2009-09-26

地球環境の主役 植物の世界を理解する25.米大陸モンゴロイドが見出したトウモロコシ

1年に渡って取り組んできた植物シリーズも、今回で最終回とします。 
 
人類の人口増加は、必然的に、「実のなる植物の活用」=農耕段階を迎えます。
実のなる植物・草として、東アジアモンスーン地帯では稲を発見します。西アジア・乾燥地帯では、麦に行き着きます。 
 
過去の記事をあげておきます。 
西アジアの麦の栽培/農耕部族が見出した一年草の可能性 リンク 
モンスーン地帯の稲の栽培/東アジアの一年草 稲栽培 リンク 
稲作と麦作の基本思想比較/森への同化意識を継続させたアジア農耕部族リンク 
 
ところで、世界の農耕を見渡すと、稲・麦以外に、トウモロコシとタロイモが重要な役割を果たしています。 
 
2007年の世界のコメ(もみベース)生産量は、6.6億トンです。麦(小麦、大麦)は7.4億トンです。対して、トウモロコシは7.9億トンです。
世界の最大の穀物がトウモロコシですね。 
 
そこで、最終回は、「実のなる植物」であるトウモロコシを扱います。 
 
  mayakoon.jpg
  マヤ文明のシペ・トテック像(豊穣の神様)。手にトウモロコシをもっている。 
世界を旅行している2Win Soulさんの「おもしろ博物館で何を思う?!」からお借りしました。リンク 
 
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1.もっとも大きく重い種を実らせるトウモロコシ 
 
トウモロコシは、イネ科の植物です。麦もイネ科でしたね。では、3種類のイネ科で、もっとも収量の大きな穀物は、どれでしょう。
 
3種類の栽培面積1ha当たりの収量を見てみましょう。
コメは、1ha当たり4.2トンです。小麦は2.8トン、トウモロコシは、5.0トンです。トウモロコシが最も収量の大きな穀物です。
では、なぜ、トウモロコシの収量が大きいのでしょう。 
 
トウモロコシは、C4光合成植物(C4植物)なのです。 
 
C4光合成植物は、炭酸ガスと水から糖を作る「光合成」の効率が良い植物です。
高温や乾燥、低CO2、貧窒素土壌と言った、植物には苛酷な気候下に対応するために、光合成機能を高度化した植物です。 
 
その起源と適応外圧は、2説想定されています。

C4植物は、白亜紀(およそ 1億3500万年前から6500万年前)に初めて出現されたといわれている。しばらくは細々と生育していたと見られるが、700万年前に著しく増加した。この時期は、大気中のCO2濃度が著しく減少した時期と重なる。 低CO2濃度条件においては、C3植物よりも光呼吸が少ないC4植物のほうが生育に有利である場合が多い。こうした事情を踏まえて、C4植物は低CO2に適応して進化したという説もある。また、前途のようにC4植物は水利用効率がよいので、乾燥に対する適応で進化したと考える説もある。

C4型光合成 
乾燥外圧、低CO2外圧に適応し、光合成機能を高度化し(生産力を増強し)、種の生産性を高めたのが、トウモロコシです。この高い種の生産性を元にして品種改良して行ったので、トウモロコシが大きく、重い実を稔らせるのです。 
 
 
2.アメリカ大陸に渡ったモンゴロイドが、トウモロコシを発見、品種改良 
 
トウモロコシの栽培起源は、古代アメリカ大陸、メキシコ・グアテマラ地域で始まりました。
富山国際大学佐藤研究室の新大陸考古学講座栽培植物の起源からです。

 トウモロコシの起源については、メキシコやグアテマラに自生するテオシントと呼ばれるイネ科の野生植物が採集利用されていた過程で突然変異をおこしトウモロコシの祖先となったという説が一般に信じられている。 
 
 最古のトウモロコシは、実を36から72粒ほどつけた穂軸1.9cm~2.5cm程の小さなものであった。その後改良を重ね、種子の大きいものを見つけてひたすら栽培を繰り返した。そして、2000B.C.には現在のトウモロコシに近い大きさのものを栽培していた。 
 
 トウモロコシは、メソアメリカで栽培化が行われ、その後南アメリカや北アメリカに伝播したと考えられている。一方、南アメリカでは、ジャガイモやキャッサバなどのイモ類が栽培化されメソアメリカや北アメリカに導入されていった。 
 
  teosinto.jpg 
  図:テオシントからトウモロコシへの進化
     a)テオシントの雌性花序
     b)テオシントとトウモロコシの雑種
     c)一粒づつ殻に覆われたテオシント(突然変異によって生まれる)
     d)テオシントと現代のトウモロコシの雑種
     e)現代のトウモロコシ

