2013-02-01

【地球の内部 4】 地球の内部圧力が作る未知の鉱物

%E3%81%81%E3%82%83%CE%B9%E3%81%83.jpeg
 
地球の内部 シリーズ
【地球の内部 1】 地球の内部構造をどうやって推測したのか?
【地球の内部 2】 地球の元素組成の推定方法
【地球の内部 3】 地球の力学的性質の推定方法

~前回記事より~ 
地球内部の力学的性質とは、地上での物性だけでは想像できないような分布と変化が起こっていると分かりました。そして、その推定方法は地球内部での地震波速度の変化を利用していました。
地震波の速度に変化が起こるのは積層構造となっている地球内部の物質の違いであることと、それだけではない、地球内部という地上とは違った高圧力高温という条件が大きな影響を与えています。

圧力というと、身近な例として気圧水圧が挙げられます。
私達が普段生活している地表の圧力は1気圧と呼ばれ、1平方cmに1kgの力がかかっている状態です。
水中では、10m深くなるごとに1気圧ずつ水圧がかかります。
世界で一番深い海溝であるマリアナ海溝の最深部(10,911m)であれば、1,000㎏(1ton)の重りが上下左右、360°の方向から小指の爪に置かれている状態なのです。
 
では地球内部環境の「高圧力」の状態では、物質にどんな影響を及ぼしているのでしょうか?
今回は「圧力」という視点から、地球内部構造を解き明かしていきます。
 

 にほんブログ村 環境ブログへ


 
Q.地球内部を推定するための地震波速度の変化はどんな物質の違いで起こるの?

☆同じ化学組成でも結晶構造が変わると物理的性質が変わる
物質の密度など物理的特性について考えてみると、結晶構造をもつ鉱物に行き着きます。
鉱物は、結晶構造をもつ天然の無機物で、花崗岩を構成する石英・長石・雲母などが代表的です。また同種の鉱物は、どの部分をとっても同じ化学組成を持ちます。
例えば、石英であれば地球上どこでもSiO2になります。そして、結晶構造は、その構成原子が規則正しく一定の距離、方向、周期で並んでいるため、同じ鉱物は同じ物理的性質を持ちます
そうすると、地球内部の物理的性質は、鉱物がどのように分布しているかによって大きく規定されることになります。つまり、地球の化学組成は鉱物の材料の構成比に過ぎず、地球内部の物理的性質は、その材料がどのように構造化されているのか=結晶化されているのか、に大きく依存していることになります。
そして、それら鉱物の集合体が岩石であり、構成要素の鉱物の種類や配合量によってその種別が決定されています。

Q.では、結晶構造が圧力を受けるとどうなる?

☆圧力の変化が結晶構造を変える
同じ化学組成をもつ無機物結晶:鉱物は同じ物理的性質を持つように思われがちですが、実際には圧力によって大きく異なります
例えば、炭素の結晶は、1000℃程度で3万気圧付近だと不透明なグラファイト(黒鉛)という結晶構造をしていますが、5万気圧程度で、透明なダイヤモンドになります。
%E3%83%96%E3%83%AD%E3%82%B0%E7%94%A8.jpg
この二つの鉱物は化学組成は同じでも物質としては全く異なります。この原因は、圧力によって規定される結晶構造にあります。グラファイトは平面的な炭素結晶が積み重なった形状をしており、ダイヤモンドは立体的な結晶構造をしています。
当然、密度も異なり、グラファイトでは2.2g/立法センチメートル、ダイヤモンドは3.5グラム/立法センチメートルになります。
このように、圧力が高くなることで、同じ化学組成でも結晶構造が変わり密度は増加していく(重くなる)現象を相転移と言います。これは、圧力により、別の新しい鉱物に変化すると捉えることも出来ます。
さらに、圧力が高くなる地球深部では、さまざまな化学組成の鉱物が、このような変化を起こしている可能性が高いと考えられています。

ここまでは、圧力により鉱物の結晶構造が変わり密度が高くなるという物理的性質についての話しですが、近年、もっと深い位置=高圧力での物性がどのように変わっていくのかを、地上で実験することが可能になってきました。ここでの変化は想像を絶するものがあります。
 
 
Q.地球内部の圧力はどうなっている?

☆地球内部の圧力分布%E5%9C%A7%E5%8A%9B.jpg
 
地球内部の圧力は、深すぎるため実際に計測することはできません。しかし、ある深度における圧力は地表からその深度までの間の密度と重力加速度との積を高さで積分して求められます。
これより地球内部の圧力を求めると深度2900kmのマントル-外核境界(グーテンベルク不連続面)において136万気圧、地球中心で364万気圧となります。
 
近年、この地球の最深部に当たる364万気圧を擬似的に再現しようと、様々な実験が行われてきました。
現在では、「ダイヤモンドアンビル」という装置を使って、地球最深部まで再現することができるようになりました。これにより、地球深部に存在し得る物質を人工的につくりだす研究が行われています。

このように、地球内部の圧力状態を全て再現できるまでになったわけですが、実験を行えるのは非常に小さな試料に限られています。
高圧力に影響される地球内部構造をもっとマクロな視点で見ると、どういうことが起こっていると考えられるでしょうか?
 
 
Q.高圧力の地球深部はどうなっている?

☆地球中心部は金属化している
 
%E5%9C%B0%E7%90%83.jpg
例えば、岩石のほとんどに含まれるSiのような電気伝導度の低い物質も20万気圧以上(下部マントル付近の圧力)では、光沢のある金属に結晶構造を変えるのです。
これは、圧力によって電子軌道が縮み、最外核の電子が自由電子として振舞うことができるようになったと考えられます。
また、磁性を持っていた鉄も(簡単に言うと磁石も)、20万気圧付近の高圧力化では、磁性を失ってしまいます。
 
このような現象からすると、高圧力下の地球深部(下部マントル付近より深部)では、鉄の磁性は消え、地球の化学組成の代表格であるSiを含む鉱物は、金属化して電気を通している可能性が高いのです。

地磁気の発生は流体ダイナモ説や永久磁石説など様々ありますが、地球のコアが金属であれば、地磁気の原因は自由電子による伝導性や誘導加熱によるマグマ加熱、地震時に地表面に出てくる各種電磁波など、電磁気と深い関係があるのではないかと考えられます。
これらについては今後追求していきたいと思います。

List    投稿者 nkm- | 2013-02-01 | Posted in D.地球のメカニズムNo Comments » 

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://blog.sizen-kankyo.com/blog/2013/02/1276.html/trackback


Comment



Comment


*