2012-08-25

【地球のしくみ】13~原始から一貫して、生命は「海=鉱物が溶け込んだ水中」で誕生し、育まれてきた

前回の記事では、様々な物質が溶け込み攪拌された「海」を、膜内部で濃縮・高分子化することで、生命が誕生したことを明らかにしました。
「生命は海で誕生する」。この摂理は、生命の起源のみならず、我々人類も含めた全ての生物に今もなお当てはまる、普遍構造といえます。
実際、生物は陸上に進出してからも、新たな生命を育む環境として、体内に「海」を構築してきたのです。
具体的には、どういうことなのでしょうか?
魚類、両生類、爬虫類、哺乳類と、進化の歴史に沿って、新たな生命を育んできた環境を追っていきましょう。
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写真はコチラよりお借りしました!

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◆ ◆ ◆ 魚類は海水から淡水へと場を移した時、淡水に不足する鉱物(ミネラル)を補った

◆ 魚類の生命は海で誕生し、海で育まれる

魚類(海水魚)では、メスが海底の岩場等に産み落とした卵に、オスが精子をかけて、生殖するのが一般的な生殖方法です。
つまり魚類(海水魚)の生命は、それ以前の生物と同様に、海で誕生し、海で育まれます。
しかし、海での種間闘争で勝てずに、汽水域(海と川の間)、淡水域(川など)に棲息の場を移さざるを得なかった種が現れます。
それまで一貫して海で生命活動を営んできた生物は、その時、どうやって適応していったのでしょうか?

◆ 淡水に生息する魚類は、体内の鉱物を失わないよう、機能進化した

海から川(淡水域)へ追いやられたことによって、生存環境として何が変わったのでしょうか?
それは、海水には鉱物(ミネラル)が豊富に存在するのに対し、淡水には少量しか存在しないことです。
このことは、以下の表を見ると一目瞭然です。(海洋深層水と川の水の成分比較)

        硬度 カリウム ナトリウム カルシウム マグネシウム
海洋深層水 1100  11.2   135.1    51.9     236.4
山や川の水  33    2      6       11       1.4

そこで淡水に追いやられた魚が取った適応戦略が、以下の2つです。
①カルシウムやリンなどの鉱物を、骨に貯め込み、硬骨魚類に進化した。
②貴重な鉱物を失わないよう、機能進化した。
塩分濃度と浸透圧の関係で、水分は塩分濃度の高い方に吸収されてしまいます。
その結果、淡水魚は、体内塩分(0.9%) > 淡水(0.0%)
となり、常に水膨れの危険にさらされています。
そこで、淡水魚は少量の水を取り入れ大量の水分を排出し、体内の鉱物を失わないように進化してきました。(参考

以上より、
★淡水魚は、淡水域で海に比べて不足する鉱物を体内(骨)に貯め込み、貴重な鉱物を失わないように体機能を進化させた
とまとめられます。
◆ ◆ ◆ 生物が陸上適応できたのは、卵の中に「羊水」の海を構築したから

◆ 両生類の段階では水辺から離れられなかった

両生類は、池や川などの水中から伏流水中に産卵する種がほとんどですが、中には地上や地中、地底湖や樹上で産卵する種もいます。
ただし卵の構造としては、魚類と変わらず、殻を持ちません。卵の構造が魚類から大きく進化しなかったことが、両生類が水辺から離れられない決定的な理由だと言われています。
現存する両生類の全てが水辺に生息するように、両生類の段階ではまだ陸上適応できなかったのです。
そしてその後、爬虫類(→鳥類)、あるいは哺乳類に進化する系統が登場し、この系統はご存知の通り陸上適応しています。
では、これらの種が陸上適応できたのは、何故なのでしょうか?

◆ 両生類と爬虫類・哺乳類の間に位置する「有羊膜類」

両生類から進化して生まれたのが、「有羊膜類」です。有羊膜類は、その後竜弓類と単弓類に分岐し、竜弓類から爬虫類に、単弓類から哺乳類に進化しました。
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有羊膜卵からのカメの孵化

有羊膜類の特徴は、「羊膜卵」という卵で新たな生命を育むことです。羊膜卵は、「羊水」で満たされ、丈夫な殻を持つことで乾燥を防ぎ、膜に空いている多くの孔で卵内外の物質のやり取りができます。それにより、両生類以前とは違い、生体に近い形で生まれてくることが出来るようになりました。
この卵の構造進化によって、両生類では成し得なかった陸上適応を成し遂げたのです。
参考

そう、私達人間の受精卵を胎児まで育む環境である「羊水」の起源は、この有羊膜類にあったのです。

◆ 爬虫類・哺乳類は「羊水」という海の中で新たな生命を育む

爬虫類、哺乳類が陸上適応できるのは、この「有羊膜卵」の存在があったからに他なりません。
爬虫類は、有羊膜類の段階よりも更に卵殻を頑丈にして羊水の乾燥を防ぎ、新たな生命を育みます(乾燥適応)。
哺乳類は、恒温機能を獲得した上、羊水で満たした胎内(羊膜内)で新たな生命を育みます(寒冷適応)。
いずれも、受精卵を乾燥から守り、羊水のプールの中で育てる、という生殖方法です。
またご存知の通り、羊水の成分は、現在の海の成分によく似ています。
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つまり、生物は陸上に進出してからも、新たな生命を育む環境として「海」を構築してきたのです。
◆ ◆ ◆ 中間まとめ:生物が海から離れたときに取った適応戦略とは?

進化の流れに沿って、生命が誕生する環境を追ってきたことで、以下のことが分かりました。
・最初の生命は海で誕生した。
・海から淡水へと生息環境を移した生物が取った適応戦略は、カルシウムやリンなどの鉱物を体内(骨)に貯め込み、貴重な鉱物を失わないように機能進化すること。
・陸上へと生息環境を移した生物が取った適応戦略は、受精卵を丈夫な羊膜や殻で保護し、その中を海水成分に近い羊水で満たすこと。


したがって、生命誕生には海が必要。その中でも、特に海に溶け込んだ「鉱物」こそが生命誕生に不可欠な要素だといえます。
原始から一貫して、生命は「鉱物が溶け込んだ海」で誕生し、育まれてきたのです。

では海に溶け込んだ鉱物は、生命誕生にどのように関わっているのでしょうか?
次回は、「生命は海で誕生し、育まれる」ということの本質的な意味を探っていきたいと思います。お楽しみに!

List    投稿者 kayama | 2012-08-25 | Posted in D.地球のメカニズム, D01.地球史No Comments » 

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