2012-02-08

風がふくのはなんで?(4)~貿易風や偏西風が生まれる構造~

前回の記事では、日本を取り巻く2つの気団(揚子江気団、オホーツク気団)の形成を左右する要因として、ヒマラヤ山脈と偏西風に着目しながら追求を試みました。
もっとも日本の季節風と日本を取り巻く気団群の影響は不可分の関係ですが、中でも気団の構成に大きな影響を与えている要素が「偏西風」である、という点が明確になったのではないかと思います。
ここで今一度、偏西風とは何か?ざっとおさらいしてみたいと思います。

偏西風と呼ばれるのは、赤道上で暖められて北上した空気が温帯付近で急降下する際に、コリオリの力を受けることで、西向きに針路を歪められるからです。

風がふくのはなんで?(3)~日本の四季に影響を与えているヒマラヤ山脈と偏西風より引用
引用文より、偏西風は地球規模の大気の大循環によって生じていることが理解できます。
偏西風は超上空では時速数百キロの速度を誇るジェット気流に姿を変えていることは過去に取り上げましたが、このような偏西風や、或いは貿易風といった地球規模の「風」は一体どのような原理で生じているのか?
今回記事では地球規模の風の特性について追求していきたいと思います。
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◆偏西風や貿易風を生む大気の大循環
地球は赤道上では暑く、緯度を上げるに従って寒くなっていきます。
エリアによる寒暖差で気圧差が生じ、年間を通じて特徴のある風(偏西風や貿易風)が生まれます。
下記の図は地球規模の日射量の差を表しています。

図はこちらからお借りしました。
では、なぜ同じ地球上でもエリアによって寒暖差が発生するのでしょうか?
下記の図を参照下さい。

理由は2つあります。
1つ目は、地球が球体のため、単位面積当りの日射量に差が生じることです。
赤道付近では太陽からの日射をほぼ直角に受けるのに対し、高緯度の地域では広い面積で日射を受けます。
広い面積で受けると、その分単位面積当りの日射量が減り、気温が低下します。
2つ目は、大気を通過する距離の長短の差です。
赤道付近では大気中を通過する日射の距離が短いのに対して、高緯度の地域では長くなります。
大気中は水蒸気を始めとする様々な成分で構成されていますので、距離が長いとその分、散乱されたり吸収されるエネルギーが多くなってしまうことが原因です。
これら日射とエリアの寒暖差が、地球規模の大気の大循環を生む原因です。
では、貿易風や偏西風といった風は、どのような構造で発生しているのでしょうか?
前述した地球のエリアによる気温の差だけで考えると、赤道で温められた空気が上昇することによって冷やされて重くなり、極地方に下りてきて循環するのでは?という1つの大きな循環イメージを抱いてしまいそうなものです。
しかし、実際は北半球、南半球それぞれで「3つの大循環」が起こっています。
なぜ1つの大循環ではなく、3つにも分かれるのか?
海洋で上昇した空気の動きをイメージすると、理由が明確になります。
1つ目の理由は、先ほど扱ったように熱によって上昇した空気が冷やされると密度を増して(重くなって)下降せざるを得ないこと。
次に重要な点は、上昇した空気が北へ向かうに従って、「コリオリの力」を受けるが故に、北半球では西向きに針路を変えられて、北上する距離に限界が生じることです。
上記2点の理由により、例えば赤道上で上昇した空気は冷やされて、コリオリの力も受けながら、北緯30度付近に下降せざるを得ない状況が生じます。
詳しくは後述しますが、極付近でも北緯60度付近でも海洋で空気が上昇し、極付近で下降気流になるような循環が存在します。
そして赤道付近の循環と極付近の循環との間には、それらの影響を受けた大気循環があり、合計3つの循環が
存在しているのです。
この3つの大循環によって、貿易風や偏西風が生まれることが分かっています。
具体的に下記の図を参照にしつつ、迫ってみます。

最も日射量の多い赤道付近で暖められた空気は上昇気流となって上空に向かい、南北方向に分かれます。
北に向かった気流はコリオリの力を受けながら、次第に右側にそれて行きます。
この間の気流は上空に行くに従って冷やされることによって重くなり、コリオリの力で進路を西向きに変えられて、凡そ北緯30度付近に達すると、一部は下降して地表に戻ります。
地表に戻った気流は、近辺の空気密度を上昇させることで、「中緯度高気圧帯」を作ります。
次に中緯度高圧帯から赤道の低気圧に向かって気流が吹き出し、コリオリの力を受て南西に針路を変えていきます。
この地表付近の北東の風を「貿易風」と呼び、一連の大気の循環を「ハドレー循環」と呼んでいます。
貿易風は恒常的に吹く風のため、船の航行に利用されています。
特に帆船中心の大後悔時代には、風の影響をダイレクトに受けるため重宝がられていました。
※貿易風を利用して大西洋横断に成功したコロンブスの事例
ハドレー循環によって生じる貿易風は、開けた海洋では一年中ほとんど同じ風向きで吹いています。
しかし、陸地に近い所やインド洋北部では陸地との比熱の差によって生じる季節風の影響力が大きいため、必ずしも一定ではありません。
ハドレー循環と同じような構造が、極付近にも存在します。
北緯60度付近からは、極付近と比較して相対的に暖かい空気が上昇し、北極付近で冷やされ下降する形で循環が形成されています。
それを「極循環」と呼びます。
極付近で地表に戻った気流は、近辺の空気密度を上昇させることで、「極高圧帯」を作ります。
そこから北緯60度付近の低気圧に向かって気流が生じ、コリオリの力を受けて南西に針路を変えます。
この北東の風を「極偏東風」と呼んでいます。
次にハドレー循環と極循環の間の日本を含む中緯度帯に、もう一つ「フェレル循環」と呼ばれる循環があります。
この循環の特徴は、ハドレー循環や極循環のように地表が直接日射を受けて引き起こされる循環ではなく、ハドレー循環と極循環によって生じた気圧帯が生み出す構造のため、両者の影響を多分に受ける循環になっています。
ハドレー循環によって北緯30度付近に生じた中緯度高圧帯と、北緯60度付近の高緯度低圧帯によって地表付近には気圧差が発生。そこから気流が生じ、北半球ではコリオリの力を受けて西向きに針路を取る「偏西風」が生じます。
偏西風は西向きの特徴を持ちつつ、もう一つ重要な点があります。
それは、地球の自転による影響を受けて、大きく南北に蛇行している点です。
最近ではこの偏西風の蛇行が、南北の熱輸送に多大な影響を与えると共に、地球規模の気象にも大きな影響を与えていることが分かっています。
では、なぜ偏西風は蛇行するのか?その影響はいかほどに?
この辺りを次回記事にて迫ってみたいと思います。

List    投稿者 wabisawa | 2012-02-08 | Posted in D02.気候1 Comment » 

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コメント1件

 wow | 2014.12.19 22:48

分かりやすかったです!
ありがとうございました

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