2008-03-29

IPCCの科学的根拠と一般報道にはかなりの温度差がある!

気候変動に関する政府間パネル(IPCC)はこれまで4回に渡り「地球温暖化レポート」を公表しているが、その中の第一作業部会が温暖化の科学的根拠をとりまとめている。
2001年に公表された第三次報告書では、「政策決定者向け要約」(SPM)には、「気候システムに対する理解の現状を述べるとともに、予測される将来の変化とその不確実性の見積りを示したものである。」と記載されている。
「不確実性の見積り」とはどういうことなんでしょう?
この点についてさらに報告書の記述を引用すると、
この「政策決定者向け要約」と「Technical Summary」では、信頼度を判断する見積りを示すのが適切な部分において、次の用語を用いるとある。
「ほぼ確実(virtually certain)」      →実現性が99%以上
「可能性は(が)かなり高い(very likely)」 →同90~99%
「可能性は(が)高い(likely)」      →同66~90%
「どちらともいえない(medium likelihood)」→同33~66%

では、最近、マスコミが盛んに報道している内容と、IPCCの温暖化レポートに書かれている ①気温上昇、②雪氷面積、③海面上昇、④異常気象に関する具体的な記述とは一致しているのだろうか?
この先、知りたいっと思った方は、ポチッとお願いします!
  

 にほんブログ村 環境ブログへ


以下、 第三次報告書の「政策決定者向け要約」から引用文、  (→○○%)はIPCCが言う信頼度、 はマスコミなど一般に報道されている論調を示す。
①気温上昇について
地球の平均地上気温(陸域における地表付近の気温と海面水温の平均)は、1861年以降上昇している。20世紀中の気温の上昇量は、0.6±0.2℃であった。~中略、これらの数値には、都市のヒートアイランド効果を含むさまざまな補正がなされている。
地球全体でみた場合、1861年以降の観測機器による観測記録のなかでは、1990年代は最も暖かい10年間であり、1998年は最も暖かい年であった可能性がかなり高い。 (→90~99%)
北半球における「直接測定以外の」代替データを用いた新たな解析によると、20世紀における気温の上昇は、過去1000年のどの世紀よりも大きかった可能性が高い(→66~90%) 。~中略、しかし、現在より1000年以上前の年平均気温や、1861年より前の南半球の大部分における状況は、入手しうるデータが少ないためよくわかっていない。

2~3℃の温暖化の場合、世界のGDPの0~3%に相当する損失が発生する。
何も対策を取らない場合、5-6℃の温暖化が発生し、世界がGDPの約20%に相当する損失を被るリスクがある。
以上、2006年10月30日にイギリス政府のために経済学者ニコラス・スターン卿によって発表された地球温暖化(気候変動)に関する報告書より
②雪氷面積について
衛星データによると、1960年代後期以降、積雪面積が約10%減少した可能性がかなり高く、また、地上における観測によると、20世紀中に北半球の中・高緯度域の湖沼や河川が氷で覆われる年間の日数がおよそ2週間減った可能性がかなり高い(→90~99%) 。~中略。
北半球の春および夏の海氷面積は、1950年代以降、およそ10~15%減少した。この数十年、晩夏から初秋にかけての期間、北極の海氷の厚さは約40%減少し、冬の海氷の厚さもかなりゆっくりではあるが減少した可能性が高い(→66~90%)

世界最大の島、グリーンランドの氷がとけ始めた。氷河の流出は加速し、後退が続く。地球の温暖化は、高緯度の地帯により深い爪跡を刻む。温暖化傾向が続けば、グリーンランドの氷床がとけ、今世紀終わりまでに海面を10センチ上昇させる。二酸化炭素などの温室効果ガスの増加が21世紀末で止まった場合の計算でも、数千年後にはグリーンランドの氷は消える。海面は6メートル上昇、東京の埋め立て地帯や下町は完全に水没する。
http://www.asahi.com/special/NorthPole/TKY200606300388.html 2006年05月29日asahi.com記事より
③海面水位について
潮位計データによると、20世紀に地球の平均海面水位は0.1~0.2m上昇した。
後半の自然起源および人為起源の放射強制力の見積りを含む地球気温再現シュミレーションでは、「20世紀の温暖化は、海水の熱膨張と陸氷の広範な消失により、観測された海面水位上昇に寄与した可能性がかなり高い(→90~99%) 」とある。一方「気候モデルは、すべての側面を再現できるわけではなく、~中略、とりわけ、雲、そして雲と放射やエーロゾルとの相互作用に関しては不確実性がある」と述べ、モデルの不十分さを認めている。
南極の海氷面積は、信頼できる衛星観測が得られている1978年以降、有意なトレンドはみられない。

水没危機のツバルにJICA職員派遣 外務省2008-03-07毎日新聞記事より
※南太平洋の島国ツバルは、国土の一番高い地点でも4mであるが、温暖化により100年後には島が水没してしまうと言われている。
④異常気象について
20世紀後半、北半球中・高緯度域においては、大雨の発現頻度が2~4%増加した可能性が高い(→66~90%)
アジアおよびアフリカの一部のように、干ばつの発現頻度と厳しさがここ数十年で増加したところがある。
地球全体でみた場合、熱帯低気圧および温帯低気圧の強さや発生頻度の変化は、10~数十年変動に支配され、20世紀においては有意なトレンドはみられない。
竜巻、発雷日、あるいは、ひょうの発現頻度の系統的な変化については、限られた地域の解析からは明らかでない。

熱波の頻発と死者の激増、東アジアの豪雨と旱魃、日本を襲う台風の衝撃、食料減産そして飢餓、「しのびよる熱帯病、世界中で発生する環境難民(「NHKスペシャル・気候大異変・地球シュミレータの警告」2006年NHK出版の目次より)
以上、IPCCには130カ国から2,500人の科学者が参加している。報告書の内容と一般に報道されている内容とを比較してみると、ほとんどの学者は、政治的に中立な立場で、純粋に科学的な根拠のみで温暖化を論じようとしているのが良く分かる。
また、気候メカニズムが非常に複雑で不確定な要素を多く含んでいるにも関わらず、コンピューターシュミレーションプログラムの結果をそのまま報道に使っている、
或いは、政治的な思惑が入っている可能性が濃厚である。
我々が知りたいのはどこまでが事実で、どこからがどれだけ不確定要素を含んだ予測なのかを明確にすることだ!マスコミは余計な思惑を挟まないことだ!

List    投稿者 simasan | 2008-03-29 | Posted in G01.二酸化炭素による温暖化って本当?2 Comments » 

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://blog.sizen-kankyo.com/blog/2008/03/293.html/trackback


コメント2件

 さんぽ☆ | 2008.08.15 9:19

炭酸ガスって副交感神経系に働きかけるのですね。
こうやって見渡してみると、私達の生活って副交感神経を刺激するものが多いですね。
なんか現代人はストレスで交感神経が高ぶっているというイメージが強かったので。
アレルギーと炭酸ガスの関係、興味深かったです!

 nannoki | 2008.08.17 21:41

さんぽ☆さん、コメントありがと~
哺乳類以降の神経系の発達と免疫機構の関係性がもっとスッキリと理解したいな~と思っています。次回はその辺を記事にしてみよっかな。

Comment



Comment


*