2013-04-13

【地球のしくみ】24 ~大気編(10)~紫外線を吸収する大気のメカニズム(酸素⇔オゾンの循環サイクル)~

みなさん、こんにちは。
前回の記事では、地球が「オゾン層」「電離層」「磁気圏」という3層のシールドに守られていることを紹介しました。
以下のように、成層圏>中間圏>熱圏においては、宇宙から降り注いでくる紫外線>隕石>放射線から、地球の生物を守るシールドが形成されています。
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(画像は、こちらからお借りしました。)

今日は、その中でも「オゾン層」に焦点を当てて、オゾン層が紫外線を吸収する仕組みをご紹介します。

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◆ ◆ ◆ オゾン層が紫外線を吸収するメカニズム
◆ 紫外線

地上に降り注ぐ太陽光の中には紫外線、可視光、赤外線等の電磁波があります。
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(画像は、こちらからお借りしました。)

人間の眼に見える光のうち、最も波長の短いものが紫色であり、それより短い波長は目に見えず、可視光より短く軟X線より長い、波長10~400nm(ナノメートル)の範囲の不可視光線を「紫外線」と呼んでいます。
その紫外線は、波長380~200nmを近紫外線、波長200~10nmを遠紫外線、X線と区別がつかない波長1~10nmを極端紫外線と、分類されています。
一方、成層圏に到達する太陽光の紫外線は100 nm以上になるため、その範囲を対象に、人間の健康や環境への影響の観点から、以下のように分類しています。

   紫外線(UV-C)  100~280nm
   紫外線(UV-B)  280~315nm
   紫外線(UV-A)  315~400nm

波長の短い紫外線C波(100~280nm)は、エネルギーが非常に高く生物にとって非常に有害だが、この波長領域の紫外線を大気の成層圏に存在する“酸素”が吸収しています。
紫外線B波(280~315nm)も、生物のDNAを破壊するほどエネルギーが高く有害だが、この波長領域の紫外線を大気の成層圏に存在する“オゾン”が吸収しています。
紫外線A波(315~400nm)は、大気にこの波長の光(量子)を遷移エネルギーとする物質が無く地上に到達するが、それほど有害ではありません。日焼けしたり、天日干しできるのはこのためです。
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(画像は、こちらからお借りしました。)

つまり、成層圏にある「酸素」と「オゾン」で、地球に降り注ぐ有害な紫外線C波とB波を遮っています。
では、紫外線も光線のひとつですが、光を吸収するとはどういうことなのでしょうか?

◆ 光吸収
・光のエネルギーの特徴
光のエネルギーは「光速×周波数」に比例します。自然界では質量の有るモノが動くと運動エネルギーを持つが、光(電磁波)のエネルギー量は周波数だけで決まり、下記の式で表わされます。

 E = hv = hc / λ
   E:光のエネルギー
   h:プランク定数(= 6.626 × 10J・s= 4.13 × 10eV・s)
   v :電磁波の振動数(周波数)
   λ:電磁波の波長
   c :光速(= 3.00 × 10m/s)

hは定数、cも光の速度で定数なので光のエネルギーは波長λによって決定され、波長λが短いとエネルギーが大きくなります。
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つまり、可視光よりも紫外線の方が波長が短いのでエネルギーが強いのです。

・物質がエネルギー的に取りうる状態
物質を構成する分子は、それぞれ特定の原子間振動や回転を持っています。また、原子もそれぞれ特定の振動・回転や電子の軌道をもっています。このことを物質の「固有状態」といいます。
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(画像は、こちらからお借りしました。)

この固有状態のうち、エネルギー的に最低で安定した状態を「基底状態」、それよりもエネルギー的に高く不安定な状態を「励起状態」といいます。そして、物質により基底状態と励起状態が異なります。
そして、固有状態は外から与えられるエネルギーにより状態が変化するが、(量子論によれば)それは連続でなく、飛び飛びの値をとります。
エネルギー的に不連続な基底状態から励起状態に上がるとき、いわば川を飛び越えるように飛び上り、これを「遷移」といいます。
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(画像は、こちらからお借りしました。)

つまり、ある物質の基底状態と励起状態のエネルギー差と等しい波長の光のかたまりhv(光量子)が物質に照射され、その物質がその光エネルギーにより基底状態から励起状態に遷移することが、光を吸収するということになります。
そして、物質は光エネルギーを吸収したままなのではなく、不安定な励起状態から安定な基底状態に戻ろうとして吸収したエネルギーを放出します。
しかし、吸収した光は熱などで放出する過程(無輻射過程)を経るので、吸収した光と完全に同じ波長・エネルギーの光として放出されるわけではなく、吸収した光より弱い光=波長の長い光として放出されます。
つまり、もとの強い光を遷移エネルギーとして吸収し、その一部を熱に変え、弱い光として放出するのです。
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(画像は、こちらからお借りしました。)

では、酸素とオゾンは、どのように紫外線を吸収し、紫外線を遮っているのでしょうか?

