2017-08-15

地球内部に水は存在するのか?

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地球は水の惑星であるとよく言われます。水が存在するからこそ地球に生命が誕生し、緑豊かな環境を生み出しています。
一方、地球の形成、進化の過程でも水は重要な役割を果たしてきていることが明らかにされてきています。
このように水は地球のかけがえのない成分ですが、地球内部にも存在するのでしょうか。

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図1
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図2
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図3

地球は水の惑星といわれ、その存在によって地球の表層環境は他の惑星とは異なる独自の進化をし、現在の緑豊かな表層環境を作り出しました。その地球の重要な揮発性成分の1つである水は、地球内部でも重要な成分の1つであり、その進化に多大に影響を及ぼしてきたと考えられています。

地球内部に水が持ち込まれるプロセスを考えてみると、

まず、(1)46億年前の地球形成期に存在した「マグマオーシャン」への水蒸気の溶解(図1)

さらに、それ以降では(2)プレートテクトニクスにより、低温で密度が高い故に沈み込む海洋地殻による含水相の地球内部への運搬が考えらます(図2)。一つの火山噴火をとっても大量のマグマが地表に噴出するわけですから、マグマの噴出したスペースには何らかの物質が入る必要があります。仮に空洞になったままであれば、噴火が起きるたびに至る所で地盤沈下が起こることになります。

この境界はマントルの約60%を占めているカンラン石の高圧相転移によるものと考えられています。この現象は、炭(炭素)が高圧下ではダイヤモンドに変わってしまうのと同じ現象です。最近の地震波トモグラフィーでは沈み込む海洋地殻はこれらの境界を突っ切って、下部マントルまで向かっていく様子も観察されています。

このような場所では、高温高圧によって海洋プレートの岩石と水が反応して、水を含んだ鉱物「含水鉱物」がたくさんできます。

しかし含水鉱物は、さらにマントルの深くまで運ばれると圧力に耐え切れずに水を放出する「脱水分解」を起こすと考えられていた。例えば、含水鉱物の一種で鉄と水からなる「水酸化鉄」はこれまで、マントルの深さ1,900キロメートル、80万気圧の地点まで沈み込むと、脱水分解を起こすとみられていました。

愛媛大学GRCの西真之(にし まさゆき)助教、桑山靖弘(くわやま やすひろ)助教(現東京大学大学院理学系研究科)、土屋旬(つちや じゅん)准教授、土屋卓久(つちや たく)教授らは、まず、スーパーコンピュータ「京」などを用いて、水酸化鉄の結晶構造の理論計算を行ないました。その結果、深さ80万気圧の環境では水酸化鉄は脱水分解するのでは「パイライト型」と呼ばれる結晶構造に変化する、という解析結果が出たのです。

この結果を受けて、実際に水酸化鉄にマントル深部に相当する圧力をかける実験を実施したところ、実際にパイライト型の結晶構造になり、その構造中に水の存在を確認しました。パイライト型は高密度の構造であることが知られ、今回見つかった水酸化鉄は、これまで知られている含水鉱物の中でも最も高密度な鉱物ということです。

実験では、パイライト型の結晶構造の水酸化鉄は、140万気圧でも構造を保つことが示されました。これらのことから西助教らは、パイライト型の水酸化鉄は140万気圧に相当するマントル最深部の2,900キロメートルでも脱水分解せずに水を運んでいる可能性が高い、としています。この研究成果は、含水鉱物は1,900キロメートルで脱水分解するという従来の学説を覆すものとなります。

研究グループなどによると、地球の表層の7割は海に覆われているが、地球の内部に貯蔵できる水の質量は海水の数倍に及ぶと推定されている。このため水は地球表層だけでなく、地球の内部でも重要な成分の一つで地球進化に大きな影響を及ぼしていると考えられています。

我々がまだ知りえていない水が地球の内部にも存在しているのです。

List    投稿者 tutinori-g | 2017-08-15 | Posted in D.地球のメカニズムNo Comments » 

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