2013-08-08

【地球のしくみ】31(総集編4/4)~万物は融合し組織化・秩序化する方向に進化を塗り重ねる~<大気の進化編>

ここまで【地球の誕生】 【生命誕生以前の地球環境】 【生命の誕生】 【生命の進化】
を見ていくなかで、“地球のしくみ(摂理)”を学んできました。

【地球のしくみ】27(総集編1/4)~万物は融合し組織化・秩序化する方向に進化を塗り重ねる~<地球の誕生・進化編>  

【地球のしくみ】28(総集編2/4)~万物は融合し組織化・秩序化する方向に進化を塗り重ねる~<生命の誕生編> 

【地球のしくみ】29(総集編3/4)~万物は融合し組織化・秩序化する方向に進化を塗り重ねる~<生物の進化編>・・・前編 

【地球のしくみ】30(総集編3/4)~万物は融合し組織化・秩序化する方向に進化を塗り重ねる~<生物の進化編>・・・後編 

【地球のしくみ】シリーズのラストでもある総集編の最終回は、「大気の進化」を中心に、宇宙、太陽、地球、そして生命が相まって織り成す世界から“地球のしくみ(摂理)”を見ていきます。

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◆ 生命-地球-太陽・宇宙が織り成す環境

銀河系内の超新星爆発などで、宇宙空間は超高エネルギーの【宇宙線】が飛び交っています。
この宇宙線の主な成分は、アルファ粒子(ヘリウムの原子核)やリチウム・ベリリウム・ホウ素・鉄などの原子核に含まれた陽子で、これらのプラズマ粒子は地球にも常時飛来しています。

また、太陽は、水素核融合による爆発を活発に繰り返し、表面は高温でコロナを吹き出しています。その中でも特に巨大な爆発は、太陽の引力を振り切って超高速で約100万度の高温状態の電子と陽子が分離したプラズマ粒子のガス【太陽風】を大量に吹き出します。
この太陽風が地球付近に到達した状態は、温度が約10万度、速度が秒速450万キロで、プラズマ粒子数が1センチ立方あたり5~10個となります。

また、太陽の核爆発により生じる超高エネルギーは、光のエネルギーに変換され、様々な波長をもつ電磁波で放射されます。その電磁波は、低エネルギーの可視光線や赤外線としてだけではなく、【紫外線】さらにはγ線・X線の【放射線】の高エネルギーの電磁波としても地球に降り注ぎます。

これら超高エネルギーの“プラズマ粒子”の宇宙線・太陽風そして高エネルギーの“電磁波”の放射線・紫外線は、地球に降り注ぎ地球の物質や生命に多大な影響を与え、それにより地球の環境は変動します。
また、地球形成時に微惑星・隕石の衝突を繰り返すなかで蓄えられた内部エネルギーは、宇宙へ放射し続けていますが、その放射熱量(例えば火山活動)により地球環境は変動します。

地球環境は、宇宙と太陽の動きと内部エネルギーの放射に連動して「物質の分子進化」が起こり、それに生命の誕生を挟んだ「生物進化」が相まって、“新しい環境”をつくり出し続けている。
そのなかで地球の大気も進化をしてきた。

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K.大気の歴史 

◆ 原始大気の起源

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原始地球は多数の微惑星・隕石の衝突・合体によって急成長して、45.5億年前頃には現在と同じ大きさになったと推定されている。
原始地球が現在程度の大きさにまで成長すると、その重力に引かれて、微惑星・隕石は高速(10km/s以上)で衝突するようになり、その激しい集積エネルギーによって、地球の表面にマグマの海(マグマオーシャン)ができ、地球は表層から融解して高温の溶融状態になる。
マグマの海は1200℃以上の高温で、地球を構成する物質を溶かして蒸発させる。
そして、鉄や珪酸塩などはすぐに凝集して再沈積するが、揮発性のH2O、CO2、N2は再凝集して岩石や鉱物になれず、地球の引力圏にそのまま残って大気になる。(参照:総集編1/4

一方、核融合反応をはじめたころの原始太陽は、現在の光度よりも25%~30%程度暗かったと言われている。そうだとすると、大気中の二酸化炭素が現在の濃度だと、その光度の太陽のもとでの地球の温度では20億年前までは全球凍結(地球表面では液体の水は存在しない状態)になっていなくてはならないが、少なくとも38億年前の年齢を示す、堆積岩起源(つまり海があった)の変成岩が存在する。
これが、「暗い太陽のパラドックス(逆説)」で、このことからも原始大気は、温室効果の高い二酸化炭素の濃度が現在より遥かに高かったと考えられている。

