2009-12-24

環境と経済(3) ~実現事例から可能性を考える~

環境と経済の関係を考えるシリーズ第3弾。今回がシリーズ最終回です。

貨幣の自由度を制限することで、市場の力を制限し、環境対策に取り組むということです

宇沢氏の論理、なかなか素晴らしいですね 😀
今回は、「環境と経済の関係」を模索し成果を出している実現事例を紹介し、今後の可能性を探っていきたいと思います。
またまた続きを行く前に、応援を ポチッ 😉 とお願いします
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
『環境と経済』 シリーズバックナンバー
環境と経済(1)
環境と経済(2)

 にほんブログ村 環境ブログへ


それでは、「なかなか上手いこと折り合いつけようとしてるなぁ 🙄 」という実現事例を紹介します。
滋賀県野洲町の事例です。
(1)実現事例の概要
滋賀県野洲町では、地域通貨を導入して自然エネルギーを普及させる為の仕組みが構築されています。この仕組みの最大の狙いは「環境と経済の両立」
自然エネルギー普及に必要な事業資金を、行政の補助に頼らずに得る手段として、地域通貨「 すまいる 」を媒介して市民や企業に対して寄付を募るという方法です。
「参加者の誰もが損をしない」ということを前提に、

◆地域経済の活性化につながる
◆善意に頼らない
◆企業寄付・行政補助に頼らない

ということを目標とし、環境と地域通貨を媒介とした地域経済をリンクさせることで、補助金なしでも自立できるシステムとなっています。
それでは、詳しい仕組みを見ていきましょう。
(2)その仕組み
 登場するのは、地域住民、地域の加盟店、NPO法人「エコロカルヤスドットコム」、そして行政の野洲町です。
①地域住民
 まず、地域の住民がNPOのもつ自然エネルギー(太陽光発電)の基金に対して一口1,000円の寄付をします。NPOは、その1,000円に対して 1,100すまいる の地域通貨を発行します。これは厳密に言えば商品やサービス割引券、法律上は減免措置という形になります。1すまいる は1円相当ですので、1,100円相当の地域通貨を買うという形です。
 この地域通貨は、地域の加盟店や行政が提供する商品・サービスに対して使えます。例えば、有機トマトを売っている農家があって、「1,000円の購入につき 100すまいる 使用可能」といった協定をNPOと結びます。これを地域住民が買う場合、900円と 100すまいる を支払うことができます。すまいるの使い方については、参加企業・個人が自由に設定できます。行政も対等な参加、つまり一事業所としてとらえており、例えば町営の温水プールの利用料600円のところを500円+100すまいる でも受け付けるというふうになります。
 そして、「すまいる」は、使用または発効後半年の期限(プリペイド法で規定されている期間)で消滅し、また換金も不可なため、流動性の確保と、実体経済から乖離しないようなうな工夫も取り入れられています。
kameisho.gif②地域の加盟店
 加盟店は、貯まった「すまいる」を年度末にNPO法人に持っていくと、「すまいる」分の協力感謝金を受取ることができます(但し、限度額あり)。なお、地域通貨による割引率は各加盟店が決定します。(例えば「1,000円の買物につき、100円分は地域通貨が使える」等)
③NPO法人
 NPO法人は、寄付金額が一定に達すると、それを使って公共施設の屋根等に太陽光発電設備を設置し、行政に寄付します。また、加盟店から参加費として年間2,000円を徴収し、運営費の一部に充てます。
④行政(野洲町)
地域協同発電所の設置場所を提供した行政は、売電収入をNPO法人に還元します。
これにより、

◆地域住民(寄付者)から見ると「1万円の寄付が1万1,000円の地域通貨に変わるので、若干の得」
◆加盟店から見ると「多少の割引等が必要だが、顧客の増が期待できる」
◆行政から見ると「寄付金により太陽光発電等をNPO主導で設置、財政的負担なし」

となり、「参加者が損をしない」自立的な仕組みが構築されているのです。
%E8%87%AA%E8%BB%A2%E8%BB%8A%E7%BD%AE%E5%A0%B4.jpg(3)その成果
この結果、現在、加盟店は150店に達し、太陽光発電パネルが自転車置き場の屋根などに設置されているようです。また、今まで大規模小売店舗に流れていた客が地域の加盟店に流れるようになり、中には売り上げば倍増になったという店もあり、地産池消の促進地域の活性化にも貢献しているようです。(すまいる市ホームページ
(4)まとめ
太陽光発電が新エネルギーとして有効か否かはさておき、この野洲町の事例は、宇沢氏が言う社会的共通資本(インフラとしての社会資本)に対し、地域通貨を介在させ、地域の環境に投資されたグローバルマネーである円を地域内で循環・固定化させ、更に地域経済の活性化をも連動させた好事例だと言えます。
つまり、この野洲町の事例は、地域という狭い範囲ですが 『個人の選択の自由を制限』 した結果、『環境と経済が両立』 し、『地域住民の活力も再生された』 ということを物語っているのはないでしょうか。
現状は地域レベルに留まっていますが、国家レベルで貨幣の自由度を制限し、みんなが本当に必要とする事業に税金が投入されるという社会的共通資本に対する共認が図れるようになれば、この成果が示すように、環境と経済は両立され、日本国民の活力再生にも繋がっていくのだと感じます。

List    投稿者 isgitmhr | 2009-12-24 | Posted in A01.環境問題の背後にある思想1 Comment » 

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://blog.sizen-kankyo.com/blog/2009/12/650.html/trackback


コメント1件

 UGG | 2010.12.15 16:38

今日は~
^^またブログ覗かせていただきました
よろしくお願いします

Comment



Comment