから数か月について悲惨な予測を立て、2021年に予測される「壊滅的な」人道的危機を警告した。2021年は過去 1世紀のどの状況よりも最悪の年になる可能性がある。
世界食糧計画のデビッド・ビーズリー事務局長は、12月4日の国連総会で警告を発した。この会議は、国連の努力の影響を鈍らせている新型コロナウイルスのパンデミックの中で、世界的な努力を議論するために招集された。
事務局長は、現在、「約 2億 7000万人の人たちが飢餓に向かって進んでいる」と警告し、一部の国では飢餓に「ほぼ直面している」として以下のように述べた。
「 2021年は、現段階での状況に基づいて予測すれば、文字通り、壊滅的(カタストロフィック)なものになるでしょう。世界はすでに(緊急経済対策に)19兆ドル(約 1900兆円)を費やしたこともあり、今後、それらの国のお金を利用することができない可能性があります。経済の収縮はすでに始まっており、2021年の各国からの援助資金は十分なものにはならないでしょう」
「私たちは、文字通り 2021年が国連の発足以来最悪の人道的危機の年であると考えており、そうなることを避けなければなりません」
ビーズリー事務局長は、パンデミックと政府のロックダウン政策がこれらの不穏な傾向を後押ししているとして、「経済的な波及効果を考えると、これらはコロナウイルスによるものより(人命や健康状態を)悪化させる可能性があります」と述べた。
シリア、イエメン、南スーダンで進行中の紛争に対しても、「人為的な紛争」も、人道的危機をさらに拡大させる要因になると述べた。
「私たちはこれらの紛争のいくつかを終わらせなければなりません。 そうすれば、私たちが望む持続可能な開発目標を達成することができるはずです」と言い、紛争、健康危機、そして迫り来る飢饉を「タイタニック号の前面にある氷山」と呼んだ。
「私たちが戦略的に、これらの特定の氷山に資金を投入すれば、ワクチンを使って経済を再建しながら 2021年を乗り切ることができると私は確信しています」
8月に事務局長は、栄養失調に直面している人々の数が 2020年の年末までに 80%急増する可能性があると述べ、数百万人が飢餓の危険にさらされており、「聖書であらわされているような飢餓」という表現を使い警告していた。
その一方、ユニセフは 5月に、118の低中所得国で、5歳未満の 120万人の子供が次の 6か月で死亡する可能性があるとし、ロックダウン、夜間外出禁止令、食糧等の輸送の混乱、および医療へのアクセスの減少による子どもの死者の急増を予測した。
ここまでです。
今後、数億人の単位で深刻な飢餓に陥る人たちが出てくると述べています。
それで、このような国連機関とかユニセフというのは、基本的に低中所得国に対して援助などの活動を行っているわけで、今まではそれが基本で問題はなかったのだと思いますが、現在のパンデミック下の「飢餓」は主要国でも起きているというのが、これまでと異なるところです。
たとえば、11月24日の米ナショナルジオグラフィックは、「2020年の終わりには、アメリカ人の子どもの 4人に 1人が飢餓に直面する」と報じています。
この報道も一部ご紹介します。
パンデミックが続く中、2020年にはアメリカ人の6人に1人が飢餓に直面している可能性がある
ホリデーシーズンが近づくにつれ、何キロも続くフードバンクへの人々の列は、アメリカの飢餓が 2007年の不況のピークをすぐに超える可能性があることを示唆している。
One in six Americans could go hungry in 2020 as pandemic persists
nationalgeographic.com 2020/11/24
米国内最大の飢餓救済組織であるフィーディングアメリカ (FeedingAmerica)によると、今年の終わりまでに、5,000万人以上が食糧不安を経験する可能性があるという。これは、アメリカ人の 6人に 1人であり、子どもの場合は 4人に 1人となり、2019年からほぼ 50%増加している。
6月の米ノースウェスタン大学の調査によると、食糧需要はアメリカ全国で 2倍になり、子どもがいる世帯では 3倍になった。
10月、フィーディングアメリカによるフードバンクと食糧配給のネットワークは、パンデミック前の平均月から 52%増加し、約 5億4800万食を配布した。ホリデーシーズンが近づいており、12月はそれ以上になる可能性がある。
「これまで見たことがないような数の人たちが空腹に陥っています」とフィーディングアメリカの担当者は述べる。