このように、地球の大気は、地球が誕生して間もない45.5億年前頃には、H2O、CO2、そしてN2を中心として形成され、その水蒸気を主とする大気の圧力は、現在の金星程度で、100気圧はあったであろうと推定されている。

それが、激しい微惑星・隕石集積の頻度が低減する40億年前頃になると、地球表層の温度が下がり、水蒸気が凝集して「海」が出現する。そして水蒸気の凝集によって大気の圧力は急激に減少して1気圧に近づいていく。

◆ 大気 海洋 地殻 の炭素固定システム

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現在の地球大気中の二酸化炭素はだいたい0.04%(窒素ガス79%、酸素20%)で、海水中の二酸化炭素濃度は2mM(㍉モル/㍑=モル濃度)ぐらいであるが、40億年前の大気中の二酸化炭素は10%ぐらいと仮定されている。
大気中に二酸化炭素が10%も存在すると、原始海水には二酸化炭素が500mMぐらい溶けていると計算でき、それは強炭酸の海水になる(例えば、コーラは350mMぐらい溶けた炭酸水)。
さらに酸素がほぼ無かったと想定できるため、原始海洋の地殻を構成する玄武岩のケイ酸塩鉱物(CaSiO3)から、鉄(Fe)やカルシウム(Ca)などの金属元素もかなり溶け込んでいたと考えられる。
そうすると、
  CaSiO3 + 2CO2 + H2O → Ca2+ + 2HCO3- + SiO2 (ケイ酸塩鉱物の風化作用)
  Ca2+ + 2HCO3- → CaCO3 + CO2 + H2O (炭酸塩鉱物の沈殿)
 CaSiO3 + CO2 ⇒ CaCO3 + SiO2 ・・・(※①)
となり、海が出来たことにより、大気中の二酸化炭素(CO2)が、化学的風化により“地殻に固定され”除去されていく。
ただし、深海底に堆積した炭酸塩鉱物(CaCO3)と二酸化ケイ素(SiO2)は、深海熱水孔からの高圧・高温下で変成作用を受け、
   CaCO3 + SiO2 ⇒ CaSiO3 +CO2 ・・・(※①の逆反応)
となり、このCO2が海底の火山ガスとして出てくるため、地球大気の二酸化炭素は、海と大気の循環平衡状態になるまで大気のCO2濃度が下がったあとバランスする。
例えば、地球全体の火山活動が活発になり、大気中の二酸化炭素が増えて温室効果が強まると、地球の気温が上がる。気温が上がると化学的風化が促進され、その結果大気中の二酸化炭素が除去されていく。

そしてこの状態は、酸素発生型の光合成細菌(シアノバクテリア)が大繁殖する27億年までは続いたと考えられる。そして、光合成生物が繁殖してゆくなかで、二酸化炭素濃度が急激に下がり、酸素が急激に上昇してゆく。

◆ 酸素の起源と変遷 

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原始地球の大気には酸素がほとんどなかったが、生物起源で大気中の酸素濃度が高まっていく。
酸素は上空に昇った水蒸気が、太陽光の中の紫外線によって分解することによってもできるため、生物とは無関係にできることもあるが、その量は少なく現在の酸素の量の1/200程度でしかできない。

<光合成生物が酸素を作り出すメカニズムの模式的化学式> 
   6CO2 + 6H2O + 光 ⇒ C6H12O6(デンプン) + 6O2 

生物起源で生成された酸素は、まず海水中の地殻を酸化させることで消費されてゆく。
24億年前のものといわれる地層からは赤色土層(赤鉄鉱(Fe2O3))というものが見られ、22~19億年前になると、鉄の酸化物を大量に含む「縞状鉄鉱層(縞状鉄鉱床)」が大量に形成されるようになる。そして、この縞状鉄鉱層は19億年以降はほとんど見られなくなる。
つまり、27億年前に登場した酸素発生型の光合成生物がつくる酸素は、鉄などを酸化させることに消費され、19億年前ぐらいになって漸く大気中に放出され、徐々に大気中に蓄積するようになる。

