2013-11-16

【エネルギー展望、6つのトレンド】科学を身近に☆NewStream

旬の話題から自然の摂理が学べる!科学を身近に☆NewStreamです。
科学ニュースを紹介します。
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以下引用

国際エネルギー機関(IEA)は11月12日、世界のエネルギー動向をまとめた最新の年次報告書、
『世界エネルギー展望(World Energy Outlook)』を発表した。
水圧破砕法(フラッキング)を突破口にシェールオイルの採掘を本格化させたアメリカは、
世界最大の産油国になる日が刻々と近づいているという。
しかも、当初予想されていた時期よりも早く訪れると見られている。
「エネルギーの自立」という悲願達成に向けて、アメリカはその歩みを着実に進めているようだ。

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一方でIEAは、「豊富な石油を享受できる新時代の到来を意味するものではない」と釘を刺す。
新しい石油掘削技術の導入はアメリカに成功をもたらしたが、追随する他国が同様の成果を
収める可能性は低いとIEAは見ている。
 1970年代初頭の石油危機をきっかけに世界の石油消費国が共同で設立したIEAは、フランスの
パリに本部を置く。エネルギー動向のより正確なモニタリングと、エネルギー安全保障のさらなる強化を
目的としている。
IEAが毎年発表する『世界エネルギー展望』は、世界のエネルギー需給予想に関する分析結果を
まとめた数百ページにおよぶ報告書で、エネルギー業界のバイブルと目されている。
以下、今年の報告書に記載されている主な内容を見て行く。
◆ 1. 新しい掘削技術、アメリカの1人勝ちも早々に生産量減少か
 IEAは昨年、水圧破砕法など新しい掘削技術を本格的に導入したアメリカが、2017年までに
サウジアラビアを抜いて世界最大の産油国になるという見方を示して世界を仰天させた。
今年の報告書ではその時期を2015年に修正、2年も繰り上げている。
一方で、アメリカの石油生産量見通しについて、日産約1200万バレルに達する2025年をピークに、
その後は徐々に減少するだろうと予測している。
 減少率が特に著しいのは、水圧破砕法など新技術によって生産量を劇的に伸ばしたシェール油田や
天然ガス田にほかならないという。高い生産水準を維持するには、新たな油田やガス田を掘削して
生産量の減少分を補うほかないが、そのためには継続的な投資が必須となる。

 IEAによると、アメリカにならって水圧破砕法を導入しようと目論む国は多いという。中でも成功を
有望視されるのは、アルゼンチン、ロシア、中国、および中東諸国だ。
だがIEAは、「地下資源が有望だからといって、アメリカのような成功は覚束ない」と述べている。
追随する各国には、コストに見合ったシェールオイル開発やガス開発に必要な法的環境が
整備されておらず、石油サービス産業の規模も不十分なのだという。
◆ 2. エネルギー資源の中では依然、化石燃料が優位
 IEAでは、従来のエネルギー政策を推し進めた場合、再生可能エネルギーの生産量は2035年までに
2倍になると予測している。
だが、太陽光、風力、および水力エネルギーの実績は依然として、石油や石炭に遠く及ばない。しかも、世界の一次エネルギー需要は43%増加している。
 現在、世界が消費するエネルギー資源のうち化石燃料は82%を占めており、四半世紀前とほとんど
変わっていない。2035年になってもその割合は75%と依然高く、化石燃料の優位性は今後も続くという。
◆ 3. 今後、石油需要増大の誘因となるのはインド
 世界各国が実施しているエネルギー・環境政策の下では、2012~2035年に石油需要が27%増加、
日量1億1100万バレルに達するとIEAは試算する。
さらに増加分の3分の2は、中国をはじめとするアジア諸国での需要増大によると予想。
 今後もアジア最大の市場と目される中国だが、2020~2035年にはインドでの需要増加量が中国を
凌ぐと見られる。「インドは今後、石油需要の増大傾向に大きな影響を与える存在となるだろう」とIEAの
チーフ・エコノミスト、ファティ・ビロル(Fatih Birol)氏は指摘している。
 また、中東諸国の右肩上がりの需要増加も無視できない要素だ。
◆ 4. 自家用車に代わってトラックが石油消費量増加の大きな原因に
 運輸と石油化学の分野が、将来のエネルギー需要増大の要因になるとビロル氏は説明。
消費増加に大きく影響するのは、一般の自家用車ではなくトラックだという。実際、増加量の3分の1は、
トラック車両によるとされる。IEAの今後の需要予測は、ディーゼル燃料がガソリンの3倍の速さで
増加すると示している。
 石油化学産業では、包装資材からスマートフォン、ペットボトルに至る原材料から一般消費者向けまで、
あらゆる分野に利用が進むプラスチックが石油需要を大きく押し上げている。

◆ 5. ブラジル、巨大油田が発見されるも再生可能エネルギー利用促進か
 IEA事務局長のマリア・ファン・デル・フーフェン(Maria van der Hoeven)氏によると、
世界のエネルギー事情には、このところ大きな変化が見られる」という。例えば南米のブラジルでは
この10年の間に、新しい地震探査技術によって世界屈指の巨大な深海油田が次々と発見されている。
同国の石油生産量についてIEAは、2035年までに現在の3倍にあたる日産600万バレルに達すると
試算している。この数字は、石油総生産量の純増分の3分の1に相当し、いずれ世界第6位の産油国に
のし上がると見られている。

 一方でブラジルは、国内的な事情からグリーンエネルギーを一定割合利用する政策を今後も続けると
期待される。
巨大な水力発電施設が国内でいくつも稼働しているほか、サトウキビを原料にした
バイオエタノールの国内生産が政府主導で進められている。一次エネルギーの国内需要はその約45%が再生可能エネルギーで賄われており、世界でも有数の低炭素社会が実現している。
2035年までには、エネルギー需要に占める化石燃料の割合が20%を下回るとIEAは予測する。
◆ 6. 化石燃料の輸入額、EUには大きな負担に
 欧州連合(EU)では今後数年間、高値で輸入する化石燃料のコスト負担が加盟各国に重くのしかかるとIEAは見込んでいる。EU全体における石油および天然ガスの年間輸入額は現在、既に5000億ドル
(約49兆5000億円)に上昇。IEAの試算によると、2035年までにさらに10%近く増大し、GDPの約2.3%
を占めることになるという。対照的にアメリカでは、化石燃料の輸入額が年間約3000億ドル
(約29兆7000億円)と50%近く減少している。
この状態が続けば、2035年に輸入化石燃料に支払う額は同国GDPのわずか0.5%にまで縮小すると
推定されている。
 なおIEAは、経済競争力低下の可能性について政治的な懸念が生じると、関税障壁や気候変動の
問題に向けた今後の国際的な取り組みが阻害される可能性があると警告。
本報告書に記載されているエネルギー動向の扱いには十分注意するよう呼びかけている。

List    投稿者 isiisii | 2013-11-16 | Posted in E.次代を担う、エネルギー・資源No Comments » 

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