2018-08-12

近代科学の思考パラダイムが、生命の起源・進化の追求を妨げてきた

紹介する記事の「鉱物は生物を変え、逆に生物も鉱物を変えるという共依存関係にあり、岩石圏と生物圏は共進化を遂げてきた」という内容は納得する。同時に、近代科学の思考パラダイムについて考えさせられた。

記事の内容は、自然の物質と生命は別物ではなく「一体」であって、自然を同一視しその「背後に精霊を見る」思考に立脚してこそ出る発想であり、それがあってこそ理解できる。それがこれまで無機と有機の概念区分で両者は別物で無関係とする発想になっていたのは、近代科学の「二元論」「自然支配」の思考パラダイムに立脚していたからだ。

近代科学の思考パラダイムが、生命の起源・進化の追求、科学の追求を妨げてきた主因であろう。

2018.08.11生命の起源

(※画像はリンクよりお借りしました。)

近代科学は、生命は「海(水)と大気と太陽」の関係で誕生する物語に終始し、実験成果としてはアミノ酸など簡単な「生体分子」の合成までは成功した。しかし、アミノ酸と核酸塩基などの生体分子を重合(結合)するには至っていない。

約40億年前の凄まじい地球環境下では、水と大気と太陽の関係で生命の基となる「生体分子」が生成されたとしても、強烈な紫外線照射などによってすぐに分解する。結合反応の速さと分解反応の速さが同じで、極小の生体分子同士が結合を繰り返して複雑な構造になるのは不可能だったに違いない。

炭素を基本骨格とする「無機分子」から「有機分子」を誕生させ、有機分子を重合(結合)しタンパク質を構成するアミノ酸などの「生体分子」を生成し、そこから分解することなく生体分子が重合(結合)してタンパク質や核酸などの高度に組織化された「高分子」に進化するには、海底火山が噴出する熱水孔のある海底で、鉱物によって構造化された水=『構造水』が不可欠で密接に関係している。(※参照:当ブログ記事

そして、高分子を重合し酵素・RNA・DNAを経て組織化して「生命体」に至るには、水に溶け込んだ鉱物の必要成分を選択して生体分子に取り込む『細胞膜』が不可欠で密接に関係している。(※参照:当ブログ記事

つまり、鉱物が、無機分子を集め固定して有機分子→生体分子→高分子を生成する機能としてはたらき、更に鉱物そのものが生命の一部分となることによって生命体は誕生した。

そして、その後の歴史も、鉱物と生物は「一体」関係で、鉱物は生物を変え、逆に生物も鉱物を変えるという共依存関係にあり、岩石圏と生物圏は共進化を遂げてきた。

以下、紹介記事より引用

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地球上の生命の起源において、鉱物は大きな役割を果たしたと考える。太古の時代、生命の素材となるアミノ酸、糖類、脂質といった分子は、炭素を持つ分子とエネルギー源のある環境ならどこでも、ある程度の量が生産されていた。その中で脂質以外の合成された有機分子はほとんど自己組織化されないが、それらは鉱物の表面に付着している。個体の鉱物には分子を選択、凝集、組織化するといった力があり、そのような力を持つ鉱物が、生命の発生に中心的な力を果たしたのではないかと考える。

地球が生まれてまだ間もないころ、酸化還元反応でエネルギーが生じていたが、そのペースはゆっくりしたものであった。誕生した生命体は、こうした酸化還元反応をより効率よくおこなうようになった。微生物はその後次第に反応のスピードを上げていく。地球誕生から20億年が経過しても、地表あるいはその近くで生命体が存在したために鉱物に何らかの影響が生じたという現象は見られなかったが、微生物は、生命が生まれていなかった場合よりも多くの酸化鉄、石灰岩、硫酸塩、リン酸塩を生み出し、こうして次の段階への準備が進んでいく。こうして起こったのが、大酸化イベントである。

25億年以上前の地球には、基本的に酸素(O2)はなかった。酸素発生型の光合成をおこなう細菌(シアノバクテリウム)の出現により、24億年前から22億年前の間に大きな変化が起こり、大気の酸素濃度は現在のレベルの1%以上にまで増えた。この不可逆的な変化により、岩石と鉱物も含む地球の地表近くの環境は大きく変わり、さらに劇的な変化に道を開いていった。<中略>

地上に存在するおよそ 4500 の鉱物のうち、約3分の2は、大酸化イベント以降に酸素を多く含む水と前から存在していた鉱物の相互作用により、地殻の浅い部分で形成されたからである。

大酸化イベントの後の10億年(18億5000万年~8億5000万年前)は、目覚ましい生物の進化も見られず、地球史上退屈な時代といわれている。その理由を、以下のように説明する。大気中の酸素が1%に増加しても、それが海洋に反映するまでには長い時間を要した。その一方で、陸地では酸素により風化と酸化が進み、大量の硫黄が海へと流入。海洋は酸素と鉄が乏しく硫黄(硫化水素)が多い状態で安定し(キャンフィールドの海)、その状態が10億年続いた。しかし逆に、この10億年間は、気候や生物のフィードバック、すべてが完璧な、調和のとれたバランスを保っていた、地球史上まれな安定した時代でもあった。

しかし、8億5000万年前にいくつかの変化が始まってバランスが崩れ、気候が変わる転換点を超え、7億4000万年前には、地球は空前絶後の気候不安定な時代に突入した。新原生代(原生代の末ころ)に、氷河が赤道まで広がる全球凍結(スノーボール)がおそらく3回発生。スノーボール現象の終わりには反動で灼熱(しゃくねつ)のホットハウス状態に豹変(ひょうへん)し、両者が繰り返すサイクルが始まった。極端な暑さと寒さを繰り返す中、海岸では風化が進み、リンなどの栄養素が大量に生成し、浅海では藻類が繁殖。その結果大気中の酸素濃度は上昇した。

風化によって形成される粘土鉱物は、新原生代に大幅に増加したことが考えられる。さらに沿岸部での微生物の増殖は粘土の形成を大幅に増加させ、有機物と結合して炭素の埋設が進むことで大気中の酸素量の増加をもたらした。その結果、およそ6億5000万年前には現代に近いレベルまで酸素濃度が増加。複雑な多細胞生物が生まれ、6億年前ころには動物にとって有利な生態系に変化し、カンブリア紀の進化の大爆発へと続いた。

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