2014-11-11

【微生物の可能性】1.~放射能除去の現象事実(後編)~

今回のシリーズのおさらいです。

【微生物の可能性】プロローグ ~”微生物の可能性追求”とは”自然の摂理の探求そのもの”~

【微生物の可能性】1.~放射能除去の現象事実(前編)~

【微生物の可能性】1.~放射能除去の現象事実(中編)~

“微生物”と“放射能除去”に関連する「現象事実」、いよいよ後編となります。

まず、前編・中編では“微生物単体の作用”について着目して、具体的な事例を整理してきました。今回は複数の微生物が群生することでの放射能除去の事例を取り上げます。自然界において、微生物たちはお互いに影響を与えあって生活をしています。今回も前回と同様に、微生物がどのようにして放射能除去に関わっているのか、現象事実を整理していきます。

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☆☆☆EM(有用微生物群)の事例

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1980年に比嘉照夫氏によって開発されたEMは、農業に有用と思われた2000余種の微生物の中から、自然生態系や人間にとって安全、かつ、何らかのプラスの作用を持ち、マイナスの作用が全くない5科・10属・81種の微生物の複合共生体です。EMの中核的な微生物は、嫌気性の光合成細菌と、条件により、嫌気または好気条件によって機能する乳酸菌と酵母です。この3種が連動的に機能するようになると、こうじカビや納豆菌や放線菌などの好気的な微生物も共存できるようになります。

このEMが放射能除去への可能性が見られた人体への影響の事例を紹介したいと思います。

☆EM技術による放射能被曝対策

広島の被曝者(外部被曝)が「EM・Xを飲んだら白血球の数が正常値に戻り、免疫力も向上し、風邪もひかなくなった。同時に、被曝前のすがすがしい体調に戻った」という話から始まりました。NPO法人「チェルノブイリのかけはし」代表の野呂美加氏の依頼により、EM研究機構の協力を得て、チェルノブイリ原発事故の被災地になったベラルーシの放射能汚染対策に関する研究を行われました。子供21名を対象に、2002年7月23日から8月31日までの40日間、日本で療養を行った前後に行われたものです。

実験結果 集計表(単位:Bq/kg)

実験結果 集計表(単位:Bq/kg)

子供の平均年齢は9.7才で、EM・X(EMの発酵の力を利用してつくられた健康飲料)を1日当たり30cc飲むグループ、EM・Xを1日50cc飲むグループ、EM・Xを飲まないグループと以下の表のようなA,B,Cの3グループに分け、計測から40日後も実験は行われ、次のような結果になりました。

Aグループは、実験前の身体放射線負荷量の平均が81.6(Bq/kg)、40日後には26.8に減少し、汚染地帯に戻って3ヵ月後でも22.16まで下がりました。Bグループは実験前の身体放射線負荷量の平均が88.7(Bq/kg)、40日後には正常値へと戻りました。汚染地に戻ってから1年経っても正常値のままだったそうです。Cグループは実験前の身体放射線負荷量の平均が63.0(Bq/kg)、40日後には33.8まで戻りました。

この測定後からEM・Xを飲み、汚染地に戻って3ヶ月後、再度上昇し37.31となりました。

Bq/kgとは比放射能を表し、放射性同位体を含む物質の、単位質量あたりの放射能の強さのことを数値化したもの、あるいは、単位時間・単位質量あたりに同一の放射性物質が崩壊する回数ともいえます。

・  EMによる被曝対策 ~放射能対策に関するEM(有用微生物群)の可能性~(船井幸雄.com

・  微生物による土壌の浄化(微生物と共存するライフ

EM・Xを飲まなかったCグループの数値が減少しているのは、セシウムの生物学的半減期が約40日であることからと考えられますが、EM・Xを飲んだA・Bグループの身体放射線量は、その生物学的半減期よりも、およそ2~3倍のスピードで体内の放射性物質の数が減少していることがわかります。

また、比嘉照夫氏の論文ではEM・Xを飲用することで、耐放射性機能は持続すると述べており、要するに、新しく放射性物質が体内に侵入しても、EM・X内の微生物の働きによって“その数は増えない”ということで、その効果がA・Bグループの130日後の結果から読み取れます。

では「何で体内の放射性物質は減るのか?」を考えてみると、以下の2つの仮説が挙げられます。

EMを飲まない場合 (Cグループ)

仮説(EMを飲んだ場合)

 

 

 

 

 

 

①     体内の放射性物質を排出するスピードが速くなる。 (①の絵)

②     体内の放射性物質が別の物質へ変換している。     (②の絵)

 