そして蓄積された大気中の酸素により“オゾン層”が形成されることで、生物が地上に進出する可能性が開かれ、4億年前に最初に植物が陸上に進出すると、3.5億年前にはほぼ地上を植物が覆い尽くす。
地上を覆い尽くした植物が、大気中の二酸化炭素を吸い込み、酸素を吐き出しことで、大気中の酸素濃度は急上昇し、二酸化炭素は急激に下がってゆく
この時の大気中の酸素濃度は、森林火災の化石(木炭化石)が出ることから13%以上、自然発火により森林が全焼したことがないということから35%以上にはならなかったと考えられている。
そして、約3億年前に酸素濃度はその上限に達し、酸素呼吸システムを進化させ“躯体の巨大化”に成功した昆虫(翼開長70cm程度のトンボなど)を登場させる。

一方、植物が死ねば菌類をはじめ多くの生物がその亡骸を苗床にし、植物が光合成で固定化した炭素(=有機物)を再び水と炭素に分解することになる。
しかし、最初に植物が陸上に進出した当時は植物を分解する生物が存在しなかったため、植物は死んでも土に沈みそのままの状態で年月が経過することになり、それが石炭となったと考えられている(※石炭紀)。
しかし、植物を分解する菌類が陸上に登場すると、再び二酸化炭素濃度があがり、酸素濃度が減少し、二酸化炭素を吸収する植物の光合成と、植物が生成した有機物(炭素固定)を資化して二酸化炭素を放出する菌や動物の化学合成(呼吸)がバランスしてゆく。

◇ ◇ ◇ 
このように、原始大気から、物質の分子進化と生物進化が相まった地球史を通じ、二酸化炭素(CO2)は減少し、酸素(O2)は増大し、窒素(N2)はそれほど変化せず、結果として現在の地球大気なってゆく。

L.紫外線・放射線と融合する大気(大気圏)

このようにしてできた現在の地球の大気は、(地上から見て)対流圏<成層圏<中間圏<熱圏と大きく4つの層で形成されているが、そのなかの対流圏で地球の温熱環境を安定させ、成層圏と熱圏の大気が太陽から降り注いでくる紫外線と放射線から地球の生物を守るバリアー機能を果たしている。

『オゾン層』

★L-1  
【地球のしくみ】23~大気編(9) ~宇宙からくる「紫外線」「隕石」「放射線」を守るシールド 
★L-2  
【地球のしくみ】24 ~大気編(10)~紫外線を吸収する大気のメカニズム(酸素⇔オゾンの循環サイクル)~ 

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地球には太陽から様々な波長の電磁波が放射されているが、そのなかのエネルギーが高く生物の生存を脅かす波長の短い紫外線C波(UB-C 100~280nm)を、成層圏に存在する“酸素”が吸収している。
また、生物のDNAを破壊するほどエネルギーが高い紫外線B波(UB-B 280~315nm)を、同じく成層圏に存在する“オゾン”が吸収している。
(※紫外線A波(UB-A 315~400nm)は、大気は吸収せず地上に降り注ぐが、それほど生物の生存に影響を与えない日焼けレベルの影響。)

Q.では、酸素・オゾンが紫外線を吸収するのは?

酸素原子の基底状態と励起状態のエネルギー差に等しい波長の光のかたまり(光量子)が照射されると、その光のエネルギーにより酸素分子は基底状態から励起状態に“遷移”する。そして、遷移により分子結合が解ける(光解離)
酸素分子O2は、240nm より短い波長(紫外線C波)の光量子hνを吸収し酸素原子に光解離
  O2 + hv (紫外線C波) → O + O
    (※h: プランク定数、 ν: 光の振動数)
酸素原子Oは酸素分子O2と反応してオゾンO3が生成される
  O + O2 +(M) → O3 + (M)
    (※Mはエネルギー保存に必要な触媒(酸素もしくは窒素分子)→三体反応)
オゾンO3は、320nm より短い波長(紫外線B波)の光量子hνを吸収しO2とOに光解離
  O3 + hν(紫外線B波) → O2 + O
そして、酸素原子OとオゾンO3が反応して酸素分子O2 に戻る
   O + O3 → O2 + O2

このように、太陽からの光エネルギーにより、「酸素⇔オゾンの循環サイクル」が行われることで、生物の生存を脅かす紫外線(B波、C波)が地球上に降り注ぐのを防ぐメカニズムが成層圏の大気にはあり、そのメカニズムの結果として出来たのが、成層圏の「オゾン層」と呼ばれる。
そして、約4億年ほど前にオゾン層が完成したことによって、生物が陸上へ進出する可能性が開かれることになる。

