2011-12-14

【気候シリーズ】日本の気候④~生物多様性からみる日本の豊かさ(2)~

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前回(日本の気候③~生物多様性からみる日本の豊かさ~)の続きです。
もう少し詳細に見るために、日本と同じように生物多様性ホットスポットに挙げられており、かつ大陸の東側に位置し、島国であるという点で共通項がある、マダガスカルとニュージーランドと比較しながら、みてみます
地形

【マダガスカル】
南緯12度~25度。島の中央部が山岳地帯。東部の水系は短く急流ですが、西部の水系は長大でかつ傾斜も緩やかです。
【ニュージーランド】
南緯34~47度(北半球のイタリアに相当しますが、イタリアよりはるかに温暖なんです)。南島を南北に貫くサザンアルプスがあります。
【日本】
北緯20~45度。国土が南北に長く、中央を縦断する山岳があります。
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気候・植生
 
世界の群系の分布(Walter、1968)出典:植生地理学  ▲森林の荒廃と文明の盛衰P.22より
 
【マダガスカル】
全土は熱帯に属し、中央高原は熱帯山岳気候です。植生は、熱帯雨緑林、熱帯・亜熱帯の半常緑樹林、熱帯・亜熱帯のサバンナ・低木林。
【ニュージーランド】温暖な西岸海洋性気候  植生は、照葉樹林、暖温帯常緑広葉樹林、温帯草原(ステップ)。
【日本】温暖湿潤気候  植生は、常緑針葉樹林、落葉広葉樹林、常緑広葉樹林(照葉樹林)、亜熱帯多雨林です。
もう少し詳細に見ていきます 😉
海流

【マダガスカル】
アフリカ大陸との間に勢いの強いモザンビーク海流(暖流)が流れ、東側にも南赤道海流(暖流)が流れており、暖流にはさまれています。
【ニュージーランド】
東オーストラリア海流(暖流)に挟まれ、かつ南からは寒流の影響もあります。
【日本】
赤道から上がってくる暖流の黒潮と、その分岐である対馬海流に挟まれています。また寒流の親潮、リマン海流が北から入ってきて、暖流とぶつかり潮目を形成します!!
(潮目にはお魚やプランクトンがいっぱい

 
 ▲1月の風                         ▲7月の風
【マダガスカル】
貿易風と年間を通じて吹く東風が特徴です。冬(5~9月)は南東からの貿易風で東側の降水量が増え(ただし東側は年間を通じて多雨な熱帯雨林地帯)、夏(10~4月)はアフリカ大陸からの季節風で、西側の降水量が比較的増えます。
【ニュージーランド】
南半球の偏西風帯に属し、強風です。特に南島は一年中通して偏西風の影響を強く受け、西側のタスマン海からくる海洋性気団はサザンアルプスにぶつかり急上昇し、分水界の西側に年間7000mmを超すような降水をもたらします。
【日本】夏は温かく湿った南東季節風の影響で太平洋側に雨をもたらします。冬はシベリア高気圧(寒気団)からの寒冷な北西季節風が強く吹き、この季節風と対馬海流の影響によって日本海側地域は多雪となるのです。
    
雨温図とまとめ
地形、気候、海流、風などいろいろな視点で3島を見てきましたが、この3島に共通しているのは、以下の3点です!!
1】コリオリの力によって、北半球では暖流は時計回りに右にズレながら北上し、南半球は反時計回りに左にズレながら南下します。つまり、この3島は大陸の東側に位置しているがゆえに、すべての海流(暖流)が“素通り”するのではなく、島に“沿うように”通るのです!
2】列島を貫く山脈があります!
3】暖流を挟んで風が吹き込んでくるので、その風は温かく水分を多く含んでいます。そしてその風が中央の山脈に当たると、手前に多雨や多雪をもたらすのです!!

一方、相違点は、上の雨温図を見ると明らかです。マダガスカルとニュージーランドは、島の東と西とで雨量が極端に異なります。
それに対して日本は、太平洋側の夏場の多雨、日本海側の冬場の多雪という具合に、列島の表裏にわたって降雨(雪)量を保持しています。加えて、四季が際立っています。そのことが、より日本の生物多様性(=豊かさ)を成立させていると考えられるのではないでしょうか。
☆バックナンバー☆
【気候シリーズ】日本の気候・風土の特徴とは?
【気候シリーズ】日本の気候② 気候変動と森の歴史
【気候シリーズ】日本の気候③~生物多様性からみる日本の豊かさ~
  by mituko & toshi

List    投稿者 staff | 2011-12-14 | Posted in D02.気候No Comments » 

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