2008-12-20

地球環境の主役 植物の世界を理解する⑦ 地球史初の森の誕生 ~巨木による立体的な生物ゾーンの形成 石炭紀~

「植物」と聞いて、わたしたちの頭に浮かぶのは
たいてい花の咲く植物ですよね :D 観賞用の花はもちろん野菜、紅葉が美しい広葉樹。

これらはすべて、花をつけ、種子で増える植物たちです。
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ところが遠い昔には、
花を持たず、種をつけず、胞子でふえるシダの仲間が大繁栄して
地球史初の森を築いていた時代がありました。
それは今から約3億5000万年ほど昔
石炭紀と呼ばれる時代のことです。
3億年前の地球史に初めて登場した森は、いったいどのようなものだったのでしょうか?
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●植物 陸に上がる
~これまでのおさらい~
海中の植物たちよって酸素が大気中に増え、成層圏まで達した酸素は約5億年前に地球にオゾン層を形成しました。そのおかげで生命に有害な紫外線は防がれるようになり、生命が地上で生き延びられる環境が整っていきます。
当時はまだまだ現在の酸素濃度21%には至らない薄い空気でしたが、それでもなんとか生物が陸上で生きる為の最低限の環境が整いました。また、酸素はフラボノイドなどの紫外線吸収物質や,クチクラに含まれるクチンなどの乾燥耐性物質の化学合成にも必要で,大気中の酸素の増加はさまざまな点から生物の上陸を可能にしたのです。それと平行する約5億年前、ようやく地球上に陸地が現れます。陸地の出現は、海中、特に陸地の近くに棲む生物に重大な影響をもたらしました。大陸の出現は一部の海を消し去り、また陸地から土砂を溶かし込んだ川となって海に流れ込んだ真水は、海水を薄めて汽水地帯を生み、海水の組成を大きく変えて行ったのでした。
そんな逆境状況の中で、ついにコケ植物、続いてシダ植物が、水際に沿って陸上に進出し不毛な大地を緑の大地へと変えて行きます。地球誕生から40億年目の出来事です。
~ここまでが前回までのおさらいです :P
●森の誕生
4億5千万年前頃に誕生したシダ植物の段階では、葉・茎・根のしくみが構築され、土の上でも暮らせるようになりました。この構造の獲得により、コケ時代の緑の絨毯が徐々に立体的な姿へと変わって行くのです。そしてついに3億5千万年前頃には、地球最初の森が誕生したと言われています。
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これは現在のシダ類の仲間ですが、この背の低さでは森と言われてもなかなかイメージできませんね。
そうなんです。森を作り上げたシダのご先祖たちは、現在のシダより遥かにビッグスケールだったのです。
どのくらい?
そーですね、こんな感じです↓
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レピドデンドロン
シダ植物のヒカゲノカズラ類 石炭紀後期
うろこ状の樹皮から「鱗木(りんぼく)」と呼ばれる。
直径2M樹高38M。根の部分は地中にある

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リンボクは石炭紀の代表的なシダ植物の仲間ですが、沼沢地に群生し、1ヘクタール当り1000から2000本も密生していたと考えられています。リンボクは完全に伸びきるまで分岐しなかったので、この密集が可能となったといわれています。
枝は二又に分かれ、細い枝には小葉が付いており、枝の先にはレピドストロブスと呼ばれる胞子嚢をつけていました。巨木を支えていたのはスティグマリアと呼ばれる担根体です。リンボクは巨大になりますが、木部は少なく、木部の外側に厚い皮層を形成して幹を支えていました。幹の強度は小さかったと考えられ、現在の裸子植物のような樹木とはすこし違っていたようです。
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現在までに確認された最古の陸上植物はチェコスロバキアのシルル紀から産出したクークソニアですが,デボン紀(4億8000万年前)になると多くの陸上植物がパンゲァ大陸の各地から報告されています。しかしながらこれらのうち米国のニューヨーク州で発見されたキャリキシロンという樹幹の化石を除いては、いずれも小型の草木性植物でした。
デボン紀に高温多湿の熱帯性気候下にあった欧米の一隅に発生したシダ植物は葉・茎・根の仕組みを活用し、他の植物より光合成に有利な「高さ」を獲得していきます。そしてシダ植物に属する鱗木・封印木・藍木などの巨木からなる森林が生まれました。そしてこの森林が、石炭紀に入ると欧米を中心に造山帯の低地や内海沿いの湿地帯に爆発的に大繁栄し、各地に大森林を形成して行ったのです。
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その名残は、石炭として今でも多く残っています。石炭はこの時代の植物が完全に腐敗分解する前に地中に埋もれ、そこで長い期間地熱や地圧を受けて変質したことにより生成された、いわば植物の化石でもあるのです。
石炭は古くから燃料として使われてきました。特に産業革命以後20世紀初頭までは最重要の燃料として「黒ダイヤ」・「黒いダイヤ」・「黒の宝石」等とも呼ばれてきました。近代エネルギーの一つとして大きな役割を担った石炭。
その石炭は殆どがこの時代の森林を作り出していたシダ植物たちです。石炭紀に欧米を中心として広く発達したシダ植物の大森林は、その後,米国のアパラチア炭田,欧州の諸炭田,ソ連のポドモスクワ炭田やドネッツ炭田などの大炭田を形成していったのです。(これが、この時代が石炭紀と呼ばれる由縁なんですね)

