2009-10-20

シリーズ新エネルギー④『都市鉱山の実現可能性を探る』

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画像は『時代を読む新語辞典「都市鉱山」』さんからお借りしました。
    
前回、シリーズ新エネルギー③『都市鉱山は循環型社会の実現基盤』では、レアメタルの基礎知識と、都市鉱山として大量の製品の中に蓄積されている日本のレアメタルの状況、及び、リサイクル技術とその回収体制についての概要を記事にした。今回は、その実現性についてデータを基に検証してみよう。
     

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ところで、日本の『都市鉱山』にはどのくらいのレアメタルが埋蔵されているのだろう?
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画像は『ぶぎんレポート』さんからお借りしました。
このグラフは、日本の『都市鉱山』と、資源国における鉱山の推定埋蔵量を比較したものだ。そして、日本のレアメタル量は、輸入量から製品として輸出されるものを差し引いたものだ。なんと、日本国内からは殆ど産出しない、『金』『銀』『白金』『インジウム』・・・は都市鉱山の中に、資源国を凌ぐほどの量が埋蔵されている。これらはどこに使われているのだろう?

画像は『マイコミジャーナル』さんからお借りしました。
   
このグラフのように、携帯電話やデジタルカメラなどの製品中には、『金』『銀』が大量に使用されている。また、インジウムは薄型TVの透明電極などに使われている。このように、日本の都市鉱山は、世界でトップクラスの埋蔵量を誇ることになる。残る課題は、リサイクル技術と、回収体制の確立だ。
    
リサイクル技術については、『都市鉱山の活用法』に詳しい。この技術はすでに実用化段階に入っている。また、日本の技術の潜在能力からすると、もっと効率的な技術開発は可能だ。これは、薄型TVを作るのに比べれば非常に単純な技術だ。
   
たとえば薄型TVのインジウムに関しては、すでにシャープが技術開発を完了している。
    

シャープHPより
     
開発した技術は、液晶パネルガラスをカレット状(細かく砕いた状態)に粉砕した後、酸溶解し、インジウムの特性を生かした分離方法によって回収するものです。この方法では、高温・高圧といった大きなエネルギー負荷をかける必要がなく、一般的な薬品を用いて、シンプルなプロセスで高純度のインジウムを回収することができます。今後は実用化に向けて大型実験機による検証実験を行い、インジウムのマテリアルリサイクルをめざします。
    
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動画 インジウムの再生過程

   
あとは、この技術への社会からの期待と、それを実現させるための補助金などの国策があれば、簡単に実現する。
    
つぎに、リサイクル体制だ。これは、法制化などの最終的な実現形態はあるが、それ以前に、日本人がこのことを充足規範として捉えられるかどうかという問題の方が基底的問題だろう。これに関しては、みんなのためになることならば喜んで規範を守るという本源性が実現基盤になる。1970年以降、貧困が消滅して以来この流れは急速に強化されつつある。たとえば、
    

『都市鉱山の活用法~単純な技術で高含有比率の粉砕物を取り出すことが可能~2』
     
家電リサイクルが動き出した時、海外からはさんざんバカにされたものです。消費者からお金を取って廃棄物処理をするなんて、不法投棄の山になるに違いないと。しかし、実際には、大多数の日本人はちゃんとルールを守っています。メーカーがきちんとシステムを作りさえすれば、市民もそれに応えるのが日本人だと思います。
    
──海外での都市鉱山利用の状況はどうでしょう?
   
アメリカやドイツなどで、都市鉱山にどれくらいの資源が含まれているか、ようやく研究が始まったところです。この分野において、日本はトップランナーであることを自覚して行動しないといけません。

    
のように。
    
あとは、この流れを加速させるために、『みんなのためになることならば喜んで規範を守るという本源性』のさらに奥深くにある、みんなにとって『必要か、必要でないか』という真っ当な判断の土俵、を広めていくということが実現への課題になる。
    
その中には、そのような活動を実現している新しい企業を紹介し、社会的認知度を高めていくことも含まれる。
    
例えば、
   
DOWA%E3%83%AA%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%82%AF%E3%83%AB%E5%B7%A5%E5%A0%B4.jpgDOWAホールディングス株式会社
DOWA、町と一体で環境事業を推進
    
「都市鉱山から金属を取り出すのは、日本の国家戦略としても非常に意義があることです。なにしろ日本には資源がない。おまけに今、金属の価格が高騰していますから、日本にとっては大きな痛手です。でも、日本には都市鉱山がある。そこから金属を回収すれば、効率的に資源の確保ができるというわけです」


    
%E9%88%B4%E6%9C%A8%E7%94%A3%E6%A5%AD4%5D.jpg鈴木産業株式会社
    
昭和24年より金属リサイクル会社として開業。設立当初から「有限とも言える地下資源に対し無限ともいえる地上資源を“地上の鉱山”として開発する」と言う理念の基に成長してきた。HPでは、朝鮮戦争終結(昭和28年)後の戦後復興のために重金属が戦略物資として米国に大量に輸出された時代に、その輸出の流れに対抗し国内各社への納入に尽力した歴史などが紹介されている。

    
p1000474.jpgアミタ株式会社
姫路循環資源製造所 
    
これまでは取り扱いが困難であった塊状のものや、金属とプラスチック等の複合した発生品(アミタでは、製品以外のものを地上資源としてとらえ、廃棄物ではなく「発生品」と表現しています。)等の再資源化が可能となります。

  
    
などだ。こうやって事例を見ていると、国益派の経営者が多いことが分る。このような企業が続々と登場してくることを期待したい。
   

List    投稿者 sinsin | 2009-10-20 | Posted in E.次代を担う、エネルギー・資源No Comments » 

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