☆☆☆EMBCの事例

先ほど紹介したEMに対し、EMBCとは何でしょうか。EMBCとはEMを基にして、高島康豪氏が開発したバクテリア浄化システムのことです。

EMと似たようなものと思われていますが、本質的な違いとして、EMは80種類のバクテリアを最初から種菌として入れているのに対し、EMBCには生菌はまったく入っておらず、代わりに菌培養酵素が含まれています。

作り方は、

『【放射線を無害化する微生物】複合微生物体系の複合微生物動態系解析における複合発酵法を用いた放射能・放射性物質分解処理方法【実施例報告】』

①(リンク)、②(リンク)、③(リンク)、④(リンク

に詳細が書かれていますが、要するに“空気中に含まれる常在菌を超高密度に培養したもの”です。

ここでは、福島第一原発から39km離れた福島県伊達郡川俣町で行われた実験で、土壌内の放射能除去の事例を紹介します。

 

☆『微生物触媒による土壌の放射性物質分解消失実験』

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福島県伊達郡川俣町 50坪の実験区画

福島県伊達郡川俣町で「放射能汚染バイオ浄化機構」による放射性物質の分解消失実験が2012年5月6日から3日間行われました。実験の内容は

  1. 実験区画内の指定位置から、土壌サンプルを採取。なお、作業中、一切の草、土壌などの持出は行わず。
  2. GM計数管サーベイメーター(以下、ガイガーカウンター)による測定。

・空間線量(1,000CPM=約3.5μSv/h)

・試験地土壌線量測定(1,400~1,500CPM=4~5μSv/h)

5/6 実験内容

5/6 実験内容

とします。ここで使用されるCPM(Counts Per Minuteの略)とは、ガイガーカウンターで採用されている単位で、1分あたりの放射線計測回数でα線・β線・γ線などの放射線量を示しています。放射線測定機に1分間に入ってきた放射線の数を計測しますが、人体への影響の大小は考慮していないようです。以下、日別に実験の結果をまとめます。

 

<5月7日>

実験開始から概ね1日半、40時間程度でのガイガーカウンターの測定値は、450~700CPMまで減少しました。

5/7 実験内容

5/7 実験内容

<5月8日>

ガイガーカウンターの測定値は、450~700CPMとなり、前日(12時間前)とあまり変わらない結果となりました。周辺の対照区では1,600CPMで、実験開始時とほぼ同数値です。

<5月9日>

ガイガーカウンターの測定値は、比較的低い場所では450~500CPMでしたが、600~700CPMの

5/8 実験内容

5/8 実験内容

ところが多くみられました。周辺の対照区では、1,800CPMで、300CPM前後の増加が見られました。

各種分析の報告は9日となっており、中間経過として、ここまで結果が報告されています。10日以降も複合発酵固形バイオ、複合発酵酵素水の散布は継続しているようです。

・  EMBCについて(大地の響

・  微生物で放射能を除去するプロジェクトについて(日比野庵本館

・  ガイガーカウンターの数値が1500CPMから800CPMに(5月6日)(㈱高嶋開発工学総合研究所

・  震災トイレのこと(東海アマのブログ

土壌における放射能と微生物について取りあげました。

この実験結果から、土壌周辺の放射線量が減っていることがわかります。2012年5月12日以降の結果について挙げられていないので、毎日散布し続けることが必要なのか、いつまで効果が持続するのかどうか、今後土壌のみで自立できるのかどうかは追及の余地がありそうです。

 

☆☆☆EMEMBCの実験結果から仮説を立てる

先程のEMで挙げた仮説である①の排出はそもそも土壌にない機能なので、EMBCには成立しないということになりそうです。だとすると、微生物の働きによって②の放射性物質が別の物質へ変化させ、放射性物質量が減少し、その結果、放射線量が減少したと考えるのが有力です。

また、“単体”ではなく、“群生”=共生的に複雑な働きをしているからこそ、複合的に様々な効果が持続できるのだとも考えられます。

そして、効果が持続するということは、ある特定の微生物が特異的な働きをするではなく、微生物たちにとって普段の営み(ex.代謝?)の中で放射能を減少させる働きがありそうです。

 

今回はEM・EMBCが放射能除去に対してどのように働くか、について紹介しました。前編・中編で紹介した話とは違い、微生物たちが“相互に連関した作用”の結果、放射能が除去(無害化)されていると考えられます。ここまで、述べてきた微生物の現象事実を基に、次回からは仮説を立てて、微生物の反応による“放射能除去”のメカニズムを理論化し、とことん追求していきたいと思いますので、ご期待ください。

List    投稿者 tutinori-g | 2014-11-11 | Posted in A.史的構造認識から紐解く環境No Comments » 

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