2012-04-22

【気候シリーズ】爆弾低気圧は自然現象かそれとも仕掛けられた爆弾だったのか?(前編)

4月上旬に日本列島を襲った爆弾低気圧。「遅れてきた春一番」といわれる一方で、ネット上ではHAARPによる「仕掛けられた爆弾か」という意見も見られます。
今回の気候シリーズはこの謎に迫ってみましょう。
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20120403/dms1204031906017-n1.htm.強風もたらしたのは“爆弾低気圧”!遅れてきた春一番2012.04.03
 日本列島に台風並みの強風や大しけ、大雨をもたらしたのは、短時間で急速に発達する「爆弾低気圧」だった。低気圧は寒気と暖気が混じり合ってできる。今回は西から東に吹く偏西風が日本海付近で南に蛇行し、大陸の強い寒気が張り出す一方、南から暖気が流れ込んで発生したとみられる。・・大阪管区気象台の担当者は「遅れてきた春一番に近いのではないか」と話している。
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写真は http://helphir.blog.fc2.com/blog-entry-12.html から。震災復興半ばの東北にまたしても被害がおよびました。被災地の一日も早い復興を願いつつ、気象の追求に励んでいきたいと思います。

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■「遅れてきた春一番」とはどういう意味でしょうか。
日本列島はユーラシア大陸の東端であり、いいかえれば太平洋の西端に位置します。この位置条件から、冬はシベリア高気圧からふきつける寒波の影響を受け、夏は太平洋で発達する高気圧の影響を受けます。これは熱しやすく冷めやすい大陸と熱しにくく冷めにくい海洋の間で生じる気圧の差を基本的な原理としています。春になると冬場のシベリア高気圧の勢力が衰え、太平洋高気圧が相対的に勢力を強め出し、向が逆転します。冬場厳しい寒さを伴って吹き続けた北西の風が、暖かい南の風に変わった瞬間、「春一番」の季節風として世間を騒がせます。
■春一番が突風になるのは何故でしょうか?台風とは何が違うのでしょうか?
大陸性の寒気は密度が薄く、海洋性の暖気は密度が高いため、北の寒気と南の暖気がぶつかるとそこには温度差及び気圧差が発生します。特に中高層大気ではその差が大きく、ある限界を超えると寒気が下降しながら南下し、暖気が上昇しながら北上することによって温度差(密度差)を小さくしようとする運動が起こります。その時、海洋性の暖気は湿度も高いため空気が上昇→冷却されることで飽和水蒸気量が低下し、雲→雨が引き起こされます。そして上昇気流が発生した足元では気圧が急速に低下するため低気圧になるというわけです。(今回の爆弾低気圧はこの低下の急激さという点でも類を見ないものでした。)
つまり温帯性の低気圧は寒気と暖気がぶつかることによってつくられる上昇気流がもたらすものなのです。熱帯性低気圧(台風)は熱帯で温められた空気がその熱膨張によって上昇することによってできる雨雲であるのに対して、温帯性の低気圧は、暖気と寒気の衝突によって起こる上昇気流がもたらすものなのです。
そして今年はシベリア気団の勢いが大きかったため、海洋性気団とぶつかりあう時期も遅くなり、4月になってようやく「遅れてきた春一番」が吹いた、ということなのです。
■偏西風の蛇行とはどのような関係があるのでしょうか。
シベリア発の冷たい気団は空気が冷却されているので大気の高さが低くなります(対流圏界面が低い)が海洋性≒亜熱帯性の空気は暖かいため膨張しており、大気の高さが高くなります。(対流圏界面が高い)そこで、この対流圏界面の上層部分を西から吹くジェット気流(偏西風)が流れていますが、海と陸の関係もあって、日本上空では南西から北東へという向きで吹いています。この折れ曲がった形のことを偏西風の蛇行といいますが、今年の冬はシベリア高気圧が発達しましたので蛇行も大きかったというわけです。
そして今回の爆弾低気圧の特徴はこの上層の偏西風蛇行が日本海と重なり、日本海に沿って低気圧が発達していったという点にあります。日本海を北上する日本海流が低気圧の熱源を補給することになるためますます低気圧は発達していったのです。以下が気象庁の分析です。
http://www.jma.go.jp/jma/press/1204/06a/20120406teikiatsu.pdf
平成24 年4 月2~3 日に急発達した低気圧について
~対流圏界面付近の気圧の谷との相互作用および南からの水蒸気供給~
今年4 月2 日から3 日にかけて、低気圧が日本海で急速に発達し、寒冷前線が西
日本から北日本を通過して、各地に風による災害をもたらしました。春季に日本海
低気圧が急発達することはたびたびありますが、今回の低気圧では2 日21 時から
3 日21 時までの24 時間に中心気圧が42 ヘクトパスカル(速報値)も低下し、非
常に稀な事例と言えます。この低気圧の急発達は、低気圧と対流圏界面付近の気圧の谷との相互作用および南からの水蒸気供給が大きく寄与していることがわかりました。・・・下層には東シナ海から対馬海峡に流れ込んだ大量の水蒸気が低気圧に供給されていました。・・低気圧の西側に対流圏界面の大きな降下がみられました。この降下による圏界面の傾斜により上昇流が誘起されて低気圧が急発達したと考えられます。

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■気象庁の発表で気になるのは「対流圏界面の大きな降下」という点です。
上層大気において気圧の谷があることまでは一般論として理解できますが、「対流圏界面の大きな降下」がみられたというのはどういうことでしょうか?ちなみに毎日新聞では「対流圏界面がくぼんだ」と表現しています。
http://mainichi.jp/select/news/20120407k0000m040056000c.html
 全国に暴風雨をもたらした「爆弾低気圧」の成因について、気象庁気象研究所は6日、対流圏とより上部の成層圏の境目(対流圏界面)がくぼみ、その境目に沿い気流が上昇したことで、きれいな渦を巻く台風に似た構造になったとする分析結果を公表した。一般的に気象の変化が起こるのは対流圏までで、対流圏界面はいわば気象現象の「天井」となる。気象研によると、地球規模の大気の蛇行に伴い、対流圏界面 が通常の高度1万メートル付近から5500メートル付近まで下降。これが低気圧の西側に位置したため、くぼみの下部から界面に沿って気流が上昇する形となった。
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部分的降下か寒気側大気が全体的に降下したのかは定かではありませんが、想定されるのは
①ジェット気流の位置が大きくずれた
②対流圏大気の急速な下降気流の影響を受けて圏界面も降下した
③成層圏側に何かの要因が働いた
の3つくらいが考えられそうです。
しかし次第に海洋系の暖気が勢いを増している状態ですから、ジェット気流の位置がかわるとすれば上昇するということになりそうですので①は否定されます。同様に②の場合、暖気側の上昇があってしかるべきで、急速な低下のみという現象はすっきりしないものがあります。
従って、③の「成層圏側に何かの要因が働いた」と考えるほうがよさそうですが、そのためには成層圏についての考察が必要になります。そしてだからこそ今回の爆弾低気圧はHAARPによるものではないか?という説も成り立つわけです。この点は次回に扱いたいと思います。

List    投稿者 staff | 2012-04-22 | Posted in D02.気候No Comments » 

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