2013-05-31

太陽と地球、未知なる攻防・・・1.太陽活動と共に揺らぐ地球環境

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(画像はコチラからお借りしました)
 
☆☆☆地球環境を左右する太陽活動
 
地球に影響を与える太陽活動の代表的なものとして太陽光が挙げられます
 
太陽光は地球の表面を暖めるだけでなく、植物の栄養源になったり、海を温めることで上昇気流を生み出し、大気を動かすことで台風や降雨などの気象変化を引き起こします
 
このように太陽光だけに注目してみても、地球に与える影響はとても大きいのです
 
では太陽光の他に太陽から地球に到達する飛来物には他に何があるのでしょうか
また、それらは地球にどんな影響を与えているのでしょうか
 
今回から太陽が地球に与える影響について、図解化し整理していきたいと思います。

プロローグ 宇宙の営みを通して見る地球環境の特殊性より~
☆☆☆まずは太陽からの飛来物の整理から
これらを鮮明にしていくためにも、太陽から地球へはどのような物質やエネルギーが飛来しているのかの調査からはじめていきます。これら情報は、近年急速に増えてきましたが、過去の地球上の測定と、現在の人工衛星などの測定との間で、系統だった説明には至ってなく、混乱が残っています。まず、その情報の整理からスタートします。

はじめに地球に降り注ぐ太陽からの飛来物を整理するために太陽がどのような活動をしているか調査していきます。
 

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☆☆☆太陽活動と呼ばれる様々な現象
 
太陽活動といっても、太陽付近地球付近で観測される現象などなど様々な種類があります
そこで、太陽活動を現象の起きる箇所毎に分けて表にまとめました
 
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一例として、地球で太陽光と呼ばれているものに注目してみます。太陽光から左側にたどれば太陽の太陽放射という現象ということが分かります。
 
ここでは太陽活動を大きく「定常的」な現象と「非定常的」な現象に分けました。
 
定常的というのは常に太陽から放出されているものを指します。
一方、非定常的というのは定常的な状態から外れた時に起こる、一時的な現象のことを指しています。
 
身近な太陽光から、通信機器に多大な影響を及ぼす磁気嵐など、太陽が地球に与える影響は予想以上に大きいですが、これらの活動については今後の記事で取り扱っていきます。
 
今回はそんな太陽活動の大元である核融合について説明していきます。
太陽内部では何が起こっているのか、何が存在しているのかを追求していきたいと思います。
 
はじめに太陽の構成に注目してみましょう。
 
☆☆☆核融合によって作り出される太陽
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太陽は地球の約33万倍もの質量をもつ巨大なガスのかたまりです
その構成は、中心核(太陽核)・放射層・対流層・光球・彩層・(還移暦)・コロナとなっており、人の目で観察した場合、光球が人の見ることのできる波長と一致するため、便宜上、光球が太陽の表面と呼ばれています。
 
また、太陽の密度は1.41×10^3kg・m^-3で、地球の密度(5.52×10^3kg・m^-3)よりも小さくなっています。

Q.太陽の密度が地球よりも小さいのはなんで?
 
地球は金属(外核・内核)と岩石(マントルと地殻)でできているのとは違い、太陽は主にガスでできているからです。太陽の主成分は水素が90%程度、ヘリウムが10%程度と、この二つで99.9%を占めています。

さらに、上図より表面と呼ばれる光球よりもフレアやコロナのほうが温度が高いことが確認できます。 

Q.表面よりフレアやコロナのほうが温度が高いのはなんで? 
 
フレアは太陽表面上で磁気が再結合することにより、電子などが加速され温度が高くなっています。(詳細は非定常的な現象と関連させて投稿します)
コロナについては未だ原因が不明ですが、太陽の表面から磁気が大量に出ていることを考えると、宇宙に散乱している宇宙線などの飛来物との衝突によって熱が放出されていると考えられるのではないでしょうか?