現在起きている問題は、数千万人のアメリカ人たちが影響を受けるのに十分なものであり、食料貯蔵は少なくなっている。フードバンクは、連邦政府がアメリカ人へ食糧供給を継続できるようにする新たな刺激策を通過させるのを待っている。
ここまでです。
このように、アメリカでは、数千万人が飢餓に直面しているか、あるいは、飢餓に陥っているということで、今のところ、アメリカではフードバンクやフードスタンプという食糧配給システムが機能しているために、それ以上の人道的危機にはなっていませんが、しかし、
「いつの日か、この無料食糧配給システムが機能しなくなったらどうなるのだろう」
という懸念はあります。
無料で配給できる食糧は「無限ではない」です。
そもそも、アメリカでもヨーロッパでも、事実上の再度のロックダウンあるいは継続している国や地域はあるわけで、2021年になって「すべて問題が解決する」というようには行かない可能性が高いです。
このような状態で、国家としての経済や景気の復活はともかくとして、「個人」の経済状態の復活に関しては、業種にとっては絶望的となっています。
たとえば、12月3日のアメリカの報道では、調査によって、以下のようなことが進んでいることがわかっています。アメリカの調査機関 Yelp の数値です。
パンデミック以来、アメリカで起きていること
・毎日 800以上の企業がビジネスを閉鎖している。
・3月のアメリカのロックダウン時に閉鎖したビジネスの 60%が再開していない。
・2月から9月の間に 31万6,000以上の企業が閉鎖。
春のロックダウンから時間が経過するにつれて、さらに事態は悪化しているようなのです。
現在も再度のロックダウンを続けているヨーロッパの各国でも同じような厳しい状況となっていることが考えられます。
そして、「国からの支援」の多くも、じきに停止されていくことになっていまして、アメリカでは 12月31日に、「家主による賃借人への立ち退きの一時停止措置の期限が切れる」ことになっています。
つまり、2021年1月1日から膨大な数の立ち退きが発生するとみられています。これに関しては、過去記事「2020年は単に地獄の蓋が開いただけで、2021年からその本番に」という記事にも記しましたが、現在、立ち退きに直面しているアメリカ人の数は 800万人と予測されています。
そして、「世界の感染状況はどうなっているか」といいますと、以前、「気温が低下するとコロナウイルスの感染事例は爆発的に増加する」という米ゴールドマンサックスのデータを「コロナウイルスの感染事例は「正確に気温と反比例する」」という記事でご紹介したことがありますが、北半球の多くの国や地域で、この「気温の低下に沿った感染確認者数の増加と入院患者数」となっています。
世界中のほとんどの人たちがマスクをし、社会的距離を強要され、集会や移動の制限や部分的ロックダウンを行い続けていてこれですからね(実際には、秋に各国でマスクの強制化が始まってから感染事例の増加は加速しています)。
そして、気温が下がる本番はこれからなんです。
とても 2021年早々に、事態が好転するようには思えません。各国の小型のビジネスの閉鎖、「個人」の経済的困難の増加はむしろ加速するのではないでしょうか。
アメリカにしても他の国や地域にしても、本来的な意味でもたらされる飢餓とはちがった「新しいタイプの飢餓」に覆われる可能性があります。
これは他の言い方をすれば、
「作られた飢餓」
です。それが 2021年頃から広がっていくのだと思われます。
そして……。
前回の以下の記事で書きましたように、「近いうちに寒冷化の世界となる」可能性が高くなっています。
「太陽の逆光サイクル」と呼ばれる惑星間引力の作用により 2020年代から「ミニ氷河期にほぼ100%突入する」ことを知る
投稿日:2020年12月6日
この記事では、現在と同じような状況だった 1260年「の後の状況」を取り上げていますが、飢饉による死者が多い非常に苛酷な時代がしばらく続いたようです。
そして、「飢餓の蔓延」は必然的に社会全体の健康状態を悪化させますので、パンデミックから始まった飢餓による健康の悪化が、さらなる感染症の蔓延を招く、というどうにもならない「恒久的な輪廻の繰り返し」が社会で発生して不思議ではないです。
先ほどリンクした過去記事でも書きましたけれど、どうやら、
「本格的な苦難が始まるのは 2021年から」
ということになりそうです。
まだ困難の時代は始まってもいなかったのかもしれません。
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