現在のような、イネや麦に比べて、格段の大きな実を稔らせるトウモロコシは、アメリカ大陸のモンゴロイドが、長い時間をかけて品種改良した賜物です。 
 
 
3.ネイティブ・アメリカンのトウモロコシに救われたメイフラワー号移民 
 
コロンブスがアメリカ大陸を発見した頃には、トウモロコシの栽培は、北米大陸全域のネイティブ・アメリカンに普及していました。そして、不作の時に備え、トウモロコシを貯蔵していました。 
 
メイフラワー号の移民は、12月末のマサチューセッツ州のケープコッドに漂着します。彼らの持参した食料は僅かで、ネイティブ・アメリカンのトウモロコシ貯蔵庫を発見し、何とか冬を乗り切りました。(但し、102人の移民のうち、52名しか春を迎えなかったようです。)
貯蔵庫は、コロンブス達がもたらした新種ウイルスに感染して絶滅した種族が残したものでしょう。 
 
そして、入植地近くのウァムパノーグ族から、トウモロコシの栽培方法を学び、その後の食料を確保しました。秋の収穫後には、ウァムパノーグ族も招待し、収穫感謝祭が催されました。
(米国の11月第4木曜日の感謝祭は、この故事にちなんでいます。) 
 
参考/とうもろこしとアメリカ入植時代 
 
米国移民の原点に、トウモロコシの恩恵、ネイティブ・アメリカンの援助があります。 
 
しかし、しかしです。
トウモロコシは、ネイティブ・アメリカンにとっては、自分達(人間)の食べ物です。
一方、ネイティブ・アメリカンの生存地を圧迫して、膨大な農地を確保した「メイフラワー号移民」の末裔・米国民は、トウモロコシを家畜の餌にします。大量のトウモロコシを食べた牛・鶏・豚を自分達(米国民)が食べる様式にしてしまいました。 
 
ネイティブ・アメリカンの虐殺に加えて、トウモロコシを家畜の餌に貶めてしまったことは、欧米移民の原罪といえるでしょう。 
 
 
*タロイモは、根菜類ですので、またの機会にします。但し、植物としての根菜類を簡単に記しておきます。

植物の中には、地下茎で繁殖するタイプがあります。この地下茎で繁殖する植物が、不利な季節を乗り越える方法が、地下茎の肥大化です。
成長期に、地下茎に栄養をため込み(肥大化させ)、成長に不利な季節をしのぎ、次の成長季節になると、その肥大化した部分から芽を出すのです。肥大化した部分の栄養は、芽の生長のための栄養です。
地下茎の肥大化した部分が、イモと言われるところですね。

List    投稿者 leonrosa | 2009-09-26 | Posted in D.地球のメカニズム4 Comments » 

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コメント4件

 ヘンプヒルズ | 2010.04.27 13:37

へ~。研究開発に余りお金が掛かっていませんね。
やっぱり、自然の摂理に合わないものはお金が掛かるけど、自然の素材を扱う研究はお金が掛からないのかな。。。
今回のコスト検証も含め、「藻エネルギー」にはすごく可能性を感じます。
残るのは、やっぱり培養する場所・広さの問題ですか。
ところで、海外事例で、
>⇒炭化水素を作るよう遺伝子操作された単細胞藻を工業規模で培養することでコスト削減を狙う研究>
のような方法が、なんか引っかかりますね。。。(うーん)

 ぴのこ | 2010.04.28 10:39

へえ~!!
こうして具体的にまとめて下さると、金額的な面では実現できそうってイメージが湧いてきました☆
ありがとうございます!
国家予算から考えても、もっと投入可能な数字ですね。
ただ、税金をどう使うか?は、大きくはみんなの意識次第ですもんね。
エコという目先のごまかしではなく、みんなで本質を考えていく、その意識転換がまず必要なんだな、とも思いました。

 kasahara | 2010.05.08 1:06

ヘンプヒルズさん、コメントありがとうございます!!
>自然の素材を扱う研究はお金が掛からないのかな。。。
何をするにもお金が掛かる仕組みによって成立しているのが現・市場社会ですよね。循環型エネルギー社会の実現には、脱市場の自然の摂理に組み込まれた社会生活のビジョン(生産・消費スタイル)と認識転換が必要なのだと思います。
>⇒炭化水素を作るよう遺伝子操作された単細胞藻を工業規模で培養することでコスト削減を狙う研究>
これに対する違和感は全くの同感です。自然の摂理に反した研究=市場商品は、結果として人類・生物そのものの循環を止めてしまう危険があるように感じます。
社会やエネルギーを自然の摂理に添う形で実現する方法をこれからも探っていきますので、今後とも当ブログをよろしくお願いいたします!

 kasahara | 2010.05.08 1:10

ぴのこさん、コメントありがとうございます!!!
そういっていただけるととても嬉しいです☆
>エコという目先のごまかしではなく、みんなで本質を考えていく、その意識転換がまず必要
まさに!その通りだと想います。その為にも、私たちにとっても、事実をひとつひとつ押えてゆく過程(精度の高い状況認識)が重要になってくるのだと思います。
これからも応援よろしくおねがいします!

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