2008-07-31

『水資源』の危機!!どうする?-②:1.水資源とは?

プロローグを受けて本編に入ります 🙂
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淡水は、自然の循環システムのなかでの限られた資源
言うまでも無く、生物は水なくして生存できない。
そして重要なことは、水は石油や石炭などの資源と違い代替物が全く無い物質なのである。
その意味で、水は生物の最も根源的な資源である。
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(画像は、「宇宙航空研究開発機構」さんより引用させて頂きました)
地球の水の量は約14億km3で、地球の水循環システムのなかで増えも減りもせず存在している。
そして、人間が生活や農業・工業生産で主に利用する淡水も、海水から塩分を除かれて蒸発し陸地に雨(淡水)として降らす水循環システムの一部として存在している。
○地球上の水の構成
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※( )内は淡水を100とした場合の構成比
(表は、『「水戦争」:柴田明夫 著』より引用させて頂きました)
ただし、地球上の水約14億km3のほとんどは海水で、淡水は2.5%(約3500万km3)でしかない。
しかも、その7割近くは南極や氷河や万年雪などに閉じ込められたものであり、さらに残りの約3割は地下水のかたちで存在している。
つまり、利用しやすい河川や湖沼の水の量は、地球の全水量の約0.007%(0.103/1,385.980)、淡水のなかでも約0.3%(0.103/35.029)に過ぎない。(約10万km3)
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毎年約12万km3程度の降水が陸上に到達し、そのうち約2/3は土壌表面からの蒸発や植物の葉からの蒸散によって大気へ戻り、残りの約4万km3が流出水となって河川や地下水から海に帰っていく。
淡水は、この年間約4万km3の雨水(天水)によるほか再生できない。
だから、水循環システムのなかで利用できる淡水とは、地球の全水量の約0.003%(0.04/1,385.980)、全淡水の約0.1%(0.04/35.029)の水なのである。
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あと利用するとすれば、歴史のなかで雨が地表に注ぎ地面に深く滲みこんで地下水として蓄えられている水(化石水)である。
地下水は河川・湖沼の地表の水の約100倍(約1000万km3)あるが、そのなかで雨水(天水)の水循環の中に存在する浅い地下水を除いた多くは、帯水層と呼ばれる地下貯水池にあり、岩盤に守られた閉じた系として存在している。
そのため天水がほとんど注ぎ込まれることはなく、汲み上げるには多大なエネルギーを消費するとともに、井戸として汲み上げれば補給を行わない限り渇水する水なのである
つまり、
淡水は自然の循環システムのなかで再生され、その摂理を超えれば枯渇する限られた資源である
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■「水」は、資源として政治・市場の問題が色濃く反映されている
□自然の水循環システムのなかで水資源は偏在性を有する
たとえば、熱帯雨林と砂漠地、また中国などのように北部は乾燥し南部は多雨など、年間降水量には地域により大きな偏りがある。
また、日本には梅雨があるが、東南アジアは雨期と乾期に分かれているなど、時間的な偏りも大きい。
地球上の水は、太陽の熱で蒸発し、上空で雲となり、更に、雨や雪となって再び地上に降りてくる。
このように地球誕生以来、液体、気体である水蒸気、固体の雪や氷と状態変化をしながら地球上を移動する水循環システムとして存在する。

(画像は、「アイラブサイエンス」さんより引用させて頂きました)
そして、地球上の大気は、赤道上で暖められて上昇し、極地で冷却されて下降するが、地球の自転の影響でこの循環が3つに別れ、更に、これが1年を周期として少しずつ南北に移動する
その影響で、地球の水循環システムは、ある国では雨季を発生させ、また反対に別の国では乾季を起こさせる。
この大気循環の機構が、降雨の場所的な偏在が出る要因である。
これに加えて、山脈・海流の影響などで偏在がさらに生じるのである。

(図は、『ようこそ忘却と悠久の館へ「持続型社会、有限な資源1(2007/09)」』さんより引用させて頂きました)
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□世界の多くの国が“国際河川”を共有する「水資源」事情を抱えている
島国である日本では、川や流域、そして水利用はすべて日本の国内で完結しているが、世界を見渡すとこうした日本の状況は、むしろ例外的であることが分かる。
表流水、湖、地下水脈を含んだ国際河川流域は、地球の地表面のほとんど半分を占め、また全世界の流量の60%に及んでおり、世界の人口の2/5は国境をまたがる河川の流域に住み、水は重要な資源として国際外交上の問題として抱えている

『社会実情データー図録「国際河川の流域国数と流域構成図」』さんより引用させて頂きました)
「水」は、国境により政治的色彩が濃くなり、植民地時代の影響下で国境が定められたアフリカ大陸を典型に、多くの国が国際河川を共有した水事情を抱え、常に水のストレスを抱えている地域が存在するようになった。
水資源は、自然の地域的・季節的な偏在性を有し、その偏在性ゆえに地域での国家間の政治的色彩が重なっている
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ではなぜ、水資源が、地域の問題ではなく、地球的・世界的な問題になるのだろうか?
□市場拡大により、水は、“人工”の「偏在性」を加速させながら、世界的に影響を与えている
現在、市場の後進国を中心に、世界人口の2割に当たる12億人が不衛生な水しか飲めない生活を強いられ、最近の国連の報告書によれば、「2025年までに世界人口の半分に当たる35億人以上が水不足に直面する」おそれがあるという。
これは、限られた水資源が、国際市場の拡大に伴う工業生産~近代農業の拡大そして人口の増加により、環境破壊によって汚染されるとともに、自然の摂理を超えた水を消費して減少し続けていることに起因している。
そして、エネルギー・食糧・工業品などを各国が分業をおこなうような市場のグローバル化にともない、海外に食糧や工業品などの生産品の依存を強めるなかでは、水資源は、地域的な偏在性を超えた世界的な問題になろうとしている。
つまり、
水資源は、“自然”の偏在性を超え、市場の強弱関係のなかで“人工”の偏在性を加速させながら、世界的に影響を与える深刻な状況に向かっているのである。
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今や「水」は、政治、市場の問題が色濃く反映された資源であるという点を抜きにしては捉えられない。
その意味で、「水資源の危機」の問題は、現代の南北格差、貧困の問題と同根の問題である。
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byあさおか
(参考文献)
『認識革命 るい NETWORK』
『文部科学省「地球上の生命を育む水のすばらしさの更なる認識と新たな発見を目指して」科学技術・学術審議会 資源調査分科会報告書』
『社会実情データー図録「国際河川の流域国数と流域構成図」』
■『水戦争-水資源争奪の最終戦争が始まった』柴田明夫 著(角川SSC新書,2007年)
■『「水」戦争の世紀』モード・バーロウ、トニー・クラーク 著(集英社新書0218A)

List    投稿者 kirin | 2008-07-31 | Posted in I04.水資源の危機No Comments » 

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