【地球の内部 番外編】宇宙より遠い場所 ~ダイヤモンドで作る地球の最深環境
火山や地震といった自然現象を持ち出すまでもなく、地球環境が、その内部構造に依っていることは確かです。しかし、わたしたちは、地球の内部を直接見ることはできません。大深度掘削技術をもってしても、12キロメートル程度、つまり地殻の1/3までの穴しか掘ることができないのです。
火星や土星といった、数億~数十億キロも離れた惑星にまで探査機を送れるようになった人類の科学技術ですが、地球内部に関しては私たちのすぐ足下、わずか数千キロの所にさえ行くことができない。そういう意味で地球内部は、「宇宙より遠い場所」と言えるかもしれません。こうした人類が直接行くことのできない地球内部をどのように研究しているのでしょう?
直接観察できない地中内部の構造を把握するために、地震波速度の観測が利用されています。(参照: 【地球の内部 1】 地球の内部構造をどうやって推測したのか?)
が、これで分かるのは層の硬さや厚みだけで、実際にどんな物質でできているかまでは分かりません。
そこで、超高圧高温になっている地球の内部環境を再現して、地中奥深くにある物質を人工的に造り出す研究が行われています。
こうした分野の研究では日本が世界をリードしています。2010年には、地球最深部に該当する、364万気圧・約五千度という超高圧高温状態を再現できる装置が開発されました。
これが「ダイヤモンド アンビル セル」と呼ばれる、直径わずか10センチ程度の小さな装置です。
地球上で最も硬い物質、ダイヤモンドにブリリアントカットを施し、先端を平らに削ったものを向かい合わせて、その間に試料を挟み、レンチを締めていくだけで超高温状態を生み出すことができます。
ダイヤモンドは透明ですから、観測し易い上に、レーザーを当てて高温にしたり、X線や放射光を当てて結晶構造を推測することもできます。
この装置によって、下部マントルと外核の間に「ポストペロフスカイト」という、下部マントルとも外核とも異なる、MgSio3(ケイ酸マグネシウム)を中心とした極めて電気伝導度の高い層があることが判明しています。
(参照: 手のひらサイズの装置で地球深部の謎を解明する)
今後、超高圧高温状態でできる「未知の鉱物」が生成、発見され、地球内部の構造が明らかにされていくことでしょう。
「自然の摂理から環境を考える」チームでは、こうして明らかになりつつある事実を体系化・構造化していくことで、地球内部の秘密に迫っていきます。
なるるんの一言
ダイヤモンドアンビルセルには、試料を挟むために2つのダイヤモンドが使用されていますが、そのダイヤモンドは一体どれくらいの大きさだと思いますか??
正解は“およそ4mm(0.2~0.3カラット)”です!!………「ちっちゃ~Σ(°□°;)」…ですよね??笑
更に驚きなのは、そんな小さな小さなダイヤモンドは機械ではなく“日本人の手により”磨いたり、削ったりして加工されているということ☆
小さな世界へも潜り込んでしまう日本人の匠の技ですね☆★
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