「沈黙の春」レイチェルカーソン著 の隠れた意図
金融破綻を契機として、国際金融資本家たちの実態が暴かれつつある今、sinsinさんの記事にもあるように、環境運動と彼らの思想背景がつながってきました。
歴史的にセンセーションを巻き起こした「沈黙の春」の場合どうだったのでしょうか?
著者は純粋に環境破壊を告発しようとしたとおもわれますが、当時の金融史資本家にとってはすこし異なった捉え方をしていたようです。
その前に、応援よろしくお願いします。
この本は1962年、アメリカで出版されました。論点をおさらいしますと、
■当時のアメリカの現状
広大な農地に単一作物を植えること自体がある種の害虫を発生させた
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害虫駆除の必要
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化学合成殺虫剤を誰かれかまわずにやたらと使用(飛行機による無差別な空中散布など)
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多くの地域で、動植物が死滅(分析の結果、高濃度のDDT検出などによる)
■その化学合成殺虫剤とは
・塩化炭化水素系
DDT:1874年ドイツで合成したが殺虫効果がわかったのはスイスのパウル・ミューラーが1939年に発見。粉末状では経皮吸収しないが、油脂に溶けると浸透し脂肪に蓄積される。肝臓などの器官を破壊。
クロールデン:固着性が強く、また揮発性があり呼吸器官からも吸収される。
ヘプタクロール:クロールデンの4倍の毒性
ディルドリン:DDTの5倍の毒性(生物種によっては50倍) マラリアがDDT適応した後、一時利用したが中毒症状、死者が出た。
アルドリン:ディルドリンに変化する。
エンドリン:ディルドリンの5倍の毒性(DDTの15倍の毒性)
・有機リン酸系
パラチオンなど:酵素を破壊。神経系がやられる。世界で中毒死多数。
■化学合成殺虫剤の問題性
生命原理は全体が精緻なシステムとした機能しているので、見た目には関係のない器官や組織に影響がある。病気や死亡の原因と結果は単純につながっていないので、いろんな分野の研究成果を集めてようやくわかることとなる。
この化学合成殺虫剤は、生物のATP回路の酵素を破壊して酸化作用をとめるものが多い。発ガン性や生殖機能に影響を与えている。(生殖機能への影響はロックフェラー医学研究所にて実験された)
■化学合成殺虫剤を使って何がわかったか
1.自然(生命の適応原理)そのもののコントロールこそ害虫駆除に効果的である。
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害虫の天敵による駆除
2.ひとたび環境抵抗が弱まると(化学合成殺虫剤の使用を停止すると)爆発的な増殖力を示す。
皮肉にも、ウガンダでは対象とする害虫のために使ったDDTが、害虫には耐性ができてしまい、その天敵がDDTによって死滅してしまったため、大繁殖してしまった。アメリカでも、使用後6年たった1951年にはDDT耐性をもつ害虫が発生している。
■その他の生物学的害虫駆除方法について
・雄不妊化:放射線照射により雄を不妊化させて放ち、自己崩壊へ導く方法。
by合衆国農務省昆虫研究所長エドワード・クニプリング 1954年キュラソー島にてハエの絶滅に成功。
・性誘引物質や誘引音反応、微生物の活用による駆除
<■著者来歴
レイチェルカーソン女史は、1907年ペンシルヴァニアで農場主の娘として生まれ、ペンシルヴァニア大学の動物学を専攻。25歳で学位を得て、合衆国漁業局、魚類・野生生物局に勤務しその生態の情報収集に関わる。45歳から文筆(生物ジャーナリスト)に専念し、1964年没。
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この環境問題の古典的書物を改めて読返すと、カーソン女史は、心底には自然の摂理に則っていない現状に憤りを感じていたと推察されます。一方で、時の支配者とその代理人たる行政による市場原理優先の事業戦略、政策が浮かび上ります。
当時はこれに共感したひとがかなり多かったのもうなづけますが、その後、発展途上国を中心に世界銀行やIMF主導でDDT が廃止されると、逆にマラリアによる犠牲者が増大したことも見逃せません。このことは、その背景にある支配者(国際金融資本家)の価値観が、究極的には途上国などの非白人などの大多数を人口抑制する戦略の布石としてセンセーショナルに奉られた疑いを持ってしまいます。
それに気づかず、環境問題に専念させられてしまう構造自体、支配者の思う壺であり、実は、経済や福祉、教育などあらゆる面で支配されていること、そのシステム自体が問題であることが現在一番の課題なのだと気づきました。
カーソン女史の遺志をひきつぐならば、まず、根本原因たる市場経済システムによる世界的な支配構造を転換していくべきなのだと帰結します。かれらの欺瞞の核心を暴くことが不可欠です。
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