【気象シリーズ・コラム】隕石はどこからやってくるのか?
先日、ロシア中部のチェリャビンスク州で隕石が落下し、けが人の数は1200人以上に上っていることや、建物が壊れるなどの被害がニュースになっています。
(画像はコチラからお借りしました。)
今回ロシアに落ちた隕石は、直径17m、1万トンで、その破壊力は広島の原爆の30倍相当、被害半径はなんと100Kmに及びました。広範囲でガラスが割れた原因は、隕石が高速で大気に突入した際に衝撃波が生じ、その影響で空気が振動したことです。
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1月20日にも千葉・茨城あたりで隕石が落ちたとの情報もあり、最近ホットなニュースである「隕石」に焦点を当ててみます。
めったに遭遇することはない隕石ですが、地球で大繁栄した恐竜も隕石の衝突を契機に絶滅したと言われているほど、隕石は地球の歴史上においても大きな影響力を持っています。
そもそも、隕石はどこから飛んで来るのでしょうか?
■隕石はどこから飛んできているのか?
隕石は小惑星と呼ばれる惑星にはならなかった小さな岩石のようなものに由来しています。その多くは太陽系の火星と木星の間に存在していますが、地球の周りにも存在しています。例えば、最近話題になったハヤブサが探索に向かった小惑星「イトカワ」は、このような地球近傍小惑星(参照:ウィキペディア)のグループの一つにあります。
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小惑星は小惑星帯という位置に無数に存在しています(上の図の灰色の部分)。この小惑星帯内で衝突を起こしバランスを崩し、小惑星の軌道が変化し地球の軌道と重なったときに隕石として地球に落ちてくるのです。
隕石は常に地球の外側に大量に小惑星として待機していて、常に隕石となる可能性を秘めています。
過去の有名な事例で言えば、1908年に今回の事故と同じロシアで起きた「ツングースカ大爆発」(参照:ウィキペディア)があります。直径60-100mの隕石がシベリアに落下し、その衝撃力はTNT火薬換算で10~15メガトン(広島原爆の千倍)の規模だったと言われています。
隕石は人間にとっては珍しいことのように思いますが、46億年の歴史を持つ地球にとっては日常茶飯事なのです。では、隕石はどのように歴史を変えてきたのでしょうか?
■隕石が地球の火山活動を誘発する
今回の経緯を見ていると隕石に誘発されて地球の火山や地震が活性化しているように思います。
当ブログの記事「熱移送説~地震は熱エネルギー移動が起こす~」では、地震と地球内部のマグマは密接な関係であり、岩盤が熱により体積が膨張した結果プレートが変形すると地震が起こるという説を紹介しました。
これが正しいとすると、隕石や彗星が接近することで地球内部の電磁気学的バランスが変化することで、地震や火山が誘発されることは十分考えられます。また、隕石や彗星の持つ引力に地球の海水が引っ張られることで、気象的な変化が起こることは十分想定できます。
実際2月の小惑星や隕石が衝突した前後に地震が起こり、直前の1月には箱根の火山活動が活発になり地震が多発していました。
15日 小惑星「2012 DA14」が地球に接近
16日 ロシアに隕石が衝突 フィリピンでM6.2の地震
温泉地として有名な箱根の山が不気味な動きだ。先月中旬から地震活動が活発化し、噴火寸前に見られる「山上がり」(山体膨張)も観測されている。神奈川県温泉地学研究所によると、1月15日~2月14日に起きた地震の総数は1300回以上。今月10日には、箱根のロープウエー駅で震度5の揺れが起き、ネット上でも騒ぎになった。
「1月中旬から周辺地震の数が増え始め、その後は増えたり落ち着いたりを繰り返している状況です。10日にはM2.3の大規模地震が起こっています。群発地震の増加は火山活動中の変化の可能性が高く、熱水や火山性ガスなどの流体の蓄積が原因と考えられます」
1カ月で地震1300回に「山上がり」箱根山噴火カウントダウンより引用
■恐竜は隕石落下を契機に気温が急低下したことが絶滅の原因
落下する隕石の大きさによっては、人類にとっては重大な脅威になります。実際に6550万年前地球に衝突した半径10kmの小惑星は、大型爬虫類・恐竜を全滅させており、万一この規模の小惑星が地球に衝突すると、人類が滅亡に至る危険性もあります。
約六五〇〇万年前、巨大隕石が地球に衝突し、これに誘発されて火山の噴火が始まり、地球は粉塵に包まれて、急激に気温が低下した(この時期を特殊寒冷期と呼ぶ)。氷河期の場合には数万年かけて徐々に気候が変動する為、それに応じて植物も動物も移動してゆくことができるが、特殊寒冷期には短期間に気温が急低下し、北方に生息していた動物たちはあっと言う間に絶滅、南方にいた大型動物も、(たとえ親が生き残っても)卵を孵化することができず、殆どが絶滅した。その中で、水中や温泉の岩陰など比較的温かい所に生息していた動物たち(ワニ・トカゲ・ヘビなど)は辛うじて生き残り、同様に地中に潜ることができた原モグラも特殊寒冷期をくぐり抜け、生き残ることができた。
実現論より引用
(参考)恐竜絶滅、火山と隕石の複合原因?
■恐竜は急激な気温低下によりオスばかりが生まれて絶滅?
恐竜の絶滅の原因は隕石により火山活動が誘発され、地球全体が急激な気温低下に陥ったことが原因だと言われています。
今回はその後恐竜がどのように絶滅して行ったのかというひとつの仮説を紹介したいと思います。
恐竜は隕石衝突でオスばかりが生まれて絶滅より引用
(画像はコチラからお借りしました)
爬虫類はほ乳類と大きく異なる代謝システムを持っており、また性別の決定に関してもほ乳類と大きく異なっている。ほ乳類の場合、XとYの染色体を持つ生体はそのままオスになるが、Xが二つの場合は極まれな例外を除いてメスとして誕生する。また鳥類やヘビ類、トカゲなどの爬虫類はそうしたほ乳類に近い性決定のシステムを持っているのである。
しかしワニ類、亀類、そして一部の魚などは卵の中にいるときの外気温によってその性決定に強く影響するのである。そしてミラー教授のチームは、研究の末、温度低下がオスの誕生に繋がることを発見、恐竜の絶滅はオスが増え過ぎ、メスの数が極端に減少して個体数が激減したことが絶滅の原因であると結論したのである。
(中略)
また博士は、「ではなぜ、6500万年前から存在する亀やワニはその変化を生き残ることが出来たのか?」という問いに対し、以下のように答えている。
「それらの生物は河口部や川床で暮らしています。水の側で暮らしていたことが結果的に極端な温度変化から身を守ることにつながり、陸上の生物と異なり、気温変化に適応するだけの時間を持つ事が出来たのではないでしょうか。」
大きな隕石が衝突する頻度は数億年に1回程度ですが、それに伴う気候変動は地球の生態系に大きな変化をもたらしてきたのです。
気候シリーズでは引き続き、森林問題、気候変動、気象兵器を追求して記事をアップしていきますので、応援よろしくお願いします。
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