2014-10-17

【微生物の可能性】1.~放射能除去の現象事実(中編)~

今回も前回に引き続き、“微生物”と“放射能除去”に関連する「現象事実」の紹介をします。

前回では身近な例として、味噌に含まれている“酵母”という微生物に着目しました。味噌汁を飲んでいた人々は原爆症を発症することがなかったことから、酵母が放射性物質に対して何か働きかけていることについて述べました。今回は“酵母”以外の微生物である”光合成細菌”が放射能除去に対し、どのように関わっているのか現象事実をまとめていきます。

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光合成細菌

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画像はこちらからお借りしました

突然ですが、光合成細菌をご存知ですか。光合成細菌は前回、味噌のところでも出てきましたね。

光合成細菌は緑色植物が行う光合成と違い、嫌気的条件下で光エネルギーを利用して酸素を発生しない光合成を行って生育している細菌です。水を分解することもない代わりに他の生物にとって有害な硫化水素を分解し、地球環境の維持に重要な役割を持っているといわれています。この光合成細菌が放射性物質に対して、どのような働きをしていて、放射能除去にどう関わっているのかを事例を基に整理していきます。

~事例1~ ササケンプロジェクト

広島国際学院大学研究グループ(代表 佐々木教授)は環境修復技術により、放射性物質に汚染された環境を清浄する目的で10年前に研究をスタートしました。2013年5月13日より、福島県南相馬での光合成細菌によるバイオ除染実験として“ササケンプロジェクト”が本格的に始まりました。

このプロジェクトは常温常圧で除去作業が現地で可能とし、安全で低コストで尚且つ高効率に放射性物質を除染ができ、使用後も焼却処理時に放射性物質は拡散しないと言われています。その結果、汚染された土壌へも使用できる画期的な技術と考えられています。佐々木教授はプロジェクトの内容を以下のように述べています。

――――――――――

① 光合成細菌を使って泥の中の放射性セシウムを回収する。
② 光合成細菌の表面に放射性物質を磁石のように引き寄せる性質があり、プラス電気のセシウムを吸着する。
③ 細菌はカリウムを取り込んで生きるが、取り込まれる際に似たような動きをするセシウムも吸収したとみられる。
④ 光合成細菌の重金属イオン吸着能力は高く、1トンの水に含まれるCs・Srを速やかに吸着・除去している。
⑤ 細菌を混ぜた粒状物質は、乾燥して焼却すると容量は75分の1、重さは100分の1に減る。セシウムは温度640度でガス化し拡散するが、500度以下なら拡散しない。

2012年9月に福島市内で採取したヘドロでの実験では、セシウムを約90%除染することに成功。福島市内の公立学校のプールからヘドロを採取し現地で実験。細菌90グラムをアルギン酸などに混ぜた粒状物質をビー玉大にし、濃縮したヘドロ50リットルに投入。3日間の放射線量を計測した結果、実験開始前に毎時12.04~14.54マイクロシーベルトだった放射線量は同2.6~4.1マイクロシーベルトまで減少した。

3日間 PSBビーズで除染後、最大90%の放射性物質除去を確認。使用後のPSBビーズは乾燥・焼却することにより、放射能汚染なしに、97-99%減容量できる。

・  ササケンプロジェクト(バイオ放射能研究所

・  光合成細菌を使った環境修復技術で放射性物質を除去する新技術(ボツネタ倉庫プチ

・  光合成細菌成分による最新の放射能除去技術!3日間で最大90%の放射性物質(Cs・Srなど)を除去!その他の重金属も吸着可能!(真実を探すブログ1375924091

――――――――――

実験結果では、光合成細菌を基に開発されたPSBビーズを用いて、放射線量が減少していると記載されており、光合成細菌には放射性物質を吸着させる性質があると説明されています。しかし、この説明では、放射性物質をPSBビーズの中の光合成細菌が放射性物質を集約させた結果、放射性物質が元いた場所の放射線量を減少させている、とも考えられます。つまり、この説明では、放射性物質を無害化しているかどうかは、はっきりしていません。PSBビーズに集まった放射性物質を微生物が吸収することで、放射能を除去していると考えるには早いのではないでしょうか。

この事例だけでは、まだ不鮮明な点が多いです。さらに整理していくために、どのような性質があるのか、他の事例を参考に見てみましょう。

~事例2~ 『光合成細菌』で放射能浄化!

直進運動中の光合成細菌

直進運動中の光合成細菌

放射能さえもエネルギー源として利用する“光合成細菌”とそれに活力を与える“乳酸菌”のコンビが放射能を無害化する!と飯山一郎氏は述べています。飯山氏は「光合成細菌に紫外線を照射して培養していたところ、X線を照射することで光合成細菌がより早く増殖することを発見し、同様の方法で乳酸菌を育てると乳酸菌も増殖する。

光合成細菌は鞭毛(べんもう)をクルクル回転させて肺内を泳ぎまわって放射性物質を回収し,一部は乳酸菌に渡し,残りは痰(たん)となって肺の外へ出て行く。」と述べました。

・  微生物とっては紫外線も放射線も同じエネルギー(★『光合成細菌』で放射能浄化!★

この事例では、光合成細菌と乳酸菌の両方が増殖すると記載されています。増殖するということは、微生物自身が増殖するためのエネルギーを得ていると考えられます。つまり、光合成細菌(および乳酸菌?)が放射線を吸収し、その結果、外へ放出させないことでエネルギーを摂取していると言えそうです。

また放射線を当てた光合成細菌について飯山氏は次のように述べています。

「光合成細菌は,消毒用の紫外線ランプで紫外線を照射すると,大喜びするのだ。紫外線ランプから発射される紫外線を少しでも余計に浴びようと集まってくる。そうして爆発的に増殖してゆく。光合成細菌を培養する水槽の紫外線が当たる部分には増殖した菌体が山をなす。それほどに光合成細菌は紫外線のエネルギーを浴びながら増殖するのだ。

病院のレントゲン室で機械が熱くなるほどX線を照射した後のペットボトルをよく観察すると,X線が当たる面に光合成細菌の菌体がビッシリ付着しているということ。それは見事に光合成細菌がX線を求めて水中を走行した軌跡だ。そう! 光合成細菌は,放射線が来る方向に向かって泳ぐのだ。」

 

この2つの事例を整理すると、“光合成細菌”と“放射能除去”との関係には以下の2つの働きが考えられます。

ブログ資料1①  放射性物質を一ヶ所に集約する

(集約 → 放射性物質は一定)

②  放射線を吸収することで、

  エネルギーにする

(吸収 → 放射線は外に放出されない)ブログ資料2

 

 

ここまで、前編・中編とそれぞれ、微生物単体に着目し、どのような働きをして、放射性物質とどのような関係があるのかを事例を基に紹介してきました。

次回の後編では、複数の微生物が群れをなして共存している事例を具体的に紹介します。

List    投稿者 tutinori-g | 2014-10-17 | Posted in A.史的構造認識から紐解く環境No Comments » 

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