◆ 熱圏の「原子・分子の電子」が“電離”して、高エネルギーの放射線(X線、ガンマ線)を吸収する 『電離層』

★L-3  
【地球のしくみ】25 ~大気編(11)大気中の電子が、太陽からの強力な電磁波を「吸収→反応→放射」することで、オゾン層も電離層も形成される。

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地球には太陽からエネルギーの高い放射線(X線、γ線)が放射されているが、この放射線が熱圏大気の酸素、窒素ガスに降り注ぐと、その高いエネルギーを吸収して、原子や分子の中から原子核の引力圏外まで“電子”が飛び出す。
その結果、酸素・窒素ガスが、自由電子と正イオンである原子イオンや分子イオンに変化する。これを「電離」そして「プラズマガス化」といい、電離された気体はプラズマ(電離ガス)の層を形成する。
このように、太陽から放射される高エネルギーの放射線(X線、γ線)を、生物の生存域の地上に降り注ぐことを防ぐメカニズムが大気にはあり、そのメカニズムの結果として出来たのが、オゾン層より上部にある熱圏の「電離層」である。

Q.では、電離層が誕生したのは、いつか?

電離層はオゾン層とは違い、大気中に存在する複数の種類の原子・分子が電離することで形成されているため、大気中に酸素という特定の原子が誕生した時点で形成されたわけではない。
太陽からの電磁波は地球が誕生したときから降り注いでいるので、電離層が形成されたのは地球に大気が誕生した45.5億年前の地球誕生の極初期に形成されたと推測される。
大気の主成分がCO2である金星の電離層の主なイオンはCO2+ のため、原始地球の電離層の主なイオンも、当時の大気の成分と同じCO2+、N2+、H+ だったのではないかと考えられる。

◇ ◇ ◇ 
このように、電離層もオゾン層も原理は同じ“電子”の動きによる『吸収 ⇒ 反応 ⇒ 再結合(⇒放射)』のメカニズムで、電離層は「電離 再結合」で放射線(X線、γ線)を吸収し、オゾン層は「光解離 再結合」で紫外線B・C波を吸収する。

M.宇宙線・太陽風と融合する地球磁力(磁気圏)

★M-4 
【地球のしくみ】26 ~大気編(12)磁気圏~宇宙と大気の間、放射線が飛び交う場で、地球磁力線がプラズマの持つ磁力線と融合し、押し流してくれている

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γ線、X線、紫外線が電離層とオゾン層でブロックされている仕組みを見てきましたが(層がブロックしているのではなく、“光と大気が融合するメカニズム”の結果が層になっている)、さらに電離層の上空(外側)には磁力が渦巻く「磁気圏」が存在する。
そこでは、電磁波より強烈な“宇宙線”と“太陽風”の進入を防いでいる
磁気圏とは地球磁気の場で、その磁力線(磁力を理解するために可視化した便宜上のベクトル線)の形状は彗星のようなたなびいた形をし、太陽昼側で地球半径の約10倍、夜側の尾の長さは約100~1000倍にも達する。

◆プラズマ粒子の磁力線と地球の磁力線が融合し、プラズマ粒子の動きを制限する

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太陽風や宇宙線で飛んで来るプラズマの放射線粒子は、荷電状態でスピンしながら動く(→電流が発生する)ため磁力を持ち、その極小の世界で磁力線を発生させている。
それが、地球磁気圏に入ろうとすると、プラズマ粒子の磁力線と地球の磁力線が“力のベクトル合成”するように「融合」する。
そのため、太陽風や宇宙線の(質量をもつ)プラズマの放射線粒子は、磁力線に平行して動くことが出来るが、垂直方向では簡単に横切ることが出来ず、磁力線に沿って流れてゆき、大気圏にそのまま進入することが出来ない。
これが磁気圏がプラズマの放射線粒子をブロックする仕組みではないかと推論でき、そのように考えると、太陽風の圧力によって、地球磁気圏が吹き流される現象もこれで説明出来る。

Q.では、地球の磁気圏が誕生したのは、いつか?

