2015-01-04

【年末・年始特別企画】細菌は、種という概念で捉えられる生物以前の存在である

南極

南極の氷床下800メートルに存在する湖に、約4000種の微生物が存在することがわかりました。その多くは岩からエネルギーを得ているといいます。米国やイタリア、英ウェールズ(Wales)の科学者らの研究チームによる発見で20日、英科学誌Natureに掲載されました。

 南極のおよそ1300万平方キロメートルにわたる氷床の下には、数千年前から隠されてきたウィランズ湖がある。研究チームは2013年1月、厚さ800メートルの氷床に、フィルターと殺菌用UVシステムが装備された熱水ドリルをつかって直径60センチの穴を開けた。そして氷床下に眠る湖から採取されたサンプルからは、少なくとも3931種類にも及ぶ微生物の群生が発見されたという。
「2014.8.25 AP通信(リンク)」

このニュースから、微生物たちは、通常の生物では考えられないような、過酷な環境においても生存可能であることを伺い知ることが出来ます。
なぜ、微生物は過酷な環境においても適応できるのでしょうか?そのヒントとなる記事が、るいネットにあるので、引用します。

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以下るいネット(リンク)より

細菌は、種という概念で捉えられる生物以前の存在である

生物進化の根元にあり、始原生物に近く、現在も生息している耐熱菌。この遺伝子は、もう少し進化した大腸菌などの遺伝子に比べて、半分以下の小さなものである。そして、そのほとんど(92%)が現在も設計図として機能している。これは、その後進化する、大腸菌などの遺伝子が、普段は使用しない遺伝子をたくさん持っているのと大きく異なる。

では、なぜ進化するにつれて、普段は使用しない遺伝子をたくさん持つようになったのか?

それは、外圧適応のために、変異要素としての遺伝子を、他集団と共有してきたからである。この遺伝子の代表は、プラスミド(やファージ)と呼ばれ、細菌の分裂増殖を担う染色体遺伝子とは別れて存在する。また、そのサイズも染色体遺伝子よりかなり小さい。

そして、プラスミド等の中の遺伝子は、他集団と交換したり、環境水中に溶存態の断片DNAを利用したりして、異なる細菌集団間での共有している。そしてただ共有するためではなく、プラスミド(やファージ)には、その中に格納された、共有遺伝子を、効果的に本体染色体に組み込む機能を持っている。

>染色体DNA 上のファージ配列をよく見るとファージDNA の両端に短い共通のコア配列があることが明らかになっていた.単独のファージ粒子から得たDNA にもまったく同じコア配列が見い出される.しかもそのコア配列の近くに組換え酵素遺伝子が必ず見つかる.プラスミド、ファージ、Tn の動く遺伝子は、どれもこの組換え酵素遺伝子とコア配列のセットを持っており、これら組換え酵素遺伝子はそれぞれ、recombinase、 integrase、transposase とよばれている(図の左パネル).これらの酵素は配列は異なるが、どれもDNA 断片を組み換える機能をもっている.(リンク

つまり、プラスミドは、主にさまざまな環境適応能力を記憶した遺伝子で、これにより、細菌は過去の環境適応の成果を共有して、他集団も含めた細菌全体で環境適応度を高めているともいえる。

こうなると様々な種類の細菌は、集団を超えて適応遺伝子を共有しているため、種という概念でくくることに意味がなくなる。なぜならば、種という概念は、雌雄分化した生物を前提とした生殖可能な集団という定義であり、その目的は、遺伝子交換によって同類他者を生み出すということだからである。

また、哺乳類が環境適応のために遺伝子の変異を起こす時間は何百万年、昆虫では数年かかるのに対して、細菌では日単位で遺伝子変異を起こすことが可能だ。これも、環境適応遺伝子を、細菌集団間で共有してきた結果といえる。

つまり、細菌は、種という概念で捉えられる以前の生物であり、その後進化した真核細胞生物や多細胞生物に比べ、環境変化に対する適応力が極めて強いという特徴を持つ。そして、これが、細菌を敵視して、薬剤などでいくら殲滅させようとしても、すぐにその耐性を持つ菌が現れ、制御不能になる理由だということがわかる。

今後、細菌を考える上では、種という概念で捉えられる生物以前の存在であり、彼らはすぐさま環境適応していくという認識が必要になってくる。

 

ここからわかるように微生物は、種という概念で捉えられる以前の生物であり、進化を経た生物に比べて、環境変化に極めて適応力が高いということが窺い知れます。
これが上記のニュースのような、過酷な環境でも生存できるというところにつながっていくのです。

そして、もうひとつ微生物達から学ぶとすれば、それは「集団」で適応しているという点です。つまり個々で対応していたのでは限界がああっても、集団で対応することによってその変化に幅とスピードを持たせており、その変化を最大限に引き出しているのが、強烈な外圧なのです。
これは何も微生物だけの話ではありません。私たち自身の組織・集団にも十分当てはまる事例ではないでしょうか。

2015年、ますます変化する外圧に、組織・集団で変化・対応することが求められています。

List    投稿者 daichi | 2015-01-04 | Posted in D01.地球史No Comments » 

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