2007-08-11

環境問題から地球メカニズムへ(3)

環境問題から地球メカニズムへ(2)解明段階の地球のメカニズムで過去60年間における気温の変動が紹介されていますが、CO2濃度とメタン濃度が過去どのように推移してきたかも押さえてみたいと思います。
現在は約200年前に始まった氷河期の中にあり、氷河期の中でも比較的温暖な間氷期といわれる時期にあります。この気温変動のグラフにCO2濃度とメタン濃度を重ね合わせたグラフが以下になります。
box3.gif
出典:気象庁
このグラフのように気温変動とCO2濃度、メタン濃度の変動はほとんど同じ変動を繰り返します。この時代は人間活動が行なわれていませんので自然状態といえます。自然状態でのグラフと合わせて考えると、約200万年前からのCO2濃度の変動周期は気温の変動周期に後追いする形で連動していることが解ります。(逆に言えばCO2濃度が増加しても気温が下がるということを示しています。)
太古の昔からCO2濃度の変化が気温変動によって引き起こされてきたとするならば、現在の温暖化現象を考えた時、まずは何故気温が上昇しているのかを考えるのが始まりのように思います。


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気象庁によると日本の17地点で計測した平均気温変化(東京を除く)と、東京の気温変化は以下のようになります。
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出典:Newton 2007年8月号
日本の平均気温はこの100年で1度C強。東京では3度C上がっていることになります。
またIPPCの第4次報告書によると100年当たりに0.74度Cの速度で世界の平均気温が上がっていると示され、21世紀中には最低でも1.8度C最高で4.0度C上昇すると述べられています。
気温が上昇している原因には大きく3つあるように思われます。大きく影響している順番に挙げるとすれば、
1、太陽との関係
太陽から大部分のエネルギーを受けている地球にとって、ミランコビッチサイクルや太陽の黒点による影響など太陽との関係の変化は気温に一番大きな影響を与えると考えられます。現在の間氷期はその周期に由来しています。この周期による温暖化は問題にしても仕方がない次元での現象です。
『気候変動の文明史』(NTT出版:安田喜憲 著)によると、

間氷期から氷期への地球寒冷化はゆるやかであるが、氷期から間氷期への地球温暖化は急激に進行することも明らかとなっている。最後の氷河時代(最終氷期)から現間氷期に移行する時代(1万5000年前)にはグリーンランドでは、50年の間に年平均気温が一気に7~10度も上昇した。一方、温帯や亜熱帯などの人類の居住地の気温上昇は、せいぜい5~6度であったとみなされる。それは緯度効果のためである。極地に近いほど気温の上昇率や低下率が大きくなるのである。

1万5000年前の人類は弓矢発明前後の時代ですから、人間活動は殆ど無視していい時期です。この時代にも現代に匹敵する気温上昇率があった事は、現在の気温上昇を考える上で重要な点だと思われます。この時代に植生や生態系がどのように変化したのかを考察する事で、今後の状況も見えてくるかも知れません。
しかし、現在の気温上昇は緯度効果によるバラつき以外に大都市とローカルのバラつきがあります。
2、ヒートアイランド
急激な温度上昇が顕著に現れているのは都市部が大半です。
温暖化は都市部によるヒートアイランド現象か?を参照
都市部のヒートアイランド現象は工業化、都市化、人口集中が原因にあり、その背後には市場拡大の流れがありますから、ヒートアイランドによる温暖化問題を食い止めるならこの市場縮小の道を考えなければならないでしょう。
また都市化、工業化の問題は大気汚染や人工物質の蔓延による肉体破壊の問題、さらには石油枯渇や食料危機の問題として既に顕在化しているので、(何が問題かも顕在化していないような)温暖化問題よりも緊急の課題だと思われます。
3、温室効果ガスによる影響
そして最後の3番目にあるのが、今マスコミで言われている温室効果ガスの原因でしょう。
ただCO2は水蒸気やメタンと比べても温室効果は低く、かつ地域や気候によってCO2の影響差があるので、地球全体の温暖化にどれだけ寄与しているのかは疑問の声も多くあります。(但しCO2は産業活動の度合いを測る指標としては使えるものだと思います。)
現在の問題は地球温暖化という環境問題ではなく、市場拡大を続けてきたことによる肉体破壊、石油枯渇、食料危機、という社会構造の問題です。温暖化問題という極めて本質から外れた問題がクローズアップされるのは何故なのか?その政治的背景も探る必要があります。

List    投稿者 nannoki | 2007-08-11 | Posted in G01.二酸化炭素による温暖化って本当?5 Comments » 

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コメント5件

 leonrosa | 2007.10.22 11:00

日本の木造建築と地震の話し。
私の生家は、昭和19年の東南海沖地震(マグニチュード8クラス)で倒壊した。
その我が家の建替えでは、主要な柱梁を再利用している。
地震被害で、柱と梁をつないでいる「ホゾ」の部分が欠けてしまう。しかし、柱本体はそのまま残る。
ダメージを受けたホゾ部分を切り取り、新たなホゾを空け、柱梁を組んだ。当然ながら、天井は低くなります。(欄干部分がなくなる。)
木造の柱梁構造は、倒壊しても、部材として再利用できる。地震国日本に合った素材と工法です。

 HOP | 2007.10.22 11:32

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 こんにちは。egisiさんが書かれているように剛構造、柔構造は日本の耐震性を知るキーワードのようですね。日本では1923年の関東大震災後、耐震設計をめぐり、強固な骨組みと壁で対抗する西欧型「剛構造」派と、五重塔のような「柔構造」派との間で「剛柔論争」があったそうです。結局、その当時は技術的制約などから剛構造となり、建物の高さは三十一メートル以下に制限されたという経緯があるそうです。それが、今や「柔構造」を使った超高層建物ですか。何でそうなったのか?興味があります。

 nannoki | 2007.10.22 22:57

地震大国の日本の中で、長い時間かけて淘汰選別されてきた木造建築群には、見習うべき点が多々あると思います。egisiさんが仰られている柔構造もその一つですね。以前何かの書物で読んだのですが、江戸時代までの民家は壊して再生させる時の事まで考えて作られていたようです。
江戸時代までは心柱など、ほんのちょっとだけ柱を切断し、家の適切な箇所に縄をくくりつけ後はみんなで縄を引っ張って家を倒壊させる、という方法もとられていたようですが、予めどの柱を抜いたらキレイに倒壊できるかを考えて作られているので、壊した後も柱や梁はそのまま再利用できていたようです。
今の超高層は壊す時どうするのでしょうね?
アメリカのように爆破させて壊し全部ゴミになるのでしょうか。
ご先祖さんの気持ちになると、現代人ってなんて短絡思考なのだろう、と考えさせるものがあります。

 egisi | 2007.10.25 16:13

みなさんコメントありがとうございます。
次回の投稿ネタにつながるコメントに感謝です!。
特にnannokiさんの視点は、建物のライフサイクルコストにもつながる総合的視点で、新たな広がりを予感させます。次のヒントにしていくのまたよろしくお願いします!。

 活断層~地震と活断層 | 2007.12.04 15:12

活断層地図 [2] 活断層の評価

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活断層は全国に2000以上見つかっているとされますが、そのうち特に危険(社会的経済的に甚大な被害を…

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