急激に動き出した原子力、その背後は?
前回のブログ「気候変動問題・脱炭素は「エネルギー安全保障問題」へ、BRICS・新G8の力が増大へ向かう!」では、化石燃料を中心とするエネルギーや食料、通貨等が、BRICS・新G8中心に動き出したことを共有しました。その中で先進国G7である日本も先週から新たな動きが起きています。
24日の政府のGX(グリーントランスフォーメーション)実行会議で、岸田首相が原発再稼働と新型原子力(小型モジュール炉(SMR)や核融合炉)の推進の指示。原子力発電については、311の福島原発事故以降、廃炉も放射性汚染物質の処理も結論が出せない中、世論としては「原発」は無いだろうという気持ちが中心だと思います。本日発表の朝日の世論調査でも、「賛成」は34%で、「反対」の58%の状況。なぜここにきて突然、原子力が出てきたのか?そもそも小型モジュール炉は安全なのか、核融合炉は安全なのか?どの程度の効果があるのか?様々な???疑問が沸いてきます。今回は、現在の日本の状況を押さえ、急に話が上がってきた小型原子炉や核融合炉の可能性について見ていきたいと思います。
(トップの画像はこちらからお借りしました。世界最大の核融合炉ITER(フランス))
欧州連合(EU)、米国、中国、ロシア、インド、日本、韓国で共同開発中
原子力発電について、本ブログでも311前後で、安全性等についていろいろな方向から調査・発信をしてきました。下部の主要記事のリンク参照。再度、継続追求して行ければと思います。
■再生可能エネルギーも海外だよりの日本
日本は化石燃料だけでなく、再生可能エネルギーである太陽光やバイオマス等も海外からの輸入に頼っており、輸送のエネルギーコスト増やインフレが大きく影響します。太陽光発電については、日本の各社が撤退する中で、現状はほぼ中国製のパネルとなり。バイオマスについては、今週、日本最大の木質バイオマス発電プラントが、海外からの輸入コスト増に伴い中止に追い込まれました。(大型バイオマス発電、相次ぐ計画中止 輸入頼み燃料、価格2割増)
その他、脱炭素を推進するグリーン水素やグリーンアンモニアは主にはオーストラリアから輸入。ジェットエンジンの脱炭素化(SAF)も国内だけのバイオエタノールだけでは成立せず、輸入体制の確立が急務という見込みからスタートしています。
■ビルゲイツが先導する「小型原子炉(SMR)」
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・ビル・ゲイツは増大するCO₂排出ゼロの実現には「エネルギー・ミラクルが必要だ」と強調した。
・テラパワーの進行波炉(Traveling Wave Reactor=TRW)が有力とし、使用済み燃料を徐々に燃焼し、安全に長期に遠隔地でも運転できる利点を力説。
・小型モジュール炉(SMR)は品質の維持・向上、工期短縮、建設コスト削減が図れ、水素製造や地域の熱供給源としての利用も可能で、再エネの変動を補う脱炭素電源としても期待される。
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今回の岸田首相の突然の原発発言は、コロナで自宅待機中のWeb会議での発言だったこともあり、怪しさを感じます。ビル・ゲイツやそのバックにいるグローバル金貸し勢力の原子力投資と何か関係があるのか?
〇小型原子炉(SMR)とは?
日本原子力研究開発機構の「海外におけるSMRの開発・導入動向(主要に2021年10月段階)によると、国際原子力機関(IAEA)は、従来の100万㎾を超える原子力発電所と違い、1基ごとの出力を小さくすることで原子炉の冷却を容易にし、安全性を高めた30万kW以下の原子炉を小型モジュール炉(SMR)としている。
工場で構成モジュールであるユニットを製造して組み立て、建設地に運び据え付けることで、品質の維持・向上、工期の短縮、建設コスト削減が図れる。需要に応じて、原子炉モジュールの設置数を変えられる。また、水素製造や地域の熱供給源としての利用も可能で、再生可能エネルギーの変動を補う脱炭素電源としても期待されている。こうした利点から、欧米や中国、ロシア、韓国など世界でSMRの開発や導入に向けた動きが高まっている。以上:リンク より
また、安全性では、
福島事故は電源喪失などで崩壊熱の除去に失敗して炉心溶融に至り住民の避難まで必要になった。小型炉では,その特徴を生かし、例えば、ポンプなし、外部電源なし、外部から冷却水を入れなくても格納容器の外側から炉心を冷却できるなど安全性は各段に高まっている。しかし、格納容器内に原子炉や制御棒装置、蒸気発生器を組み込んだ一体構造であり、検査、点検などは課題であろう。以上、リンク
■核融合発電
フランスで建設中のITER(イーター) 外観
〇核融合のメリット
・一般的に燃料となる水素同位体は比較的豊富で、重水素は海水から抽出できる。
・トリチウムは反応自体で放出された中性子から生成される。
・核融合炉は事実上CO2やその他の大気汚染物質を生成しない。
・放射性廃棄物は核分裂反応の残留物と比較して非常に短い半減期を有する。
〇核融合の課題
・プラズマの操作の難しさ。
・反応の熱エネルギーを電気に変換する方法。
ITERプロジェクトは、核融合を商業的に実行可能なエネルギー生産形態に変えようとする最初のステップ。2025年、このプロジェクトの最初のプラズマに到達することを計画。
トカマクで新しい元素の組み立てを継続し、2035年に予定されている核融合とエネルギー回収実験の開始を予定。
以上:リンク 参考。
■まとめ
・世界のエネルギーは、化石燃料だけでなく、再生可能エネルギーを含みBRICS・新G8が優勢になりつつある。
・その中で先進国G7は、原子力の復活と新型原子力・核融合へと加速。それを先導しているのがビルゲイツ財団他のグローバル金貸し勢力。
・日本も、福島311からの脱原発の世論を、エネルギー危機→停電回避を理由に、原発復活に急激に転換しようとしている。
・小型原子力SMRや核融合は、本当に安全なのか?
以下の今までの追求も含めて、小型原子力や核融合について、安全性及び今後の課題について更に突っ込んで行きたいと思います。
〇原子力とは何か?過去投稿紹介
基礎からの原子力発電 シリーズ
『次代を担う、エネルギー・資源』原子力発電のまとめ シリーズ
東北地方太平洋沖地震~原発は必要か否か~シリーズ
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