2015-10-16

年代測定法は正しいのか?~様々な元素による年代測定~

前回の『年代測定法は正しいのか?~放射性同位元素の崩壊~で述べたように、放射性同位元素を使っての年代測定にも不確実性が残ります。

では、どうやって年代を特定すれば良いのでしょうか?
最近では様々な元素を用いて、いろいろな方法で年代測定が行われているようです。
では、どのようなものがあるのか見てみましょう。?

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前回と同様に「山賀 進のWeb site」を参考に展開します。

 

■炭素14法(14C法)
空気中の炭素14(14C)は壊変(崩壊)するとチッ素14(14N)になります。しかし、14Nに宇宙線(宇宙からやってくる高エネルギー粒子)によって14Cになります(詳しくは宇宙線が大気を構成している原子と衝突して中性子をはじき出し、その中性子が14Nの原子核の陽子をはじき出して14Cとなります)。現在は、14Cが14Nになる速さと、14Nが14Cになる速さが同じ、つまり平衡状態になっています。
C14-01
C14-02
生物体のもとになるのは植物が光合成で作った有機物です。植物が生きている間は、大気中の二酸化炭素(CO2)を使うので、植物体の有機物も、それを食べる動物体の有機物も、その中の14Cの量(割合)は大気の中の14Cの割合と同じです。ところが生物が死んで地中に埋まってしまうと(宇宙線を浴びなくなってしまうと)、14Cだけが一方的に減っていくことになります。ここで、昔も14Cと14Nが現在と同じ平衡状態にあったとすれば、生物の遺体中の14Cもその生物が生きている間は現在と同じであったのが、死んでからは半減期5730年で減っていくことになります。

つまり生物の遺体中の14Cが現在の1/2であればその生物は5730年前に、1/4であれば11460年前に、1/8であれば17190年前に、さらに1/16であれば22920年前に死んだことになります。実際は誤差があるので、当然±の範囲を見積もらなくてはなりません。

炭素14法(14C法)は、木片などに対してよく使われます。人類遺跡のたき火のあとなどもよく、近いところでは古文書などに対しても使われることがあります。

炭素14法(14C法)の最大のメリットは、初期値の推定がいらない(現在の大気中の14Cの存在比を初期値としてよい)ということです。逆に最大のデメリットとしては、地史を研究するには14Cの半減期が短すぎることです。半減期が5730年では、せいぜい十数万年前までという時間スケールをはかるのには使えるが、数百万年、数千万年という時間スケールでは使えません。

もう一つの不安は、前提である過去も14Cの崩壊と14Nからの生成が現在と同じ平衡状態であったとということです。しかしこれは、逆にいえばせいぜい数万年前までなら大丈夫であると思われます。

炭素14法(14C法)は、生物が死んでから現在までの年数を測定することになります。

 

■カリウム-アルゴン法(K-Ar法)
カリウム40(40K)は半減期12.5億年で壊変(崩壊)して、アルゴン40(40Ar)に変わる。娘元素である40Arは気体であることが、この方法のメリットでもあり、デメリットにもなります。
気体であるは40Arは、岩石が熱せられると逸脱してしまいます。つまり0(ゼロ)となり、初期値を0(ゼロ)としてよいとされています。そして、岩石が冷えてからは逸脱できずに岩石の中にたまっていきます。つまり、岩石中にある40Arは岩石が冷えたあとでたまってきたものです。
岩石中にたまった40Arは岩石を熱すると出てくるので、それを集めて測定すればよいのです。この現在の値をさかのぼり、Arが0になるまでの年代を求めることになります。

K-Ar-01

K-Ar法のメリットは、なんといってもカリウム(K)は岩石中の含有量が多いことです。だから半減期が12.5億年と少し長めではありますが、数千万年前(場合によっては数百万年前)から数十億年前という幅広い年代を測定できます。また娘元素の40Arが気体なので、試料を熱するだけで40Arを集めることできるのです。つまり、測定が非常に容易となっています。


しかし娘元素である40Arが気体であることは、岩石が冷えた後も岩石から逸脱する心配もあります。実際、U-Pb法などと併用すると若い年代を出すことが多くあります。ただし、この性質を積極的に使えば、熱による変成年代を求めることができる可能性もあります。U-Pb法では、マグマが冷え固まって火山岩になってからの年代を求めることになりますが、K-Ar法は火山岩になったあとに変成作用(岩石が融けない)を受けたとすると、その変成年代を求めることができるのです。
K-Ar法は、岩石が最後の加熱を受けてからの年代を求めることになります。

List    投稿者 tutinori-g | 2015-10-16 | Posted in D.地球のメカニズム, D01.地球史No Comments » 

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