2019-11-21

地球史上最大の絶滅であり、適応拡散の第一歩

日ごろ何気なくすっている空気。ご存知のように、空気のなかには、酸素が含まれています。私たちは、空気中の酸素を吸い込み、利用し、酸素を二酸化炭素に変え、吐き出します。これが呼吸と呼ばれているものです。

当たり前に酸素を吸い込んでいますが、酸素濃度が高くなる以前の生物においては酸素は猛毒だったのです。現在、生存する生物は、この酸素濃度上昇による絶滅の危機を乗り越えて、生き残っているのです。

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約35億年前、先カンブリア紀、地球には酸素が全く存在しない無酸素時代がありました。しかし海の中には、すでに我々の祖先は生きていました。バクテリアです。
彼らは、1千分の1ミリ程度の非常に小さな生物で、海水中の化学物質を吸収することで生息していました。
酸素の無い時代、かれらは、海底から地球の内部物質が噴出する裂け目などに生息し、そこから栄養となる硫化水素をエネルギー源としていました。

酸素の誕生:地球史上最大の絶滅』より引用します。

 光合成生物によって酸素がつくられているのなら、光合成生物がいなくなれば酸素がなくなるはずです。時間を遡れば、光合成をする生物が誕生することによって、酸素は生産されはじめ、それ以前は酸素のない世界だったわけです。ですから、光合成生物の誕生、あるいは光合成生物の大量発生の時期が、酸素の生成の時期となるはずです。

 光合成生物は、いったいいつごろ誕生したのでしょうか。その答えは、光合成生物の化石や痕跡を探すことによって見つけ出すことができます。

 約32億年前の地層から光合成をするシアノバクテリアの化石が発見されています。もっと古いものがあったとする説もありますが、今のところ研究者の合意を得ていません。多くの研究者が認めているのは、約32億年前のものです。

 約32億年前に最初の光合成生物が生まれ、約27億年前には、光合成生物が大量発生したと考えられています。なぜなら、約27億年前の地層からは、大量のシアノバクテリアの化石が見つかっているからです。

~・中略・~

 地球の大気中に酸素を付け加えはじめたのは、シアノバクテリアでした。では、酸素が付け加えられる前の大気はどんなものだったでしょう。それは、もちろん酸素のない、二酸化炭素と窒素を主とする大気だったはずです。

 酸素のある大気は、酸素のない大気に比べると、生物にとっては大きな差となります。現在の生物は大部分は酸素を無毒化し、有効利用するシステムをもっています。それは細胞の中にあるミトコンドリアという器官のはたらきによっておこなわれています。

 酸素のない時代の生物にとって、酸素のある環境は、生きてはいけない環境だったはずです。酸素が細胞内に入れば、酸化によって体内の成分が分解されてしまいます。つまり、ミトコンドリアをもたない生物にとっては、酸素は猛毒として作用しました。

 20数億年前、シアノバクテリアよって、酸素が大量に生産されはじめると、その当時生きていた大部分の生物にとっては、とんでもない地球環境破壊がおこったのです。地球規模の酸素による汚染です。もちろん、汚染の行き着く先は、大絶滅です。多分、当時の生物の大半は絶滅したと思います。実態は定かではありませんが、地球史上最大の絶滅が起こったはずです。

 現在、地球環境問題が取りざたされています。でも、地球は、もっとすごい大激変を経験しているのです。そして、素晴らしいことに、そんな大激変も生きぬいたいくつかの種類の生物がいたのです。さらには、多くの生物を殺した猛毒の酸素を利用して、より効率のよいシステムをつくり上げた生物もいたのです。それは、もちろん、現在の生きている生物の、そして私たちの祖先であったのです。

そして、約5億5千万年前、それまで数十種類しかなかった生物が突如1万種にも爆発的に増加し、奇妙きてれつな形をした生物(=バージェスモンスター)が多数現れた。

シアノバクテリアの繁殖により、酸素濃度が上昇してゆき、それにつれて多細胞生物の多様化が進行していった。先カンブリア紀には、酸素濃度は18%に達していたが、海底の酸素濃度は相変わらず数%に過ぎず、海底をうごめいていた多細胞生物たちは数十種類にしか多様化しなかった。(但し、変異DNAの蓄積はこの期間にほぼ終了していた。)

カンブリア紀に入ると、海中の酸素濃度がどんどん上昇してゆき、生物群が爆発的に多様化していきます。つまり、生物は絶滅の危機に瀕する=生死をかけた外圧と対峙すると一気に多様化していくのです。

 

List    投稿者 asaoka-g | 2019-11-21 | Posted in D01.地球史, D02.気候, O.進化史No Comments » 

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