2012-05-09

風がふくのはなんで?(5)~偏西風が蛇行するのは何故か?1~

前回記事では、貿易風や偏西風という地球規模で常時存在する風の構造を勉強してきました。
最近ではこの偏西風の蛇行が、南北の熱輸送に多大な影響を与えると共に、地球規模の気象にも大きな影響を与えていることが分かっています。
そこで今回は、なぜ偏西風は蛇行するのか?を追求してみたいと思います。
「風がふくのはなんで?(4)~貿易風や偏西風が生まれる構造~」より引用

超上空に吹く高速の偏西風を「ジェット気流」と呼びます。
向きは北半球ではほぼ真西に吹きながら、季節やその他条件により南北に蛇行することによって、世界各地の気象に大きな影響を与えることが分かり始めています。

気象に与える影響が大きく、その研究も進むジェット気流ですが、まずは基本的な構造を押さえていきましょう。
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ジェット気流は圏界面近くの高度10~14km付近を、幅数百km、厚さ2~3kmで帯状に地球を取り巻いて流れています。その風速は秒速40m以上であり、100mを超えることすらあります。
ジェット気流の軸の部分は南北の気圧勾配の大きな所、つまり「南北の温度差が大きな所」に一致しています。
前回記事にて扱ったハドレー循環とフェレル循環が接する亜熱帯から温帯上空と、極循環とフェレル循環が接する寒帯上空の2ヶ所です。
ここに超高速で吹く原因があります。
風が生じるためには、「気圧傾度力」。動き出した風に働く力には「摩擦力」と「コリオリの力」が働くことは
「風が吹くのはなんで?(1)」で扱いました。
南北の温度差が大きいということは、それに応じて気圧傾度力が増し、超高速の風が生じる原因になります。圏界面近くともなれば抵抗となる「摩擦力」はほぼゼロに等しく、後はコリオリの力を受けて真西に流れるという仕組みが出来上がることになります。
ちなみに、南北の温度差が小さくなる夏にはジェット気流は弱くなり、その位置は北上します。
逆に温度差が大きくなる冬にはジェット気流は強くなり、平均位置は南下します。
日本列島の上空はヒマラヤ山脈の風下にあたり、冬にはちょうど2本のジェット気流が合流するため、世界で一番強い西風が吹いていることで有名です。
次に、押さえるポイントは、西風の性質を持ちながら、「南北に蛇行する」点です。
下記の絵をご覧下さい。

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画像はこちらからお借りしました。


前述した通りであれば、ジェット気流は西から東(北半球)に高速で吹くはずです。
しかし、現実には南北に蛇行している。
そこで、次はなぜ蛇行するのか?その原因を探ってみたいと思います。
◆蛇行の原因
ジェット気流の蛇行が発達する過程では、寒気と暖気の動きが重要な役割を果たします。
温度差の大きい空気塊がぶつかる上空では、高層天気図の等高度線の「間隔が狭く」なっています。
これが大きな気圧傾度力を生み出す原因であることは扱いました。
次に、上空の風を表した下記の図をご覧下さい。
【図解】気象学入門 古川武彦・大木勇人著 講談社出版より引用

温度分布を示す等温線も破線で示してあり、北へ行くほど温度が低くなっています。風は等温線に平行に吹いているため、温度差は解消されません。気象学ではこのように南北の温度変化が急で、上層へ行くと風速が大きくなっている大気の状態を傾圧大気といいます。傾圧大気は、ちょっとしたきっかけで偏西風波動が発達する性質をもっています。

つまり、温度差の激しい空気の平行の流れが、ある時にその温度差を解消しようとして相対的に寒い空気が暖かい空気に流れこむ、或いはその逆というように折れ曲がりが生まれるということです。
今回は上層大気の温度差にポイントを絞って蛇行の原因を探りました。
しかし現実は、上層と下層の気圧差や温度差も存在しており、偏西風波動を考える上ではより総合的に見てみる必要があります。
次回は、下層大気も含めた空気の流れを学んでいきたいと思います。

List    投稿者 wabisawa | 2012-05-09 | Posted in D02.気候No Comments » 

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