こんな形でも、わたしたち人類は植物の恩恵を賜っていたんです。

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そして、この巨木の森林が形成した立体的な環境の中で、植物と共に陸上した昆虫たちも一気に繁殖を始めます。
大森林の3次元空間で、新たな機能を獲得し、ついに生物史上初めて空を飛ぶ昆虫が誕生したのもこの時代、この森の中での出来事だったのです。そして脊椎動物が上陸するまでの間、地上は巨大シダ植物と昆虫達の楽園として繁栄していきました。
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現在でも昆虫類は地球上で繁栄を極めており、500万種以上の種類があると言われています(ほぼ毎日新種が見つかっているそうです)。ちなみに現在のほ乳類はたったの約4000種で、やはり昆虫はずば抜けた環境への適応力を持っているようですね。
さらに、余談ですがこの時代の昆虫もなかなか個性的、かつビッグスケール 80センチのトンボや、6枚羽!で最重量を誇る60センチのカゲロウ2メートルを超えるムカデたちがかっ歩していました。あるいみ恐竜より怖いかも
(昆虫巨大化の理由はシダ植物の大繁殖による酸素濃度の上昇であるといわれています。現在よりもはるかに酸素濃度が高かったようですね)

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原寸大模型↑でかすぎです
しかしシダ植物の水分運搬の仕組みはまだ不完全であり、しかも繁殖においては水に依存する部分があったので、まだまだ水の豊富なところでしか生活できず、内陸に進出することは出来ませんでした。そして、その後巨大シダ植物は、環境の変化と共に新たに登場してきた種子植物たちへその主役の座を奪われ交代して行くことになるのです

List    投稿者 kasahara | 2008-12-20 | Posted in D.地球のメカニズム6 Comments » 

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コメント6件

 hihi | 2009.08.03 20:56

なんだか、植物の話から神話の話になりましたね・・
ギリシャの神々は人間くさくて、日本の八百万の神々に近いような感覚がありましたけど、こうしてみると闘いばっかりですね、確かに。
戦争と生殖しかしてなかったようですね、ギリシャ古代人は。

 kz2022 | 2009.08.08 21:24

こうしてみると、ギリシャの神々というのは、超越的な存在とは程遠い、まるで超能力を持ったその辺の身勝手な凡人という始末に終えない?存在のようにも見えますね。

 finalcut | 2009.08.08 21:25

同類闘争(ひときわ自我闘争のしきさいがつよいですね)が主題になっていることはわかりました。
でもアポロンの息子の話に「自然の摂理」がどう反映されているのか読み取れませんでした。
もう少し解説していただけないでしょうか。

 kaz | 2009.08.08 21:31

古代ギリシャでは自然信仰でかろうじて神に名は残るも、実質は戦い、力が自然信仰を凌駕したということですね。

 匿名 | 2009.08.08 22:33

hihiさん、kz2002さん、kazさんコメントありがとうございます。今回調べて知ったのですがゼウスは本当に女たらしで、かつ戦争ばかりしています。ここは古代ギリシア人の意識を考える上で、決定的に重要とみました。

 匿名 | 2009.08.08 22:50

finalcutさんコメントありがとうございます。少し説明不足でした。太陽を引く馬車はもともとアポロンにしか御することができません。にもかかわらず、アポロンは息子パエドンの身勝手な申し出を断りきれず、太陽を引く馬車を曳くことを許してしまいました。その結果、太陽が無茶苦慮な動きをすることになり、多くの命を失うことになります。このような自然の摂理(=太陽を動かすのはアポロンの仕事)を犯す行いは報いがあるということですね。

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