2009-03-28

地球環境の主役 植物の世界を理解する⑬外圧に適応して生まれていった植生帯

みなさん、こんにちは 😮 。
前回は、地球環境の要素である大気の炭酸ガス濃度と植物界が、いかにダイナミックに関係しているかを紹介しました。
今回は、その植物達が地球上でどのような植生帯を作っているかを紹介します。
 
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写真はこちらからお借りしました<リンク>  
 
写真は、極北の地ロシア・ヤクーツクの郊外。年平均気温が-10℃と世界で一番寒いといわれるツンドラの大地です。
(真冬の1月平均気温-40℃ ~真夏の7月平均気温19℃ というものすごい寒暖の差。ヒー 。)
そんな過酷な地でも、植物達(ワタスゲ、スゲ、矮性低木類)が適応してきてくれたおかげで、他の生物(人間も)も適応出来てきました。
 
では、そんな世界の植物たちの植生帯が、どのようになっているか迫ってみましょう
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①雨と気温がつくる植生帯
世界の植生はどうなっているのでしょうか
自然界のどんな条件(外圧)によって、どのように変化するのか(適応するのか)でしょうか
そこで、世界の植生図の紹介です

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上記の図は、横軸に『年間降水量 』、縦軸に『年間平均気温 』にとることで、それぞれの植生帯の関係を表したものです。
『赤色』で表された、雨が多く熱帯にあたる赤道付近の「熱帯及び亜熱帯雨林」を中心に、緯度が高くなるにつれて、『水色』で表された雨も少ない寒帯の「ツンドラ」の大地が広がっていくのがわかりますね。
では具体的に、気温と降雨量のつくるそれぞれの植生帯を詳しく見ていきましょう
 
 
②気温と植生帯
(1)熱帯:熱帯雨林
『熱帯雨林』に見られる植物の7割が樹木であり、これらの樹木は垂直に3~5層からなる多層の樹層を形成しています。最上層には、飛びぬけて高い樹木がまばらにあり、これらは超高木層とも呼ばれています。
また、構成樹種が極めて多く、その中でも大きな葉の面積を持つ被子植物の樹木が多いのも特徴の一つです。
 
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(2)温帯:広葉樹林
『常緑広葉樹林』とは、落葉する時期のない、主として一層の広葉樹からなる森林のことです。
樹木の葉は、平たくて薄く、乾燥や寒さには弱い構造です。
熱帯のように年中雨が多ければ、大きな葉を広げて、年中光合成を行えますが、乾燥や寒さが定期的に来ると、そういうわけにはいかなくなります。だから乾燥や寒さに対しては、葉を小さくしたり厚くしたりする事で適応してきたのですね。
そのように適応できるうちはそれでもいいですが、温帯でも、ある程度冬の寒さが厳しくなれば、その時期には葉を捨てることで適応します。それが『落葉広葉樹林』です。
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写真はこちらからお借りしました<リンク>
 
 
(3)寒帯:針葉樹林(裸子植物の樹木)
『針葉樹林』とは、松や杉などの裸子植物 の樹木で形成される森林のことです。
針葉樹林は、葉が針のように細長くし、表面積を小さくすることによって余分な水分の蒸発を防ぎ、それによる霜(凍結)を防ぐよう適応しています。(霜は植物にとっては天敵なのです!。)
また、あの濃い葉の緑は、上記の理由で葉の面積が小さいからこそ、光合成を効率よく行うために葉緑体が密集しているからなのです。

(逆に熱帯雨林では霜などの対策を取る必要がないため、より能率的に光合成を行うために葉が広くなっているのですね。葉緑体もそれに伴って広がっているため明るめな色になっているのです。)
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写真はこちらからお借りしました<リンク>
 
 
③降水量と植生帯
降水量が十分あると、植物遷移は樹林まで行き着き、森は形成されていきます。
前々回の「植生遷移の極相としての森林」でも紹介しましたね。
逆に降水量が不十分だと、十分に樹木が育たず、草が優位となります。
『サバンナ』:熱帯・亜熱帯のような、雨季と乾季のある地域では、草の生えている時期とそうでない時期があります。
『ステップ』:温帯で、年間を通し草原状態にあります。
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写真はこちらからお借りしました<リンク>
 
 
④乾燥外圧が高いと『樹木⇒草』
ここで、やっぱり注目しておきたいのが、植物は、乾燥外圧の高くなればなるほど、樹木ではなく草という形態で外圧適応し、成育圏を拡げているところです。
改めてここで ポイントとなるところが、その成長スピード
 
草は樹木のように背が高くなれないですが、その代わりに生活の融通が利く利点あがります。
体が小さい代わりに、生活時間が短く、一年草は一年以内に世代を終えることができます。
それによって、攪乱を受け、開いた場があれば 素早く 侵入し、世代を繰り返します。
一般に、植物群落の遷移では、まず草がはえて、それから木が侵入して森林へ、という順番が見られます。
また、イントロで紹介した『極北の地:ロシア・ヤクーツク』のような寒帯の地でも(極端に乾燥が厳しく、雨の降る時期以外には生き延びるのが困難な場所でも)、種子で休眠すればやり過ごせるし、条件の良い時期に一気に成長して種子をつけることができるのです

 
 
樹木では、一年で種子を作るというのはまずありません。 
乾燥や寒さが厳しく、森林が成立する限界以上の地では、 草原 が成立することが多いのです
 
 
改めて、雨 や太陽 (気温・光合成)から、どのように子孫を残していくか、適応していくかといった植物の進化の過程に注目し、この植生図を見ていくとまた新たな気付きが生まれそうですね。
 
