2013-07-02

【動物の体を相似形にするメカニズムを発見!!-「大きなカエルも小さなカエルも同じ形になる」という長年の謎を解明-】科学を身近に☆NewStream

旬の話題から自然の摂理が学べる!科学を身近に☆NewStreamです。
今週の科学ニュースを紹介します。
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写真は、カエルの親子です。
見ての通り、大きさは違えど、顔、胴体、手、足…どこをとっても同じような特徴をしています。
これってすごく不思議ではありませんか??
今回のNew Streamはそんな疑問に答えてくれる記事の紹介です☆

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理化学研究所より参照
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1.背景と結果
動物の体のサイズにはばらつきがあり、近縁種同士でも2倍以上異なる例があります
また同種同士でもサイズが違うことも多く知られています。しかし、一般的には、体のサイズに関わらず同種や近縁種であれば、頭、胴体、足などの大きさの比率は体のサイズに対して一定です
こうした現象は、スケーリング(相似形維持)と呼ばれ、広く動物に共通して認められています。
脊椎動物の複雑な組織の形成は、初期胚の背側部分の組織(シュペーマン形成体)から分泌されるタンパク質「コーディン」などの司令因子の濃度勾配によって決められています。濃度が高い領域では脳や背骨など背側の組織が、濃度が低い領域では造血組織など腹側の組織が形成されます。
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しかし、アフリカツメガエルの初期胚で人為的に腹側部位を切除して、シュペーマン形成体がある半分サイズの胚を成長させると、不思議なことに脳や腹部などの各組織も半分の体積に縮小し、相似形が保たれた2分の1サイズのオタマジャクシが生まれます。もし司令因子の濃度勾配によって組織が形成されるならば、半分サイズの胚では体のサイズに比べて大きな脳ができると考えられるため、意外な結果といえます。
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この謎を解明するために、研究グループは脊椎動物のなかでも初期胚発生の研究が最も進んでいるアフリカツメガエルの初期胚を用いてコーディンの機能について詳細に調べました。
その結果、たしかにコーディンの濃度勾配が直接的に各組織形成とそのサイズを決定していることを実証しました。また、初期胚内ではコーディンを分解する酵素によって、常に不安定な状態であることが分かりました。
さらに、このコーディン分解酵素の働きを阻害する因子「シズルド」の濃度によって、コーディンの作用距離が調整されることも突き止めました。コーディンの安定化因子であるシズルドの濃度が胚の大きさに比例することで相似形が維持されていることを証明しました。
2.手法とまとめ
(1)各組織やそのサイズを決めているのは司令因子「コーディン」
過去の研究から、シュペーマン形成体の作用が各組織への誘導だけでなく、それらのサイズも決めていることは知られていましたが、その作用を引き起こす決定的な司令因子が何であるかは分かっていませんでした。
そこで研究グループは、アンチセンス核酸法によってシュペーマン形成体から分泌される複数の司令因子の機能阻害実験を行いました。その結果、各組織の誘導とそのサイズの決定を担っているのは、主に「コーディン」によることを明らかにしました。
(2)コーディンは、生体内で非常に不安定
次にコーディンのタンパク質としての性質を解析しました。
その結果、コーディンは試験管の中では分解されず安定ですが、胚の中では30分以内に半量が分解されるほど非常に不安定であることが分かりました。この現象を詳細に調べると、この不安定性はコーディンを特異的に分解する既知の分解酵素によって引き起こされることが分かりました。初期胚内でこの分解酵素の働きを阻害するとコーディンの量は増加し、コーディンの濃度が胚全体で高くなることで神経組織などが不相応に大きくなったオタマジャクシになることも分かりました。
(3)コーディンの作用距離は、分解阻害因子「シズルド」で調整
初期胚の中には、コーディン分解酵素だけではなく、その酵素の作用を阻害する分解阻害因子「シズルド」というタンパク質が存在することも知られていました。
そこで、シズルドの濃度を初期胚の中で人為的に増やすと、コーディン分解酵素が抑制されて、コーディンの量が胚全体で増すことが分かりました。つまり、初期胚内では、シズルドが働くことでシュペーマン形成体から分泌されるコーディンが分解されずにより遠くまで到達し、作用する範囲が広がるということが判明しました。
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(4)胚のサイズに応じてシズルドの濃度が変化することで相似形維持が可能になる
研究グループは、初期胚内でシズルドの濃度がどのように制御されているのかを調べました。
アフリカツメガエルの初期胚から腹側を半分取り除き、人為的に2分の1サイズの胚をつくります。この胚を用いてシズルドのタンパク質量を調べたところ、その濃度は胚全体のサイズに比例して減少していました。
その結果、胚全体のコーディンの量も減るため作用範囲も狭くなり、胚のサイズに比例した組織が形成されることが分かりました。また、アンチセンス核酸法を用いてシズルドの機能を阻害すると相似形維持は起きなくなりました。
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さらに、研究グループは今回の実験で得られた結果をコンピューター上で数理モデルとして再構築したところ、胚のサイズに応じてシズルドの濃度が変化することでコーディンの濃度勾配を調整し、適切に組織形成するモデルを得ました。これは、実際の観察された現象を強く支持するものでした。
この研究成果は、動物の体「全体のサイズ」と、それを構成する各組織、器官の「局所のサイズ」がコーディンとシズルドという2つの因子間のバランスで決定されるという画期的な原理の解明です
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3.今後の期待
今回の研究成果では、長年の謎で、根本的な生物学的な問題であったスケーリング(相似形維持)の原理を、アフリカツメガエルの初期胚を用いて明らかにすることができました。
今後の課題は、今回明らかにした原理が他の動物種でも同様に働いているかどうかを明らかにすることです。
特に、哺乳類などでみられる胚の成長を伴う体のサイズの変化における相似形の維持機構にも、こうした原理が働いているかどうかは発生学的に興味のある問題です。
また、これとは逆に動物種の「進化」の過程では相似形は維持されずに大きく変化することも知られています。例えば、キリンの首が長いのは、身体の大きさに「不釣り合い」に頸椎の骨のサイズが大きくなったためと考えられています。今後の相似形維持の研究の展開により、こうした「進化原理」のメカニズムの解明も期待できます。
■リンク
性染色体の不思議1~Y染色体遺伝子の退化による性染色体の進化~
遺伝子進化論の終焉

List    投稿者 isiisii | 2013-07-02 | Posted in D.地球のメカニズムNo Comments » 

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