◆ 紫外線C波によるオゾン層の生成
大気の主成分である窒素分子(N2)は100nmより短い波長にしか光吸収(→遷移エネルギー)を持たないので、成層圏に到達する100nm以上の太陽光による光化学反応には関与しません。
次に多い成分である酸素分子(O2)は、100~240nm程度まで光吸収スペクトルがあるので、紫外線C波(100~280nm)と重なります。そのため、酸素分子(O2)は、太陽紫外光C波の光量子hvを吸収して「遷移」が起こり「励起状態」になります。
そして、紫外線C波のエネルギーは、酸素分子(O2)の化学結合(共有結合)エネルギーより大きいので、酸素分子(O2)は酸素結合を超えた励起状態になり、2つの酸素原子(O)に光解離(分解)します。
そして、このようにして生成した励起状態の酸素原子(O)は、不安定な励起状態から安定した基底状態に戻ろうとして、周囲にある安定した酸素分子(O2)と(窒素を触媒とする「三対反応」)で)結合してオゾン分子(O3)になります。

◆ 紫外線B波によるオゾンの酸素への還元
生成されたオゾン分子(O3)は、200~300nmに非常に強い光吸収スペクトルがあるので、紫外線B波(280~315nm)と重なります。そのため、オゾン分子(O3)は、太陽紫外光B波の光量子hvを吸収して「遷移」が起こり「励起状態」になります。
そして、紫外線B波のエネルギーは、オゾン分子(O3)の化学結合より大きいので、オゾン分子(O3)はオゾン結合を超えた励起状態になり、再び酸素分子(O2)と酸素原子(O)に光解離(分解)します。
このため、成層圏において酸素分子(O2)、酸素原子(O)、オゾン(O3)混在した状態になります。
また、オゾン(O3)は、原子間が2組の共有電子対で二重結合(共有結合)し安定している酸素分子(O2)と異なり、安定した共有結合(O=O)と不安定なイオン結合(O(+)―O(-))という2つの結合(極限構造)から成る共鳴混成体(O=O(+)―O(-))(リンク)で、他の分子を酸化させる化学反応を起こしたり分離しやすい不安定な状態の分子です。
そのため、紫外線B波によりオゾン分子(O3)から光解離して生成された不安定な酸素原子(O)は、不安定な状態で存在する他のオゾン(O3)と結合して安定な状態である酸素分子(O2)になる。

◆ 紫外線を吸収するメカニズム
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上記をまとめると、 (※h: プランク定数、 ν: 光の振動数)

(1)酸素分子O2は、240nm より短い波長(紫外線C波)の光量子hvを吸収して酸素原子に光解離。
   O2 + hv (紫外線C波) → O + O
(2)酸素原子Oは酸素分子O2と反応してオゾンO3が生成される。
   O + O2 +(M) → O3 + (M)
(※Mはエネルギー保存に必要な触媒(酸素もしくは窒素分子)→三体反応)
(3)オゾンO3は、320nm より短い波長(紫外線B波)の光量子hvを吸収してO2とOに光解離。
   O3 + hv (紫外線B波) → O2 + O
(4)そして、酸素原子OとオゾンO3が反応して酸素分子O2 に戻る。
   O + O3 → O2 + O2
(※上記の反応のメカニズムは1930年にチャップマンによって考え出され、「チャップマン機構」と呼ばれる。)

つまり、太陽からの光エネルギーにより、「酸素⇔オゾンの循環サイクル」が行われることで、有害な紫外線が地球上に降り注いでいるのを防いでいます。
そして、上記の太陽光(紫外線C波とB波)を吸収し熱で放出する無輻射過程を経るため、オゾン層が存在する成層圏界面が高温になります。
これは、他の惑星にはない、(光合成生物の起源で大量に発生した酸素を有する)地球特有の大気の特徴です。

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いかがでしたか?
調べてみて、気付きとなったのは、オゾン層が、紫外線によって作られたものだったということです!
そして、それが結果として、地球に生物にとって有害な紫外線を入れないシールドとして働き、生物を守ってくれていたのです。
こういった摂理が積み重さなった上に、わたしたちの命も存在している(することができている)んだと思うと、感謝の想いが深まります。

List    投稿者 staff | 2013-04-13 | Posted in D01.地球史No Comments » 

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