 
また、中心核では太陽が発する光・熱エネルギーがつくられます。
中心核の温度は1600万度と超高温で、密度は156×10^3kg・m^-3と高密度になっています。
この密度は固体である鉄の約20倍にもなっています
 
この超高温・高密度状態で太陽の大部分を占める水素原子は陽子電子に分離します。この状態を「プラズマ」といいます。
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原子核(又は陽子)同士はお互いにプラスの電荷を持っているため、通常は電気的な反発力でお互いをはじいてしまいます。しかし、周囲の温度を上げて原子核の運動の速さを速くすることで原子核どうしが衝突します。これを核融合反応といいます。
 
太陽内部では幾つもの核融合反応が起こっています。具体的にみていきましょう。
 
陽子同士の反応

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2個の陽子がぶつかって、陽子と中性子からなる重水素になります。このとき、陽電子とニュートリノという物質が出ます。
このとき発生するニュートリノを地球上で捉えるために開発されたのが「カミオカンデ」という装置です。カミオカンデは岐阜県に設置され、2002年にはノーベル物理学賞を受賞する功績も挙がっています。

放出された陽電子は周囲の電子と反応してガンマ線(電磁波)となり、消滅します。
 
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重水素と陽子の反応

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重水素に陽子がぶつかって融合してヘリウム3になります。このときにもガンマ線が出ます。

 
ヘリウム3同士の反応

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ヘリウム3同士が衝突してヘリウム4となります。
このヘリウム4は地球上で数多く観察されるものと同じものです。

反応をまとめてみると、4つの「水素の原子核(陽子)」が核融合することで、1つの「ヘリウム原子核」となっています。
 
1秒当たり約3.6×10^38個の水素の原子核(陽子)がヘリウム原子核に変化しており、これによって1秒間に430万トンの質量が3.8×10^26 Jのエネルギーに変換されています。
 
しかし、太陽に含まれる水素は膨大な量なので、核融合反応で水素がなくなるまで約50億年はかかるといわれています。
 
また、質量に着目してみると、水素の原子核4つの質量に比べ、最終的に作られるヘリウム4の原子核の質量は質量が少なくなっており、元々の約0.7%が失われていることになります。
 
この質量はエネルギーに変換され、個々の反応の過程でガンマ線ニュートリノという形で放出されています。
連鎖反応全体でみると約26.7MeVのエネルギーを放出していることになるのです。
 
このうち、ガンマ線は電子や陽子と相互作用をして太陽内部を加熱します。

Q.電子や陽子の加熱により太陽が膨張し続けないのはなんで?
 
通常、物質に熱を加え続けると、分子(原子)の運動が激しくなり、物質は膨張していきます。しかし、太陽にも地球と同様重力が存在します。太陽の重力は地球の約27.9倍で、これがガスの広がりと拮抗しています。

ガンマ線は周囲の原子核や電子と衝突・吸収・屈折・再放射などの相互作用を起こしながら次第に「穏やかな」電磁波に変換され、数十万年かけて太陽表面にまで達し、宇宙空間に放出されます。
たとえ太陽の核融合が止まったとしても、数十万年は太陽は発光し続けるのです。
 
一方、ニュートリノ物質との反応率が非常に低いため、太陽内部で物質と相互作用することなく宇宙空間に放出されます。
そのため、太陽ニュートリノの観測は、現在の太陽中心部での熱核融合反応を知る有効な手段となっています。
 
☆☆☆定常的な太陽活動
 
太陽内部の核融合から太陽内部には、水素、ヘリウムだけでなく陽子、電子、ガンマ線など様々な物質が太陽内部に存在することがわかりました
  
では、これらが太陽から放出されるとどうなるのでしょう?
  
次回から太陽付近・地球付近の太陽活動を太陽から放出された物質と結びつけて追求して行きたいと思います
 
お楽しみに

List    投稿者 staff | 2013-05-31 | Posted in D.地球のメカニズムNo Comments » 

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