また次回も応援よろしくお願いします

List    投稿者 egisi | 2009-03-28 | Posted in D.地球のメカニズム10 Comments » 

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コメント10件

 匿名 | 2009.11.19 19:35

そのエネルギーを使用するために、もっとエネルギーを使う必要がある=エネルギー収支が悪いってことですよね。
ただ、これもなんかいたちごっこみたいな気がしてました。
エネルギーってそんな局部的なものじゃなくて、もっと周りとつながってるんじゃないかと。
それと仰るようなバランス形態。
石油みたいな超高密度エネルギーを前提にしてたら答えは出なそうだと感じました。
次回も楽しみにしています。

 honda | 2009.11.20 11:28

>「その”低密度”エネルギー生産形態とバランスする消費形態をどうするか?」という課題である。
19~20世紀の科学技術に発展というのは、化石燃料という高密度で持続不可能なエネルギー源を前提にしている。これらは、単位燃料か膨大ならエネルーが取り出せる(=エネルギー密度が高い)ため、とても簡単に利用できる。
だから、取り出したエネルギーのほんの一部を利用するだけの技術でも問題ない様に思えていた。その結果、技術開発は、エネルギーの効率的利用には進まず、いかに多くの消費先を開発するかに向かった。
このよな状況なので、極めてエネルギーの利用効率がわるい製品が市場に溢れ、浪費するだけの社会ができあがった。しかし、エネルギー密度が高い燃料を利用できたため、技術開発の難易度は下がり、さまざまな科学技術も培われてきた。
そして今、消費量の急増もあって化石燃料は急速に不足してきている。このまま化石燃料にたよってるかぎり、持続可能な生産はできない。
いまこそ、持続的に供給される太陽エネルギーを利用する、生産消費スタイルへの転換が求められているのだろう。つまり、低密度エネルギーを効率よく取り出す技術が、石油によって培われてきた科学技術を母体に進化していく必要があるのではないか?

 daruma | 2009.11.21 17:09

市場の飽和から、物質的な生産を伸ばすことが無為な時代になりました。その上で、生きる意味を再考する段階にきたようです。エネルギー問題もそれに対応したものとすべきですね。
 ともすれば、効率に意識がいきがちですが、ここでいう「地産地消」に適用できるエネルギーシステムであることが重要な判断軸になるというのが気づきでした。
 

 kuma | 2009.11.21 23:09

エネルギーも、生産様式に規定されるものだと思います。
物的生産の時代を終えたこれからの社会では、循環可能で永続的なエネルギーが求められます。
エネルギーも地産地消というのは、可能性をを感じますね。

 tutinori | 2009.11.22 18:58

匿名さんコメントありがとうございます
>石油みたいな超高密度エネルギーを前提にしてたら答えは出なそうだと感じました。
石油エネルギーでの生活が当たり前になりすぎて、”石油”とうのが超特別な奇跡みたいなものだという認識をまず前提にしないと、これからの持続可能なエネルギー社会というのに”答え”は出せないのだと思います。

 tutinori | 2009.11.22 19:26

hondaさんコメントありがとうございます
言いたかったことを的確に補足してくださってありがとうございます。
>いまこそ、持続的に供給される太陽エネルギーを利用する、生産消費スタイルへの転換が求められているのだろう。つまり、低密度エネルギーを効率よく取り出す技術が、石油によって培われてきた科学技術を母体に進化していく必要があるのではないか?
よく、江戸時代に生活レベルを落とすべきといったような意見なども見受けますが、そういったことではないのだと思います。見習うべき判断軸というのは現代の科学技術の中からも生み出せるのではないかとも思っています。
今回あげた「地産地消」のスタイルを補うべくエネルギー技術を今後も追求していきたいと思っています。

 tutinori | 2009.11.22 19:31

darumaさんコメントありがとうございます
おっしゃるように、今ある「市場」の形態そのものが見直されれくる時代なんだと思います。
というかそれ無しには実現されない「持続可能なエネルギー社会」だということです。

 匿名 | 2009.11.22 19:35

kumaさんコメントありがとうございます
>エネルギーも地産地消というのは、可能性をを感じますね。
そうやってみなが可能性を見出せるような”判断軸”を追求していけたらと思っています。

 なえさん | 2009.11.23 2:27

「海洋温度差発電」なるものを初めて知りました!!勉強になりました。
自然に存在するサイクルを利用して発電するとはどういうことなのか、こういった具体的な実践内容まで知っていくと、化石燃料の目先的・効率最優先なエネルギー消費との違いが理解できます。
モノの価値は人々の共認次第で変わっていきます。こういった場を通して新たな実現可能性を知り、広めることで、人々の判断軸も「そっちの方が可能性あるな」って転換していくと思います☆どんどん広めていきましょう!

 tutinori | 2009.11.28 14:48

>なえさん
コメントありがとうございます
現在のエネルギー開発で前提となるのが、消費のスピード、すなわち”効率的”かどうかです。
そしてその効率的と並んで問題視されるのが、開発費=経済的指標なのです。
まずこの”効率的”という概念そのものが自然のエネルギー循環の原理を逸脱していることを認識しないといけないのだと思い今回の記事に至りました。
こういった新技術の中からも現代版”江戸社会”なるエネルギー社会を考える基礎を考えていきたいと思います。
最終記事http://blog.sizen-kankyo.net/blog/2009/11/000633.htmlではこのような視点で記事を書いています、
是非読んでみてください☆

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