原始地球のマグマオーシャンが終わる40億年前頃には、地球はエントロピーを縮小してゆくように宇宙に熱を放出し冷却しだす。そしてそれにより、地球は「内核の固体化-外核の液体化-地殻の固体化」という三層構造が形成されたと考えられるが、地球の自転と内核の自転のズレが生じる“二重自転”を行うまで内核が固体化されたのは27億年前と想定される。
そして、地球の二重自転構造により、地球は「磁場」を持ち、地球の外側に磁気圏が形成される。
(※【地球のしくみ】27(総集編1/4)) 

◇ ◇ ◇ 【電離層 磁気圏 オゾン層 まとめ】 ◇ ◇ ◇ 

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(※図はコチラよりお借りしました)

45.5億年前に原始大気が出来たことにより、太陽から地球に降り注ぐX線・γ線の放射線を大気の原子・分子が吸収して「電離層」が形成される。(ゆえに、地球は、ほぼ誕生した時から太陽からのX線・γ線の放射線をほとんど受けてきていない。)

それに対し、46億年前に地球ができてから約19億年間、地表には宇宙線、太陽風の超高エネルギーのプラズマの放射線粒子が降り注いでいたが、27億年前に「磁気圏」が形成されたことにより、宇宙線・太陽風を地球磁力が防ぐようになる。
そしてそれにより、深海にしか住むことの出来なかった生物が浅海に進出する可能性が開かれ、この可能性に収束した(27億年前の)酸素発生型の光合成生物(シアノバクテリア)が、浅海でより強い太陽光を吸収して爆発的に繁殖する。

そして、その繁殖した光合成生物が放出する莫大な酸素により、それまで降り注いでいた太陽からの高エネルギーの紫外線B・C波を酸素とオゾンが吸収して、4億年前に成層圏に「オゾン層」が形成される。そしてそれにより生物は浅海から地上に進出することになる。

 

総集編最終回の<大気の進化編>はここまでです。

ここまで5記事にわたり、総集編としてシリーズ全編を編集し振り返りましたが、
地球の起源にまで歴史を遡って見てゆくと、地球環境は、宇宙・太陽と地球の織り成す秩序を基盤に、さらにそれに生命進化が融合して、新たな環境をつくり出し続けてきたことがわかります。
そしてそこから、様々な“地球のしくみ(摂理)”を教えてくれました。

そのなかで特に、生命進化の歴史は、根本的な自然の摂理を私たちに教えてくれました。
生物史上の大進化である“光合成生物”は、太陽からの光というそれまでの生命にとって生存を脅かす圧力対象に同化し、その奥にある可能性(無尽蔵なエネルギー)に収束することで独立栄養生命という大進化の扉を開けました。ただ同時に、生命にとって猛毒の酸素という絶対的環境圧力(外圧)をつくり、地球環境を劇的に変えました。
その環境のなかで“好気性呼吸生物”は、その酸素という絶対的な圧力対象の奥にある酸素の可能性を見いだし収束するという大転換を行うことで、逆境に適応し進化を遂げました。そしてそのことにより人類に至る進化の礎を築くとともに、地球環境をまたしても大きく変えました。
そしてこの“しくみ”は、それ以前の生命進化もその後の生命進化過程のいずれでも同じでした。

生命とは、外部世界が変化し適応できなくなってくると、不全を丸ごと呑み込み、外圧対象の奥にある新たな可能性へと収束し、新たな可能性の実現によって進化してゆく「外圧適応態」である、という生命を貫通した摂理を教えてくれました。

また同時に、それは単体の一直線の緩やかな外圧適応の進化ではなく、新たな外圧に直面すると、他の生物との劇的な合体・融合(接合⇒包摂⇒共生⇒統合)の塗り重ねのなかで多様な適応を実現しており、
生命は、始原実現態の上に次々と新実現態が積み重ねられた「進化積層態」であり、そしてそれは歴史的に多面的に形成されてきた無数の実現態によって構成されている、ということを教えてくれました。

そしてこのことは「生物進化」にとどまらず、
宇宙と太陽の動きと原始地球の内部エネルギー(のエントロピー則に則った運動)に連動して、地球環境は“物質の融合”から次々と多面的に高分子に「分子進化」を起し、それによる生命の誕生を挟んだ「生物進化」が相まって、新しい環境を創出し続け塗り重ねてきた。

まさに、【原子・分子の進化】から【地球環境の進化】そして現在に至る【生命の進化】まで一貫して、『万物は融合し、組織化・秩序化する方向に進化を塗り重ねる』という“しくみ(摂理)”を、このシリーズは教えてくれたと感じています。

 

長いシリーズを読んでいただきありがとうございました。

<了>

List    投稿者 kirin | 2013-08-08 | Posted in D.地球のメカニズム, D01.地球史No Comments » 

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